二、怪談で大騒ぎ2
「いや~~、怖かったなーー。日本のお化けは恐ろしいよ。あんなの出てきたら、ボクどうしよう」
ハピが言えば、
「私もう、一人でトイレ行けない」
と、ケイも震えている。
二人ともよっぽどこわかったんだな。
マナはと見ると――
「う……、う……、ひっく……」
な、なんと泣いていた!
泣くほど恐かったのか。
「マナ……、大丈夫?」
僕は優しくマナの肩に手を置いた。
「う……、お岩さんが……、お岩さんが……」
「うんうん、こわかったよね。でも、もう映画終わっちゃったから大丈夫だよ」
「お岩さんが可哀想ーーーー!」
えーーーー、そっちーーーー!?
そりゃあ、確かに四谷怪談は実話を元にした話だし、理不尽に殺されてしまったお岩さんは可哀想だけど……。
「ねえ、絆ちゃん?」
「どうしたの、マナ?」
「絆ちゃん、あたしがお岩さんみたいな顔になったら、嫌いになっちゃう?」
「え……」
思ってもいなかった問いに、僕は直ぐに答えられなかった。
ケイもマナもハピも美少女だ。
僕は彼女たちのことが大好きだけれど、でも、それは顔が好きだからじゃない。
もともと知り合いでも何でもなかった僕のことを、命をかけて守りに来てくれている、そんな彼女たちのひたむきな姿に打たれて、大好きになっている。
うん、そうだ。
顔なんか関係ない。
「何いってるのマナ。顔なんか関係ないよ。マナがどんな姿になっても、マナのこと嫌いになんかなるわけないじゃないか」
「ほんとに?」
「ほんとだよ」
「ほんとに、ほんと?」
「ほんとに、ほんと」
「ほんとに、ほんとに、ほんとに?」
「ほんとに、ほんとに、ほんとに」
「ほんとに、ほんとに、ほんとに、ほんとに?」
「ほんとに、ほんとに……、だあーーーー、いつまで続くのこの繰り返し!?」
するとマナは、それまで彼女の目の部分を隠していた長くて青い髪をゆっくりかき上げた。
「こ・れ・で・も~~?」
なんと、彼女の左のまぶたは醜く腫れ上がり、左目をすっかり覆ってしまっている。
まるで、たった今観た、四谷怪談のお岩さんそのものだ。
「ぎゃあああああああああああああああっっっっっっ!!!!」
「ずるーーーーい、嫌いにならないって言ったのにーーーー」
マナはまた泣き出した。
「ち、違うよ、マナ。嫌いになったんじゃくてびっくりしたの! ――っていうか、その左目に貼り付けたメイクはどっから出したんだよ」
「だって……、だって……」
マナは泣き続けている。
今のはギャグじゃなくてマジだったの?
あーー、もーー、モンスターの女の子のやることは、やっぱり理解できない。




