二、怪談で大騒ぎ1
おどろおどろしい闇を背景に、髪を振り乱し、薄汚れた白い着物を着た女性が、両手の甲をだらんと下げてこちらにゆっくりと近づいてきた。
僕の右腕には金髪のスレンダーな少女空守ハピが、左腕には青い髪の小柄だけどグラマーな少女海守マナが、しがみついている。
そしてなぜか僕のひざの上にはショートカットの深い茶色の髪の少女陸守ケイが乗っかり、半身になって僕のTシャツにしがみつきめながら前方を凝視していた。
白い着物の女性が、髪をかき上げた。
その左目のまぶたは醜く腫れて垂れ下がり、女性の左目を覆い隠してしまっていた。
「う……、う……、う・ら・め・し・や~~~~」
残った右目に恨みを込めてこちらを睨み、女性はさらに迫ってきた。
「きゃあああああああああああああああっっっっっっ!!!!」
ハピ、マナ、ケイが同時に悲鳴を上げた。
ハピがぎゅっと力いっぱい僕の右手を握り締め、マナもぎゅっと力いっぱい僕の左手を握り締め、ケイはTシャツごとぼくの皮膚を力いっぱい握り締め……。
「ぎゃあああああああああああああああっっっっっっ!!!!」
僕も悲鳴を上げた。
痛さのあまり。
この日の夜は、僕、ケイ、マナ、ハピの四人で、自宅のリビングで四谷怪談の映画を観ていたのだ。
ヴァンパイヤやフランケン、人狼、セイレーンといった敵モンスターたちと勇敢に戦ってくれている、それぞれ正体がケンタウロス(人馬)のケイ、マーメイド(人魚)のマナ、ハーピー(人鳥)のハピなのだけれど、どうやら日本のお化けは苦手みたいだった。




