一、星座占いで大騒ぎ6
見ると、血祭冴、普見欄、大神浪子の三人が立っていた。
三人とも一見、中学二年生の女の子だけど、その正体は僕の命を狙うモンスター、血祭冴がヴァンパイヤ、普見欄がフランケン、そして大神浪子が人狼なのだ。
といっても、ミイラの母さんの息子である僕は不死なので、彼女たちも今後どうしたものか考えているみたいだけれど。
「おまえたち、また絆君を狙いに来たの」
ケイ、マナ、ハピが身構えた。
「ふん。今日は人間の中学生として部活に来たのだ。帰宅部のおまえらとは違うのだ」
冴の言葉通り、ボディガードのケイ、マナ、ハピはいつも僕にくっついているから、部活には入っていない。
「それより、興味深いことを聞いたぞ。私はおうし座なのだ」
ツインテールの血祭冴の言葉に続き、日本人形みたいなおかっぱ頭の普見欄が口を開いた。
「私は……、おとめ座」
普見欄はおとめ座か。
おとなしそうなイメージにぴったりだな。
もっとも、フランケンの姿に変身すると体が巨大化してこわいんだけど……。
「あたしはやぎ座さ。オオカミだけどな」
そう言う活発な印象を受けるクセ毛の少女は大神浪子。
なるほど、オオカミ女なのにやぎ座だなんて、なんだかおかしい。
「どうだ、掛橋絆? 私たちの側にこないか? そっちの三匹より私たちのほうが、おまえと相性いいんだろう?」
「ちょっと冴! へんなこと言わないだよね! 私たち、星座占いなんか信じないんだから」
ケイが僕の前に立ちはだかり、冴に臨戦体勢をとった。
「そうよ、そうよ。ちょっとくらい相性がよかったくらいでいい気にならないでよね」
いや、マナ、ちょっとそれ何か違うんじゃ……。
「大事なのは、本人同士の気持ちなんだぞ」
だから、ハピもちょっと視点がずれてませんか?
「本人同士の気持ちか……。私に血を吸われれば、たとえ死ななくとも、絆を私の言いなりにはできるかもしれないのだぞ」
「ずえーーーったい、そんなことさせないんだから」
ケイが鼻息荒く叫ぶ。
「ふん、まあいい。今日は部活中だからな」
血祭冴、普見欄、大神浪子は、去っていった。
血祭冴はラケットを持っている。
テニス部か。
大神浪子は確かバレーボール部のエースアタッカーだった。
普見蘭は……、何部だろう?
おとなしそうだから、やっぱり文化部かな?
「帰ろ、絆君」
ケイが、僕の手を取った。
「う、うん……」
「あーー、ケイずるい! じゃあ、あたしこっちの手ね」
マナが僕の反対の手を取った。
「ちょっと待ってくれよ。それじゃあ、ボクが手をつなげないでしょ」
ハピがすねて見せる。
「分かった分かった。誰とも手をつながない。さ、帰ろう」
僕らは歩き出した。
歩きながら僕は考えた。
僕のボディガードをしてくれているとはいえ、ケイ、マナ、ハピをいつも僕に縛り付けておいていいものだろうか……。
せっかく人間の世界に来たんだし……。
冴や欄、浪子みたいに部活とかやったほうがいいんじゃないかな……。
モンスターにだって二度とこない貴重な青春時代のはずだ、中高時代は。
楽しそうにおしゃべりしながら歩いているケイ、マナ、ハピを見ながら、僕はそんなことを思うのだった。




