表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/15

003




花音はその美貌から、

毎日のように告白されていた。


同級生だけではなく、


高学年の子や、中学生。



更には、教師にまで。



興味がない男が頬を赤く染めながら

思いを伝えてくる。



花音は心底気持ち悪いと思っていた。


その赤は、花音の好きな

赤ではない。



ただ、好きという感情は

想像以上に人の心を動かすもの。



自分も彼らと同じように

父を愛し、想っているため、

痛いほどその気持ちが理解できる。



もし何かあった時

こいつらは私の為に力になろうとする。



そう考え、気持ちには応えないが、


断った後も優しく接し

その気にさせる態度をして、


彼らの心を離さなかった。




誰かに想いを告げられる度、

花音の頭には笑顔の父が現れる。


優しくて、怒ったことがない。


どんな時も花音を最優先にしてくれる。



何より、


自分にそっくりな父の顔は

とても美しい。



鏡に映る自分以外で美しいと思う人は


自分にそっくりな父だけだった。



そして、


真っ直ぐに『愛してる』と

伝える父には、誰も敵わなかった。





花音は、漫画やドラマを見て

恋愛への知識と興味が高まっていた。


この日は一人、湯船に浸かりながら

物思いにふけていた。



パパともっと一緒にいたい。


二人だけで。


…ママがいつも邪魔をする。

いらない。



父への想いが膨らむたびに

母の存在が邪魔に思えてきた。


脈が速まる左腕を

ぎゅっと掴みながら考える。



パパだって本当はそう思ってる。


でも全てを口にしてしまったら

『家族』が終わってしまう。


私とパパは切ない恋をしている。


私が大人になればきっと…一緒に…




花音は胸がぎゅっと締め付けられるような

苦しい感覚を覚えた。



そして、お風呂を上がると

リビングで両親が仲良く会話をしながら

お酒を飲んでいた。



花音がお風呂から出たことに気付かず

抱きしめ合いながら、キスをした。



その後、父が


父「葉子(ようこ)、愛してるよ。」と言った。




花音は髪も乾かさずに

自分の部屋へと逃げ込んだ。



その時、やっと

父の言う『愛してる』の意味がわかった。



私に対して言う『愛してる』は、

娘を想う父としての愛情表現だった。



父が恋愛の意味で本当に『愛してる』のは

母だけだった事に気付く。



花音の左腕は今までで1番

脈が速く、凄まじい動悸がした。



数時間後、父は

何事もなかったかのようにやってきて


いつものように花音の頭を撫で、

『愛してる』といい、寝室を出た。



ドアが閉まる音がして、

花音は目を大きく見開いた。



何としてでもパパの気持ちを

手に入れてみせる


そう決心した。


怒りや悲しみなど、色んな感情が

押し寄せてきて、一睡も出来なかった。




何故か目を閉じる事すら出来ない。



眠れないまま朝を迎えた花音の目は、

瞳孔が開いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ