その34
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
買ったばかりの焼き鳥を、テルは秋田さんと、僕は坂口メグちゃんと分けて食べた。
「美味しいね〜!」
「美味し〜〜〜!」
みんな、ヒロキの家の焼き鳥が大好き。
僕たちだけじゃなく、ヒロキの家の焼き鳥は、この街の人全員が大好きなんだ。
そして、やっぱり手がベタベタ。
僕はちょっぴり得意げに、みんなにウエットティッシュを配った。
「ニッキ、今日は、すげえ準備万端だねえ。」とテル。
(今日は)の部分が少し引っかかった。
「あははははは…いやいや、それよりも坂口メグちゃんの方が、万全じゃない?だって、海に行った時も絆創膏…。」
そこまで言うと、秋田さんが「だって、メグは将来看護師さんになるんだもんね〜。」と。
知らなかった。
そうなんだ。
坂口メグちゃん、将来は看護師さんになりたいんだあ。
そこで、僕はハッと気づいた。
海でのこと。
駅で僕の足の指の股ずれに「傷グレートスーパーパワーパッド」をくれたっけ。
そして、足が攣って溺れた一文字に付き添ってたり、帰りは家まで送ってったり。
あ!
夏休み前、僕が倒れた時も、保健室で1人、僕に付き添ってくれてたっけ。
そうだったんだ、坂口メグちゃん。
看護師さんに。
今までのことを思い出すと、1人勝手にヤキモチを妬いていた自分が、恥ずかしくなった。
食べ終わると、今度は2人づつで行動しようとなった。
別れる時、テルが僕にウインクしてきた。
頑張れよ!って言ってくれてるんだとわかると、僕と坂口メグちゃんで並んで歩き出した。
「ニッキ、さっきの怪我、大丈夫?」
「ああ、うん…ちょっとだけ痛いけど…大したことないよ…大丈夫…心配してくれて、ありがとうね…。」
僕達は出店から離れて、人が少なくて静かなベンチを見つけた。
「ここからでも、花火、案外見えるね。」
「ホント…ちっちゃいけど、ちゃんと光ってて綺麗。」
僕は下げてたポシェットから、小さな紙袋を取り出し、坂口メグちゃんに「これ…」とだけ言って渡した。
本当はもっと何か、気の利いたセリフを言おうと考えてたんだけど、いざ本番となると、緊張しちゃって、それしか言えなかった。
「ん?なあに?いいの?」
コクンと頷くと、坂口メグちゃんはニコニコと可愛い笑顔で受け取ってくれた。
「開けていい?」
コクン。
僕はガクガクしている両膝を押さえた。
「わあ、可愛い!」
良かったあ〜!喜んでくれてる!
「ありがとう!ニッキ!わあ…うふふ…うふふふふ…あ、そだ、実はあたしも、ニッキにあげたい物あるんだあ…大した物じゃないんだけど…。」
え?何?何?あげたい物?何?何?
じっと黙って待っていると、坂口メグちゃんは浴衣と同じ生地の巾着袋から、僕があげたやつよりも、少し大きめの紙袋をこちらにくれた。
「開けて、いい?」
コクン。
袋を開けると、中から綺麗なガラス瓶に入った、透明なろうそく。
ろうそくの下には、浜辺によく落ちている綺麗な丸いガラスが何個か入っている。
「わあ〜…綺麗!あ、ありがとう!大事にするね!やあ、ホント、綺麗だあ〜…。」
ガラス瓶をマジマジと見つめていると、「それね、あたしが作ったの。」と坂口さん。
「えっ?そうなの?」
聞くと、お母さんの友達の「キャンドル作家」の工房で、体験教室があったそうで、そこで作ったろうそくなんだと。
更に、下に沈んでいる綺麗な丸いガラスは、全部、みんなで一緒に海に行った際に、拾った物って。
そうだったんだあ。
「実はね…」と僕も、瓶の中の貝殻は、あの日、海で拾ったやつなんだと教えた。
「ねえ、この中の指輪、はめてみてもいい?」
「うん、はめてあげるよ…サイズが合うといいんだけど…。」
僕は、坂口メグちゃんから自作のビーズの指輪を受け取ると、早速、左手の薬指にはめてあげた。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




