その28
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
休みが終わって、再び夏期講習。
まだ夏休みだけど、「進路」のことをそろそろ考えなくてはならない。
自分が行きたい、目標とする高校に、今の成績で行けるのか、それとも難しいのか、はたまた、もうちょっと上の学校を目指した方がいいのか、などなど。
僕は、まだ、薄らぼんやりとしか考えていなかった。
これじゃ、ダメなのは重々わかっているはずなんだけど、何となく、ずっと遠い未来の話の様な気がして。
けれども、男ヤマシタは目標がはっきり定まっている。
野球部でバッテリーを組んでいた、元エースピッチャーの湯川と共に、ここから遠い街にある野球の強豪校へ行きたいと、随分前から言っている。
「推薦」で行けそうな感覚はあるらしい。
男ヤマシタはきっと、女子のヤマシタさんとも、一緒にトレーニングをしている2年の倉田さんとも、付き合う気なんてないんだろうなあと、僕は思ってる。
女子のヤマシタさんが「浮気した!」って勘違いして、それがきっかけで簡単に別れたダブルヤマシタだけど、そう言うのがなかったとしても、きっと、卒業したら別れちゃうんだろうなあって思う。
なんでかな?
何となく、男ヤマシタから発せられる雰囲気が、そう思わせてしまうのかなあ?
そんでもって、男ヤマシタ、別れた時「好きだから、好きな人が望む様にしてあげたい。」って言って、その通りに別れて「あげた」訳だけど、それってよくよく考えると、なんだか変。
あの時は「かっけえ!」って思ったけど、今は本当に「かっけえ」んだろうか?って。
やっぱりちゃんと好きだったんなら、しがみついてでも別れなきゃ良かったのにって。
だけど、そういうのは、男としてカッコ悪いって思ったんだろうか?
それとも、もしかして、男ヤマシタ、実は女子のヤマシタさんのこと、最初っからそんなに好きでもなんでもなかったのかなあ?
海に行った時、笑って女子のヤマシタさんと同じ宇治金時食べてたけど、一緒に泳いだりしてたのは、鮎川や一橋、後、後藤やベルウッドと遊んでたもんなあ。
ヤマシタさんはヤマシタさんで、辻さん達と一緒だったし。
男ヤマシタにとって、女子のヤマシタさんって「都合のいい女」って感じなのかなあ?
わかんないけどさ。
僕が男ヤマシタの立場だったら…別れた後、元カノと一緒に普通に話したりできるだろうか?
…ん〜…無理無理、絶対無理に決まってる。
なんなら嫌悪感でいっぱいになっちゃう。
こっち見るな!傍に来んな!ぐらいの、強い感覚。
だって、理由が勝手すぎだもん。
…あ!だからか…
だから、男ヤマシタ、あんな曖昧な優しい態度で、今でも自分を好きだって言う、女子のヤマシタさんの気持ちを「蛇の生殺し」みたいな感じで、じわじわと意地悪してんだろうか?
いやいやいやいや、それは考えすぎか。
第一、男ヤマシタがそんなことするはずないじゃないか?
あいつは、そんな汚いこと、意地の悪いことなんか絶対しないし、そういうの大嫌いだもの。
いつでも真正面を向いてて、正々堂々が心情だもの。
…あ、でも、ちょっとでも、あいつのこと疑った目で見てしまった僕の方が、よっぽど暗くて汚いんじゃないだろうか?
僕は自分で自分のことが、嫌になってしまった。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。お話はまだ続きますので、引き続き読んで頂けたら、とってもとっても嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。




