その22
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
店頭に置いてある黒板の看板には、メニュー表。
海に向かって開け放たれたお店の前には、氷と色んなジュース類がぷかぷか浮いている大きな四角い水槽っぽいやつ。
その中のジュースはどれも全部200円。
ちょっと高いなと思ったけれど、海の家ってそういうもんだよなあと、自分を無理に納得させたりして。
黒板に書いてある「イカ焼き」「焼きそば」「たこ焼き」などなど、店名の「ハワイ感」はまるで無しの「お祭りメニュー」
お客さんは、きっと、そういうのがいいんだね。
だって、どっちかつうと、僕もそういうのが大好きだもの。
ジュースにしようかと迷っていると、秋田さんと坂口メグちゃんが何やらソワソワ。
僕とテルで声をかけると、2人はどうやら「かき氷」が食べたいらしい。
けれども、値段が少々はるし、何より量が結構なもんで。
そこでテルがある提案。
1つのかき氷を、とりあえずこの4人でシェアしたら。というもの。
それだと1人300円でイケる。
ん〜…いいアイデアだとは思うけど…どうやってシェア?
僕と同じで秋田さんと坂口メグちゃんも、いいアイデアだけど、どうやって分けて食べるかが心配らしい。
僕ら4人がもちゃもちゃ悩んでいる間に、ヒロキがお店の大将に大声で聞いてみてくれた。
すると、1人用350円っていう小さいのがあるとのこと。
「えっ?そうなの?だって、これに書いてな…。」まで僕が言いかけると、お店の大将は笑って店内の壁を指差した。
「ほら!ここに書いてるべ!」
「あ、ホントだ!じゃあ…。」ってんで、僕と坂口メグちゃんと秋田さんはイチゴの、テルとヒロキはメロンの、男ヤマシタと女子のヤマシタさんは渋い宇治金時を選んだ。
聞くところによると、大きいのも出しているけれど、小さい子供さんやお腹が心配っぽい人などには、小さい方が売れているそうだ。
あ〜、そうなんだ〜。
確かに1000円以上の大きなサイズのは、子供用のサッカーボールぐらいもある。
暑いけれど、こんなにいっぱい食べたら、絶対お腹壊しそう。
丁度いいサイズがあって、本当に良かったなって感じた。
それと同時に「商売」ってこういう、きめ細やかさみたいなのが大事なんだねって思ったよ。
一緒に来ている元バスケ部の鮎川は、「校内陸上競技大会」の騎馬戦の練習以来、すっかりチャラさが薄くなって。
あの時「男ヤマシタ塾」の一員になったのが、大きな要因らしい。
なので、今までは普通に「ハルオ」と呼び捨てしていたけれど、あれからは「塾長」って呼んでいる。
男ヤマシタは「やめて!」と言っているそうだけど、鮎川にしてみれば「舎弟」ってことらしい。
同じく元バスケ部で、騎馬戦の時、一緒の騎馬で大活躍した一橋は、どうやら石川さんのことが気になっている模様。
僕と同じでまだきちんと「好きだ!」とは言っていないって。
「だってさ…全部好きって訳じゃないから…たまに、ごくごく稀にだけど…ちょっとヤダなって思う部分もあったりするから…だから、まだ言えない…自信ないもん…そういうちょっとヤダなが、許せるってのか、大丈夫ってなったら、告白しようかなって思ってるけど…でもさ、相手だって、きっと俺の嫌だなってとこ、あるだろうし…そう考えちゃうと…なかなか、踏み出す勇気が出ないってのが本音だよ…。」
確かに、一橋の言う通り。
全部わかる。
僕も全部そう。
だから、まだ言わないってのか、言えないんだよなあ。
だけど、それでもこうして、今みたいに一緒にいられて楽しいんだから…まあ、いいかって感じ。
僕も一橋も、そうなんだよ。
今、そんななんだよ。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




