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その17

お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。

着替え終わってテントから出ると、そこにテルとヒロキ、それに秋田さんと坂口さんと辻さんが待っていてくれていた。

「ごめ〜ん!待たせちゃってさあ!」

僕とベルウッドは、少しだけ気まずい雰囲気を醸し出してしまっていたかもしれなかった。

けれども、テルが顔を真っ赤にして女子の浮き輪を、必死こいて膨らましている姿を見ると、もうそんなのどうでもよかった。

「あ!ニッキ!ごめん!これお願いして大丈夫?途中まで膨らませてみたんだけど、もうキツくて無理なの。」

そう言うなり坂口さんは、僕にうっすら膨らんだピンクの透明な浮き輪を寄越してきた。

「え、ああ、いいよ。」

軽い気持ちで浮き輪の空気入れの部分に、自分の唇をつけると勢いよく息をふ〜っと、何度も何度も吐いた。

浮き輪は徐々に膨らんできた。

それはいい。

けれども、僕は膨らませている途中で、気がついてしまった。

あれ?これって、ついさっきまで坂口メグちゃんが口つけてたんだよねえ。

えっ?えっ?…ってことは、ってことはだよ。

つまり、坂口メグちゃんと「間接キス」ってこと?

そんなことが頭の中をぐるぐるしちゃうと、僕は気を落ち着かせようと、一旦、浮き輪から口を離した。

「あれ?ニッキ、どしたの?あ、ごめん、苦しくなっちゃった?ごめんね、なんかごめんね。」

いや、坂口メグちゃんは悪くない。

苦しくなっちゃったって…あ〜、それはちょっとそうかも。

だけど、そうじゃないのさ。

そうじゃないの。

気持ちの問題。

心がさ、心が激しく動揺しちゃって…

僕は浮き輪の「口」の部分を凝視してしまった。

何気なく引き受けたけれど、よくよく考えてみたら、やっぱりそうだよね。

そういうことだよねえ。

ここにさっきまで坂口メグちゃんの唇が…

だんだん、心臓がドキドキしてきた。

ヤバい!ヤバい!倒れそう。

いやいや、落ち着け!落ち着け自分。

坂口メグちゃんも、待っててくれた他のみんなも、この「間接キス」に気づいていないらしいじゃないか。

だったら、だったら、ことを荒立てる必要なんてなくない。

このまま、なんでもないですよ〜風に、しれっと浮き輪を膨らませればいいだけのことで。

そう思い直すと、僕は再び浮き輪に息を送り込んだ。

その途中、先に辻さんの浮き輪を膨らませ終えていたヒロキが、何気なく「あ〜、ニッキ、悪いなあ、俺、全部は無理だったあ…。」と。

へ?へ?今、なんて?

浮き輪から口を離すと、すぐさま坂口メグちゃんの方を見た。

僕の視線に気づいた坂口さんは「あ、そうそう、さっきまで雪国君に膨らませてもらってたんだけどね、雪国君、2つ目だから、もう辛いって…。」と続けた。

え?嘘?

じゃあ、何?

これ途中まで膨らませたのって、ヒロキなの?

なんだか、さも自分で膨らませたっぽい言い方してたよねえ、坂口さん。

え〜!ヤダ〜!

坂口メグちゃんと間接キスじゃなくて、ヒロキとだったかあ…

僕は少しうなだれた後、浮き輪の口の部分の匂いをそっと嗅いで確認した。

なんの?って言われても、わからないけれど。

とにかく、確認したのだった。


そこにすかさず、テントに戻って荷物をガサゴソやってたベルウッドが戻って来るなり、「みんな〜、先に言ってくれたら、ほら、これ、貸したのに〜!」と言いながら、手に持った「電動ポンプ」を僕らの前に差し出した。

あ〜〜〜〜!

え〜〜〜〜〜!


ベルウッド、こんな物までわざわざ持って来てたんだね。

みんなの為に。

やっぱ、いいやつ。

ホント、いいやつだわあ。

最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続き読んで頂けたら、とってもとっても嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。

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