その12
お話の続きです。どうぞ宜しくお願い致します。
去年まで履いていたサンダルは、履きすぎて右側の甲を覆う部分から破けてきちゃって、寒くなってきた頃、捨ててしまったっけ。
なので、先日、みんなで「水着」を買いに行った時、ついでにビーチサンダルも購入。
案外安くて、「ラッキー!」なんて喜んだ。
前のやつみたいな「スポーツサンダル」ではなく、普通の下駄っぽい白いタイプのを選んだ。
かかとをちゃんとホールドしていないけれど、サッと履けるから丁度いいって思ったんだ。
けれども、今、慌てて走り出して気づいた。
走りづらい。
前の部分だけに足を入れているので、かかとがカパカパ。
うっかりすると、すぐに脱げちゃいそう。
おまけに履き慣れていない為、足の親指と人差し指って、足で人は差さないけど…まあ、隣の指の「股」の部分が痛いなんてもんじゃない。
もしかすると、ここの部分が靴擦れ?
いや、靴じゃないし、普通の靴擦れみたいにアキレス腱付近じゃないから、じゃあ、股ずれ?
足の股ずれを起こしていそう。
ううう〜、ダメじゃん!
僕は自分がどれほど甘かったかを、思い知った。
普段学校に履いていくスニーカーだったら、駅まで軽く10分ないし、8分ぐらいで簡単に到着するけれど、これじゃあ間に合わない。
家を出たのが7時47分だったけど、サンダルに足を取られて、上手く走れない。
どうしよう!痛いし!
これじゃ、夢とおんなじじゃん!
だとすると、みんなにおいてかれるあのパターン。
ゲッ!ヤバすぎでしょ!
なかなか電車になんて乗らないから、乗り遅れたらすぐに次のが来るかどうかわからない。
どうすんだよ〜!
僕がそんなこと考えてる間に、とっとと足を動かせ!って、もう1人の脳内の自分に発破をかけられた。
そうだ!そうだよ!
な〜に!単純なことさ。
走ればいいんだよ!走れば!痛いけどさ。
サンダルでいつもよりも随分とノロいけれど、でも、遅刻する訳にはいかない。
だったら、走れ!走れ!走れ!
さっき綺麗に洗ったばかりの顔や、全身から汗が噴き出す。
まだ8時前にも関わらず、日差しは容赦なく降り注ぐ。
だんだん駅が近づいて来ると、僕だけじゃなく、慌てて走ってくる面々が見えた。
な〜んだ!みんなもギリギリじゃんかあ。
そう思うと、急に心も体も妙に軽くなった。
テルもヒロキも男ヤマシタも、みんな汗ひとつかいていない。
ただ、ニコニコ「お〜い!」なんて呼んでくれている。
坂口メグちゃんの姿も見えた。
ピンクの可愛い肩掛けバッグを下げている。
「はあ、はあ、はあ、はあ、ご、ごめん…遅くなっちゃって…ホント…はあ、はあ…ご、ごめん…。」
みんなに謝ると、「大丈夫!大丈夫!遅刻してないよ〜!」とテル。
「ホ、ホント?」
コクンと頷くみんなを見た後、すぐさま駅の時計に目を移すと、たった今8時になったところだった。
安心すると、僕はヘナヘナと力が抜けてしまった。
「じゃ、じゃあ、みんな、切符買って、行こうか?」と僕が促すも、「あ、まだ、ベルウッドのやつ、来てないんだよ。何回もメールしたり、電話かけてんだけど、あいつ全然出なくてさあ…だから、もうちょっと待ってよ〜!多分、あいつのことだから、今頃慌てて走ってるんじゃないかなあ?」とヒロキが言った。
なんだよ!ベルウッド!
僕だって、遅刻したらみんなに迷惑かかっちゃうって、必死こいて走ってきたってのに。
何、遅刻してんだよ〜!
自分だって、危うく遅刻するところだったくせに、僕は自分のことなど棚に上げて、心の中は怒り心頭しちゃったのだった。
そして、なんか足が痛いなあと感じて、ふと足元を見ると、やっぱり足の指の股ずれを起こしてしまっていたよ。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。お話はまだまだ続きますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。




