アレイシアさんへ
3/12二話目
アレイシアさんへ
この手紙をアレイシアさんが読んでいる時には、もう俺は日本へ帰る魔法陣を発動させていると思います。
もしこれで失敗して、このままこの世界に残ったままだったら恥ずかしいから、その場合はこの手紙は読まないでほしい。
俺はアレイシアさんのことが大好きです。
アレイシアさんとこの世界で出会えて本当に幸せでした。俺とこの世界で出会ってくれてありがとう。俺のことを好きになってくれてありがとう。俺と恋人になってくれてありがとう。
――そんな感謝の気持ちで一杯です。
アレイシアさんと過ごす日々が幸せで、ずっと一緒に居たいと思いました。
けど俺はそんな気持ちを抱いていても、やっぱり地球に帰ることを諦められなかった。貴方を愛していると言いながら、二度と会えない場所へ行こうとする俺はアレイシアさんにとって酷い男でしょう。
でもそんなひどい男である俺の、日本に帰りたい夢をアレイシアさんはいつだって応援してくれた。アレイシアさんが手伝ってくれたからこそ、俺は日本に帰る準備がなんとか整いました。
俺がこの世界に残していく『迷い人』に対する資料や、世界を渡る魔術は以前伝えたようにアレイシアさんが保管していてください。
そしてアレイシアさんがその情報を渡してもいいと思った相手にだけ渡してほしいです。
セイナさんが言っていたように地球へ簡単に行き来出来たり、地球がこの世界のことを知ったら大きな混乱を生むでしょう。それが分かっていながら日本にエルフとして帰ろうとしている俺が一番、混乱を生んでいるかもしれないけれど、どうか、貴方が伝えてもいいと思った相手に渡してください。
アレイシアさん、もう二度と貴方には会えないけれど俺の好きな人は永遠に貴方だけです。
俺にとって特別な女性はアレイシアさんだけです。
貴方と過ごした日々は、俺の宝物です。
堂本 神楽
あとがき
『転移先は賢者様の居る世界』はこれで完結となります。
森の賢者様シリーズで初めてのエルフ主人公の物語でした。
セイナ、アキヒサ、フランツは地球に帰ることを選択しませんでした。それはハイエルフであり、寿命がないにも等しいからであり、この世界で生きていくことを決めたからです。
対して、今作のカグラは帰ることを諦めなかった少年です。例えば、エルフである自分が日本に帰って混乱を生むとしても、寿命が違ったとしてもそれでも地球に帰りたいと望んだ少年でした。
アレイシアの物語が終えた後、思いついた未来の物語でしたが、楽しんでもらえれば幸いです。
セイナの出番は少ないですが、セイナたちをまた書けたことは作者として楽しかったです。
また書けそうなら関連作も書けたらなと思います。
では、此処まで読んでくださりありがとうございました。少しでも何か感じていただければ嬉しいです。
2020年3月12日 池中織奈




