18 砂漠ですネ
非常に読みにくいです。
そしてやはり短いです。
…・この一話、意味あったかな??
作者的には意味あるつもり…
風が吹き、砂が舞う。
広大な、どこまでも続く、砂の海。
地平の果てまで砂以外、ほんの少しの植物も、小さな虫の姿さえない。完全な砂のみの世界。
風の描く砂の文様がこの世界の唯一の変化といえるだろう。
くしゅん、ぐしゅん・…・ズズ・…・くしゅん
絶え間なく響く、くしゃみ。
「おい」
「ん?」
低く響くハウザーの声に、思わず砂の文様に見とれていた秋良はちらりと彼を見やる。
「ん?じゃねえよ。ぐしゅ・・・・俺たち・・・くしゅん・・・いつの間に外に・・はくしゅん・・・出たんだ?ぐしゅ」
「???外になんて出てないよ?」
床にしゃがみこんで(その間もひたすらくしゃみを連発しながら)、砂を手にとってまじまじ見ていたかと思えば、妙なことを聞いてくるものだ。そもそも【幻惑の塔】攻略の途中なわけだし、先ほど円陣に案内してくれたエンシェントドラゴンだって二十五階にショートカットできる道だと言っていたのに。いったい彼は何を聞いていたのだろうか。
「だがどう・・ぐしゅ・・見てもここは・・・くしゅん・・・砂漠だぞ?!はくしゅん!!!その上あきらかに・・・ぐじゅん!塔の部屋より・・・くしゅ・・広いだろうが。ぐしゅん!!地平線が・・・・くしゅ!見える・・ぐしゅん・・・くらいなんだぞ」
「そういうダンジョン設定なんだ。確かこの塔は二十五階が【砂漠の間】二十六階が【氷原の間】二十七階が【灼熱の間】二十八階が【樹海の間】だったかな。まあソフト面はほとんどが夏樹の担当だったからな‥‥…」
「いや、ぐしゅん!!さっぱり・・ぐしゅ、っぐしゅん・・意味がわからない・・はくしゅん、はくしゅん・・から。そもそも・・ぐしゅ、はっくしゅん!!設定ってなんだよ、はっくしゅん!!」
何、といわれても困るのだが。ゲームではいろいろなダンジョンがあるのがそもそもの常識で、ダンジョン内に砂漠があったり草原があったり、森があったり‥……よくあることだよな。灼熱エリアとか氷のエリアとかRPGのダンジョンにはつきものだった気がする。もちろん攻略が難しくなるように、というのとか、イベント等の進行に必要なためとか理由はあったけれども。
しかし『ゲーム』とか『設定』とかどうやって説明をすればいいのだろうか?
「えーと・・…つまり、そういうもんなんだよ」
それ以外に言いようがない。ゲームはあくまでゲームであり、ダンジョンはダンジョンだ。塔の中に砂漠があっても、氷原があっても秋良はまたく気にしたことがない。ゲームの進行上必要であれば、攻略がより難しくなるのであればそれで問題なかった。それが秋良にとっての常識だったのだ。
「そういう・・ぐしゅん!!ものってっっはっくしゅん!!……」
秋良がうまく説明できないことにハウザーも気づいたのか、戸惑ったように秋良を見る。そして周囲に広がる砂漠を見渡す。
「あーもう!!ぐしゅん!いい。とにかく、くしゅん!この砂漠は・・ぐしゅ・・・現実だが、はくしゅん・・俺たちが・・くしゅん、はっくしゅん・・・塔の中にいるのも・・はくしゅ・・現実ってことだな」
「そうそう」
「で、どうやったら・・はっくしょん!!はくしゅん・・次の階に行けるんだ」
こんなことならリャーナを連れてくるんだった、と意味のわからないことを呟きながらどことなく投げやりに聞いてくる。
「なんでリャーナ?」
首をかしげてハウザーを振り仰ぐが、ハウザーには特に答える気はないようだ。早くここから出たいとしきりに秋良をせっつく。
しかしながら、秋良には先ほどからどうしても気になっていることがあったため、これまた率直に聞いてみることにした。
「あのさあ、何でさっきからくしゃみしてんの?埃アレルギー?」
「アレルギー?はっくしゅ・・・いや違う。いままでだって・・ぐしゅん・・埃っぽい遺跡とか探索し・・ぐしゅ・・たことだてあるし、っっはっくしゅん・・砂漠にだって・・くしゅん・・何度か行ったことは・・はっくしゅん、くしゅん・・あるがこんなことは初めてだ」
「あ、そう」
一体どういうことだろう。とにかく先ほどからくしゃみがうっとおしい。うるさくてこのままでは考えをまとめることもできない。そもそもここは脱出の手段がパズルのようになっていてただでさえ面倒だというのに。しかもこの階のボスはいうに及ばず、このままでは通常のモンスターにさえ勝てないのではないか。全くの戦力外なんて冗談ではない。
なんとかならないか、と考えること五分。思い出した。
「あーそーいえば、ハウザーって悪魔族だったんだよねえ」
今さらである。ハウザーもあきれた目で(相変わらずくしゃみを連発しながら)秋良をじっとりと見る。
「この塔って対悪魔用の罠がいっぱいあるんだよねえ」
今思い出したよ、とかわいらしく笑ってみるが、睨まれただけだった。
「ほほう‥くしゅん・・いま、ねえ」
「えへへ、仕方ないだろう。忘れてたんだから。大体ソフト面は俺の担当じゃないし、そもそも悪魔族なんて実際のところかなりの希少種だし・…」
ぶつぶついいわけをしてみるが、やはり睨まれただけだった。たわごとに付き合う気はない、とそのかたい表情がいっている。
「いや、いいんですけどね、ええ。とにかくトラップ解除するから」
別に言いわけを聞いてほしいわけではないので、と小さくつぶやきながらウィンドウを立ち上げる。
「魔法技能展開【罠解除:効果範囲特大】実行」
足もとに一瞬で青い魔法陣が描かれ、ひかり、すぐに消える。
「‥‥くしゃみが止まった?」
不思議そうな顔で、のど元を押さえている大男ににこりと笑いかける。
「任せろ。ということで、しっかりと役に立ってくれよ?お客さんのお出ましだ」
顎をしゃくって前方を指し示す。
いたいどこからわいて出たのか。
前方から六体のオーガが忍び寄ってくるのがはっきりと見えたのだった。




