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望まざる未来 1

 ピーーーーーーーー


 無機質な音が、室内に響く。


 それは、命の終わる音。


 明るく、優しかった彼女は、眠るように逝った。


 その顔は、長い闘病生活を送っていたとは思えないほどに、穏やかだった。


 「‥‥…大丈夫か?」


 小さな声と、手に触れたぬくもりに振りかえると、親友が泣きそうな顔で彼を見ていた。


 「‥……俺は……」


 何を言おうとしていたのか。ただ、眠る彼女の顔をこれ以上見ていたくなくて、彼は行くあてもなく病室を飛び出す。


 走りながら、とりとめもなく考える。


 彼らが創った【世界】は、少しは彼女の慰めになっただろうか。


 彼女は心だけでもあの【世界】に行くことはできたのだろうか。


 余命一年と宣告されながらも、その後四年、彼女は生きた。


 けれど、それだけ。


 それだけだ。





※    ※    ※    ※





 赤茶けた、荒れ果てた大地に、彼は一人佇んでいた。


 空にはいくつもの亀裂があり、大地には彼以外生きる者はない。


 かつてここは、緑あふれる美しい森だった。


 一番初めの時、彼女と親友と三人で過ごした。


 もっとも親友はあまりここにはこなかったが。


 いったい何度、同じことを繰り返したのだろうか。


 この光景を見るたびに思う。


 もう、やめにするべきなのだと。


 それでも、五回目くらいまではわずかながらに緑があったのに。虫や、小さな動物も姿があったというのに。


 もう限界なのだと、わかっている。


 世界も彼も、……‥そして彼女も。


 次第に意識が薄れ、時間が巻き戻る奇妙な感覚を味わう中、脳裏に少女の声が響く。


 『いったでしょう?神様なんていないわ。奇跡なんて起こりはしない』


 ならば、少女は一体何なのか。彼に力を与え、知識を与え、この世界に命を与えた彼女は。


 『私は‥‥…』




  

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