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ゲヒュール3  作者: スペクトラム


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5/20

猫ちゃん!

「あ! 猫ちゃん可愛い!」

雨宮桜は、白くて人懐っこい猫を見つけると、嬉しそうに撫で始めた。

「ゴロゴロ言ってるー。お腹も見せてるし、可愛いなぁ」

猫は気持ちよさそうに喉を鳴らし、桜にお腹を見せている。

「飼おうかな……いや、ペットは禁止なんだった」

そんな桜の様子を見ていた春が、ふと口を開いた。

「桜、そいつ殺すから離れて」

「春ー、なになに? 嫉妬?」

雨宮桜が冗談めかして振り返った、その瞬間だった。

猫が突然牙を剥き、桜に襲いかかった。

しかし、春は慌てることなく、ナイフを振るうような動作を見せた。

次の瞬間、猫の体は弾き飛ばされた。

「え……え?」

雨宮桜は何が起きたのか分からず、呆然と立ち尽くす。

「こいつ、同種だよ。多分だけど、ペットとして飼われて、飼い主が油断したところで突然殺すんだろうね。そのときに向けられる感情が好きなんじゃないかな」

春は猫を見据えながら、淡々と説明した。

雨宮桜は逃げなければと思っていた。けれど、恐怖で足が動かない。

「まぁ……明らかに敵意を向けてるし」

春は楽しそうに笑った。

「殺し合おうか!」

猫は警戒するように春を睨みつけていた。

先ほど、何も持っていないはずの相手に弾き飛ばされた。しかも、額には切り傷までついている。

そんな猫を嘲笑うかのように、春は人差し指を猫へ向けた。

「バン」

乾いた音が響く。

猫の額には穴が空き、そのまま地面に倒れ込んだ。

「帰ろっか、桜」

春が振り返る。

しかし、雨宮桜は何も答えなかった。

「うーん……もう少し時間を置いてからかな」

春はそう呟き、雨宮桜の様子を窺った。

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