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ゲヒュール3  作者: スペクトラム


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3/20

価値観

「ここが新居かー。狭いね!」

部屋を見回した春が、率直な感想を口にした。

「春……そういうこと言わないの。せっかく用意してくれたんだから」

雨宮桜がたしなめると、春は部屋の外へ視線を向けた。

「んー……けど、ここら一帯は同種が餌場としてマーキングしてるなー」

「もしかして、危ない?」

「かもね! マーキングされた餌場に入るってことは、食料を横取りするのと同じだから。殺されても文句は言えないよ」

「えー……どうしよう」

雨宮桜が不安そうに呟くと、春はあっけらかんと答えた。

「ん? 襲ってきたら殺すよ」

「仲間なんじゃないの?」

「それが?」

「……殺すの?」

「襲いかかってきたらね。向こうが何もしなければ、僕も殺さないよ」

桜は返す言葉に迷い、黙り込んだ。

そんな桜を見て、春は不思議そうに首を傾げる。

「うーん……なんで不満なのか分からないなぁ」

春は少し考えてから、続けた。

「餌場を荒らされるのが不快だから殺すのも、殺されたくないから相手を排除するのも、別にどっちも悪いことじゃないでしょ?」

「えっと……私たちがいなくなればいいんじゃないかな」

「なんで?」

「いや、だって……私たちが我慢すればいいじゃん」

雨宮桜の言葉に、春はきょとんとした。

「ん? それなら、向こうが我慢すれば解決だね!」

「あー……うん。そうなのかな?」

雨宮桜は曖昧に頷いた。

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