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マーキング
犬飼透は病院のベッドで目を覚ました。
「あ、起きました?」
傍らにいた霧崎楓が声をかける。
「あー……生かされたか……」
犬飼は天井を見つめながら、気怠そうに呟いた。
「良いゲヒュールだったんじゃないですか?」
「ここは病院だし、丁度いいから頭を診てもらえよ」
「酷……」
楓が呆れたように呟く。
「やられた……」
犬飼は腕で目元を覆い、そのままベッドに横になった。
「何がですか?」
楓が不思議そうに尋ねる。
「ほぼ……いや、確実にマーキングを付けられてる」
「ん? 聞いたことはありますけど、それが?」
「お前が思ってるようなものとは違う。ゲヒュールは時々、人間にマーキングを付けるんだ。家族を殺して、生き残った人間にな」
犬飼は腕を目元に乗せたまま説明する。
「付けられたら駄目なんですか?」
「かなり遠い距離でも感知できるようになるし……。これ、本部に帰れないぞ? 流石に本部の場所が割れるのはまずい」
「どうします?」
「辞表出すかぁ……出しといて」
「はぁ……」
楓は呆れたようにため息をついた。




