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ゲヒュール3  作者: スペクトラム


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14/20

下らない理由

「大丈夫かな……あの人」

雨宮桜は、今日自分たちを襲ってきた男の身を案じていた。

「うーん、分かんない!」

春は笑顔で答える。

「分かんないかぁ……」

「トドメは刺さなかったけど、生きてるかどうかは分かんないや」

「そこは優しいんだ」

「足が付くような殺しはしたくないからね。一応、対策はしたけど……殺した方が良かったかなぁ」

「いや……」

桜は「殺さない方がいい」と言いかけて、口を閉ざした。

「ねぇ……隠れて、ひっそり暮らそうよ」

「え? やだ」

春は即答した。

「なんで?」

「気に食わないからやだ!」

「そんな下らない理由で……」

呆れたように呟く桜に、春は笑顔を崩さずに答える。

「彼……いや、人間と同じだよ。何故、僕達を狩ろうとするの? 僕達から逃げ隠れて暮らせばいいのに。餌として生きればいいのに。何故そうしないのかって? 理由なんて、僕と同じで下らないものだよ」

「そうかもしれないけど……」

桜は少し考え込んでから、ぽつりと呟いた。

「私は別に、隠れて生きてもいいんだけど……」

「僕がやなのー!」

春は子供のように声を上げた。

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