地上と地底 ⑥
そうしてリンが放った弾はそれまでかろうじて踏ん張っていた皆の力と合流し、やがて轟音を立てながら一直線に相手へ向かっているところだった。もし、これが外れたらどうなるか。そのようなことは微塵も考えず、リンはただ必ず当たると思いながらイシをちらりと見た。どうやら多少の余力があるようだ。イシは眉間にシワを強く寄せたまま叫んだ。
「リンちゃあん、僕と呼吸を合わせてみて」
そう言われてもリンは最大限の力を放出したばかりなので、もはやそれに答える気力もない。自ら放った力の反動に懸命に耐えている最中だった。
「今・・・、何か言ったね・・・」
リンはそう小声を漏らすだけで精一杯だったが、それでもイシは止めない。
「呼吸、呼吸だよ。ほらあ、僕と合わせてみて」
その時もイシもリンと同じように両手掌を前に合わせていた。他の二人の力がもはや尽きようとしているこの時に、一瞬だけ双方のエネルギー弾がふと消えた。するとイシは大きく息を吸い、同時にそれらをリズムよく吐き出した。
「いち、にい、さん、しいっ」
轟音の只中で、イシが何か言葉を発しているのは理解した。しかし、リンは今も声は出せそうにない。
「えっ、呼吸が何よ」
リンはそう言葉にならない声を呟くので精一杯だったが、その声が届いたのかイシは直後にもう一度同じように数えた。すると、今度は先程までは何を言っているかわからなかった言葉がリンの耳元ではっきりと聞こえてきた。リンも放出から十秒経過しており、わずかしか余力はない。イシは疲労から両肩が一定のリズムで揺れている。リンも同じように息を三度繰り返していたその時、かすれた男性の声で何かが聞こえてきた。
「うわっ、今、何か聞こえた」
それは秒数にして一秒以下だった。その声にリンはもはや発声する力はないものの心の中で尋ねた。
「イシくん、イシくーん、聞こえるかあい」
イシはかすかに首を立てに降ったように見えたが、それでもリンはイシの呼吸に合わせてありったけの力を放出した。
「もうっ、全部、いっけええええ」
轟音の後に大きな爆発音が鳴り響いた。力を出し尽くした皆は片膝をつくと同時に地面へと倒れた。果たして的中したのかどうか砂煙の中で全くわからないが、リンも右膝を地面についたまま懸命に肩で呼吸をしていた。そこへ
「リンちゃあーん、聞こえるかい」
と、イシの声が聞こえてきた。ふと見ると先程見えた数歩先にその姿があった。今も倒れ込んだままなのでリンは心の中で強く念じた。
「私・・・もう声、出ないの」
その直後、突っ伏しているはずのイシの声が耳元に聞こえてきた。
「・・・リンちゃん、よく頑張ったね」
「えっ、こうして会話してるってことは・・・。私達、負けちゃったんだ・・・ね」




