5 ある町にて
街の境界線を越えて ぶらぶらと歩き始めると、さっそく声がかかった。
俺に話しかけてきたのは 街の住民だった。
「なにかお探しですか?」
(こういう時は 的確簡潔に答えて 相手の不信感を解消するのがセオリーだ。)
「私は 長距離運送をしながら 国内を気ままに見学・観光しております。
今回は、運送仲間から 当地のうわさを聞いて、すぐそこのステーションまで荷を運んできたあと、散歩しております。」
と 正直に答えた。
「ほう どんな噂を聞いたのかな?」
どこからともなく姿を現したレイスが 頭上から 声をかけてきた。
「レ レイス!」
「ほほう わしらの種族をご存じか?」
「はい 私は読書が趣味でして、乱読の過程で、この国に住む多くの種族について調べたことがあります。
ですが 本当に レイス様とおめにかかることがあるとは・・」
「ということは 今回は わが種族に会いに来たのかね?」
「違います。 ただ その『ぶらり旅』が好きな運送仲間の中では、
こちらの町は
①言葉にしがたい一種独特のムードがある街
②荷物の取り寄せ量が多いわりに 街を散歩しても人と出会うことの少ない不思議な町
と噂になっておりまして、私も その 荷物を運んできたついでに 少し散歩させていただこうかと。 すみません」
すると 最初に 話しかけてきたオオカミ獣人が、
「なんだ 野次馬か 不愉快な!」と吐き捨てるように言った。
「すみません」再び頭を下げる俺
「まあ せっかく来たんだ。 茶でも飲んでいきたまえ」
レイスに誘導されて、・・・
・・・気が付いたら、取り調べのようなものを受けて
自分自身について 洗いざらいしゃべらされていた・・・




