ガオーの家にて
(この話は、まだ ガオーがアラン達と室内改装について 話し合っている時の出来事なので
ガオーの家の中は ほぼ居ぬき状態でガランとしています)
「おじゃまします」ガオーの家に入る レイン一家
「うわぁ 広い!」ダニー
「ほんとひろい!」ミオ
レインも 黙って 家の中を見回す。
「ここは もともと 倉庫兼用の避難所だったらしいね」ガオー
「知っていたのか?」驚くレイン。
「入居前に 説明があったから。
一応 作ったはものの、もう長いこと使っていないから、俺が好きにしていいと言われた。」
◇
ガオーの家は 入口から中に入ると がらんとした広間だった。
「システムキッチンと 風呂とトイレは オーガ仕様の家具を 俺が運び込んで据え付けたんだ」
「おじさん すごい!」キラキラした目でガオーの顔を見上げるダニー。
そして 母親とガオーの顔を見ながらダニーは言った。
「この広い部屋の中を オオカミ姿で走り回りたいなぁ。」
「俺は構わんよ 遠慮なく走り回ってくれ」ガオー
「でも 抜け毛が落ちるわ。
だから よそのお宅を訪問するときは 人間姿でって教育しているの。」ミオ
「そうか お宅の教育方針に従うよ。
俺個人としては、家具も間仕切りのない今の状態なら、オオカミっ子が走り回っても構わない。
帰る前に掃除して行ってくれるなら」
ガオーは部屋の隅に置いてある掃除道具を指さした。
「後で うちの掃除機をとってきて 掃除するよ。
抜け毛をほうきで掃き出すのは たいへんだから」レイン
「それじゃ お言葉にあまえさせてもらおうかしら。
ダニーは 変身の前後には ちゃんとガオーさんに挨拶するのよ。
それと 食事の時には、きちんと人間の姿に戻ること」ミオ
「はい」ミオに向かって返事をしたあと、ダニーはガオーの方を向いた。
「ガオーおじさん ありがとう。
それではこれから変身します!」
そう言って ダニーはパッとオオカミ姿になった。
「おっ!」驚きの声を上げるガオー
ダニーは自慢そうにしっぽを振った。
「服は?」ガオー
「変身と同時に収納魔法を使ったんだ」ダニーはガオーに念話を送った。
「おお 声が聞こえる。 君はもう念話が使えるのか! すごいなぁ」ガオー
「君 念話のことも知っていたのか?」レイン
「学校で習った。オオカミ獣人の中には 念話やテレパシーを使う人もいると。
俺としては オオカミ姿の時に 念話で話しかけるのは 意思疎通に便利だと思うが、獣人姿や人間姿の時のように音声言語が使える状態では、普通に話しかけてもらった方が気楽だな。」ガオー
「ガオーさんって ほんと思考が柔軟なのね!」ミオ
「おほめにあずかり 光栄です」ガオーは 胸に手をあててお辞儀をした。
「今の所、オーガ用の家具しかないから、君たちは 荷ほどきをして自分たちがくつろげるようにしてくれ」ガオー
「了解」レオン
ガオーがレオンの家から運んで来た荷物の中には、折り畳みの椅子とテーブル・食器・敷物などがあった。
レオンとミオは 手早く テーブルとイスを広げ、テーブルの上に食器を置いた。
「パンをどうぞ」ミオ
「それ 今朝 焼きあがったやつなんだよ」レオン
「ありがとう。うまそうな匂いだ。
パンは久しぶりだからうれしいよ」ガオー
「どういたしまして」ミオ
「それで 君たちの食事の量は その器で何杯分なんだい?」ガオー
「一応 きのう、君から聞いた献立と食材を基に、ミオが それぞれの分量を大人二人分で書いてくれたんだ。ダニーの分は 切り方などが細かいからミオが自分で作るって」レイン
「そうなのか。子育てって大変だなぁ。
何歳くらいまで 別に作るんだい?」ガオー
「6歳ぐらいまでかしら」ミオ
レインから受け取った、食材の分量表を見て、キッチンスケールを台の上に取り出したガオー。
それから 思いだしたように言った。
「すまん 茶は、そこのツボに入っているのだが、めいめいで飲んでくれ。
あと、今後 君たちを うちに招くときのために うちで用意した方がいいものや オオカミ村の人を招くときに 必要なものをそろえたいので、リスト作りを手伝ってくれないか?」
◇
茶の入った素焼きのツボを置いた台は、大型冷凍冷蔵庫(長期保存用)小型冷凍冷蔵庫(日常使い用)の横にあった。
ツボの横には オーガサイズのひしゃくも備えてあった。
しかし オオカミ獣人が普段使うコップに注ぐには ひしゃくが大きすぎた。
なので、ミオが念の為にともってきたお玉で 茶をめいめいのコップにそそいだ。
「お茶よ」と呼ばれたダニーも素早く少年姿に戻って お茶を飲みに来た。
「すごいなぁ 変身と同時に服を脱いだり着たりしている」ガオーは感心した。
「君たちも そうなのかい?」ガオー
「ミオはできる。
僕は ミオと一緒に練習したけど やっぱり無理だった」レイン
「僕とママは 人間姿とオオカミ姿にはなれるけど、獣人姿にはなれない。
パパは 獣人の姿のまんまなんだ」ダニー
「子供の頃は 人間の姿にも成れたんだけどね。
獣人姿の方が楽だから、試験の時以外は変身しなかったもんで、
今では やり方をすっかり忘れてしまったんだ」レイン
「そういうもんなんだ」ダニー
「うん」
「ぼく オオカミ姿も好きだけど、パパみたいにかっこいい獣人姿にもなりたいのになぁ」ダニー
「そうなんだ」ガオー
◇
昼食の後、ミオの許可を得て、人間姿のダニーは かごの中に入り、そのかごをガオーは
最初は背負って、次に肩の上に担いで、最後は頭の上に載せて ガオーの家の周りを散歩した。
ダニーは レインパパに肩車してもらったときよりも高い位置から周囲を見回すことができて大喜び。
地面におろされ、ガオーに担いでもらったことのお礼を言ったあと、ダニーは言った。
「ねえ いつか ガオーさんの頭の上に載せてもらって、村のあちこちをみてまわれたらいいのになぁ」
「こらこら 無理を言っちゃだめだよ」レイン
「ダニーは良くても 私の心臓がもたないわ」ミオ
「よろしかったら 奥さんも かごの中に入って、高い位置からの眺めを体験してみますか?」
ガオー
「だったら 僕も体験してみたいなぁ」レイン
「もう あなたたちったら!」ミオ
ガオーは にやっと笑って言った。
「レインを肩車してやってもいいが その分は 貸しにつけておく。
奥さんは、ご自分で体験されたら、そんなに怖くないってわかるかなぁ、と思って誘ったんだけど。
子供が 高いところからの眺めを喜ぶのは オーガの子もオオカミ獣人の子もかわらないようだね」
レインは 自分の脚とガオーの首回りの大きさを見比べて
「僕の場合 肩車されるのは 無理がありそうだ。股関節が脱臼しそうだよ」と返した。
ガオーは 意外そうな顔でレインの脚を見て
「そういうものなのか?」とこたえた。
「じゃあ 俺の肩の上に立つのは?」ガオー
「さすがに この歳になると怖さが先に立って無理だな」レイン
「右に同じ」ミオ
「僕は平気」ダニー
「生意気言っちゃって」ミオ
「かご希望」レイン
「かつぐのは こども限定サービスに決めた!」ガオー




