村の共同作業
ロビンと話した翌日、半休をとって アランの家を訪問した。
「アランなら 作業場にいるわ」
奥さんのパティが出てきて 案内してくれた。
作業場は アランの家の納屋の地下にあった。
そこでは 大きな机の周りに 3人の男が立っていた。
アランは、 「ダンディ」「イケメン」と 一人一人を指さして紹介してくれた。
「やあ」ダンディ
「よろしく」イケメン
「ダンディは 建築関係の設計、イケメンは 家具などの設計が得意なんだ。
君が 今住んでいる家の図面を引いたのもダンディだよ。」アラン
「そうだったのですか!
頑丈で広々とした間取りの家をありがとうございます!」
俺は ダンディに頭を下げた。
「どういたしまして」ダンディはうなづいた。
「それで?」アランが こちらに話しを振ってきた。
「実は 本棚の件について ロビンに相談したら、遠方から取り寄せずとも
村の人が作れるのではないかと言われたのです」
「そうか。で 君の意向は?」アラン
「もし可能であれば、そして 値段の折り合いがつけば」
「予算はどれくらい考えているの?」アラン
「本棚だけなら10万くらい、その他の内装も込みなら 総額100万くらい」
「へぇー 内装も考えているのか?」イケメン
「私も 10年ほど土木建築業をやっていたので、材料の目途がたてば
ゆっくりと 自分でも内装を整えていこうかと考えていました。
そして 私の手に負えない作業は プロの方にお任せできればとも」
「無理せずとも いつも通りの『俺』でいいよ。」
「ガオーは いわゆる スローライフで 手作りの家で住みたいと考えているのかしら?」お茶の支度をしてくれていたパティが、ティーテーブルの方に手招きしながら言った。
「さあ ゆっくりと座って話しましょ」パティ
「そうだな」アラン
「ありがとうございます」「いただきます」俺たちは 口々にパティに礼を言って座った。
◇
お茶を頂きながら 俺は話した。
「確かに 言われてみれば そうかもしれません。
ゆっくりと 住居を整えて、住み心地よくしていく、
そういうことへの憧れはあります。
でも 基本的な知識は不足しているかな」
「ここでは 基本的に自給自足なんだ。
そのために いくつかのグループに分かれて 共同作業をしている。
君は 一応 町では 運送関係の責任者&主担となっているけど
この村では 建築班にはいるかい?
現在 建築班の代表は
班長・製材 アラン
植林 ラッド
大工 ダンディ
木工 イケメン
と別れていて、その時々の人手は村人が随時参加して手伝う形になっている。
君は 力自慢のようだから なんなら 樵と運送を中心に力仕事をやるかい?
費用に関しては、例えば使った材木の分だけ、苗の購入資金を出したり
植林から製材までの作業を手伝ったりと言った感じで、労力&金銭力のトータルで補うことになっている。
あと 自分で手掛けたい作業に関しては、その道のエキスパートに個人的に弟子入りしたり助言を仰ぎたまえ。 もちろん 相手が 君を受け入れてくれることが前提条件になるけど」
「村の仕事と町の仕事の 時間配分は?」
「それは その都度 要相談というか 自分で調整するよりしかたがないね。
町での仕事は そんなに時間がとられるのかい?」
「実はそれほどでも。どちらかと言えば 待機時間が多いです」
「街でも村でも、絶対やらなければならない仕事と、各自が自主的に片づけていく仕事に分けることができるからなぁ。
村で ブラブラしていると、町の警備係や荷物引き取り人の役に送られるし
町で ぼーっと立っていると・・本の片づけを打診される」
ダンディが笑いながら言った。
「僕は 木工が好きなんだけど、毎日需要があるわけではない。
だから レインが引っ越してくるまで、町の警備の仕事を割り当てられることが多くって。
あの仕事 退屈な割に、外来者が来た時の応対がむつかしくてさ・・
レインが引っ越してきてくれて、僕は非常に助かった。」イケメン
「実は 先日レインから 図書館長をひきうけたらって すすめられました」俺
「ははは そういう打診が来るから、この村の者は 町の警備役や荷物の引き取り役をするのを避けるんだよ。
だれかが よそ者対応をしなくてはいけない。
よそからの荷物の受け取りもしなくてはいけない。
でも めったに 町まで覗きに来るものはいないし、荷物の引き取りもない。
だから はたからは 暇そうに見える
だったら 本の片づけをしながら待機して、
メイスやレイスが 外来者の接近を感知してから持ち場につけばいいって
言われのが 嫌なんだよ」ダンディ
「確かに あの本の山をどうにかしろと言われるのは パスだな」イケメンも同意した。
「だから レインが 町の警備員の仕事を週に5日引き受けてくれるようになってありがたかった。
そして 週の2日だけ、僕たちが交代で警備の仕事と 荷物の受取役をしていたのだけど、
子育て中のレイン一家は 何かと よそから取り寄せる荷物も多いから
配達・運送に特化した君が来てくれて、毎日 そのために町まで行って待機してくれるようになって、
レイン一家は、すごく助かっていると思う。
おかげで 僕たちにも 時間的にゆとりができたから
本業の仕事が増えるのは歓迎さ」
イケメンの言葉にダンディが大きくうなづいた。
「嫌な仕事は 少ないほどいい
好きな仕事が 増えるのは歓迎だ」ダンディ
「というわけで 忌憚なく 君の内装プランを話してくれたまえ。
そのうえで 何をどこまでやるか、費用の負担方法について
話し合って決めようじゃないか」アランが言った。
◇
このあと、ラッドの所に行って、材木の入荷状況を確認して、
アランが製材計画をたて、
俺とダンディとイケメンで 実際の作業に取り掛かることにした。
◇
このようにして、ガランとした箱のような家だった俺の家の内側が少し変わることになった。
ダンディとイケメンの二人で、間仕切りや棚などの設計をしてくれたんだ。




