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ある街  作者: 木苺
第二章 ガオーの新生活
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月夜の晩に

オーガのガオーが、オオカミ村に転入したのは16夜だった。


それから約1か月たった、15夜の晩。

久しぶりに ゆっくりと満月でも鑑賞しようかと 家の外に出たガオー


なんだか 森の方が騒がしい。

オーオーと叫び声のようなものが聞こえる。


何かあったのかと思い あたりの様子を伺ったが、特に変わりはなし。

窓から明かりが漏れる家はあっても 家の外に出ている人影はなかった。


月はこうこうと輝いている。


(そういえば 森が騒がしい日もあるが、村の中に人影がなければ 心配せず家で過ごすように、むしろ 騒がしさの原因を探ろうと勝手に森に入って行ってはいけないと言われたなぁ)

ガオーは オオカミ村に迎えられたときに 村長のアランから言われたことを思い出した。


(あした 出勤する時レインに聞いてみよう。

 おれは まだまだ新参者だからな)


◇


翌朝 いつものように 村の中心にある地下へのエレベータでレインと落ち合ったガオーはさっそく尋ねた。


「ゆうべは 森の方がずいぶん騒がしかったようだが?」


「そうかな?」レオン


「おい とぼけるのはよせよ。

 オオカミ獣人は オーガより聴覚が優れていて

 おまけに お前んちは 俺の家より森に近いじゃないか。

 オーオーと言った 叫び声のようなものが 森の奥からしたのを 聞いてないとは言わせないぞ」ガオー


「なぜ そういいきれる?

 君のうちも 僕の家同様に 断熱・防音仕様じゃなかったっけ?」


「たしかに 言われてみれば。

 しかし 俺は 夕べ 満月を見に庭に出たんだ。

 そしたら 森の奥の方か 叫び声のようなものがした」ガオー


「ここは オオカミ村だ。

 満月の夜に 森で集会を開いているとは思わないのか?」


「オオカミ村って 名前だけじゃないのか?

 そもそも オオカミ獣人は 君の一家だけなのでは?


 おれは 君たちオオカミ獣人と 転移孔から来た人狼物語とは無関係だと正しく理解しているぞ」


「あー そういえば メイジが 君が読書家で 正しい知識を身に着けていると感心していたなぁ。


 だから うちのダニーの姿を見ても 驚きこそすれ、純血種の坊ちゃん こんにちわって挨拶してくれったけ」レイン


「そうだよ」


「じゃあ 偏見なき心で聴いてほしいのだけど

 この村の男たちの中には オオカミ男であるという自己認識のもとに、

 月夜の晩には 夜中に大声大会を開く連中がいるんだ。」


「へっ?」ガオーはあっけにとられた。


「それでな、そういうことを 新参者にいちいち説明するのが面倒で

 君の家と それから 君より少し前にこの村に転入した俺の家は 防音効果ばっちりなんだよ。


 ほかにも 何軒か防音処理をした家に住んでいる者がいる。

 一方で シェリーの家のように そこまで防音材を入れていない家に住んでいる人もいる。


 だから この話を村でするときは気をつけろよ。

 夜中の大声大会を迷惑に思っている人と、楽しんでいる人と 両方いるからな。

 そして 迷惑に思っている人達の中には このことで村外の人から、からかわれるのが好きじゃない人もいる。」


「あぁ わかった。

 じゃあ この話については どこでなら 詳しく聞かせてくれる?」

ガオーは レインに尋ねた。


「改めて日をとるよ。

 少し時間をくれ」レインは答えた。


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