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ある街  作者: 木苺
第二章 ガオーの新生活
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ガオーの新居

けっきょく 俺の家は、オオカミ男の村の真ん中にある 地下道へ降りるエレベータのそばの家になった。

近所には、オオカミ獣人のレイン一家が住んでいる。


オオカミ男といっても 見た目は 普通の人間。

 でも 意外と力持ち。


その中に住む オオカミ獣人一家。

 レインは 獣人らしく 獣耳もしっぽも ふさふさとした体毛もある。

 奥さんのミオは 人間っぽい外見だ。

 息子のダニー君は黒い狼姿で走り回っていることもあれば

 3歳くらいの男の子の姿でいることもある。


一家の大黒柱のレインは、その外見を活かして、「ある町」の番人をしていた。


そう、町で俺に声をかけてきたオオカミ獣人が、レインだった。


そして 俺の仕事は、ある町に届く荷物を、町の近くのオーガステーションから引き取ってきたり、郵便物の受け渡しをする係。


つまり 表向きは、「ある町」在住の配達人として隠居暮らしを始めたってことになった。


この「ある町」というのは、人目に付く部分は 一種の表看板というか偽装された町で、実際には 地下道を使って、付近の山や森林の中に隠された居住区画とつながっている。


俺もまだ その全域を見たわけではない。


◇


今の所、俺が通行を許されているのは、オオカミ村と 表看板となる「ある町」をつなぐ地下通路だけ。


一応、地下通路の出口となる建物が 表向きの俺たちそれぞれの家ってことになっている。


レインは一人暮らしのオオカミ獣人。

俺もまた一人暮らしのオーガってわけ。


俺はべつに 表看板となる街に住んでも良かったんだけど、

そこは人間仕様の建物の町だから、オーガの俺にとっては、鴨居(かもい)が低くて 出入りのたびに頭をぶつけそうになる。


その点、オオカミ男の村の家は 頑丈で、俺が運動しても壊れる心配はない。

そして 大柄な男達に合わせた建物なので、俺も頭をぶつける心配をしなくて済む。

というわけで 俺の本拠は、「オオカミ男の村」略して「オオカミ村」になったわけ。


◇


えっ?人間仕様の町になぜ住もうと思ったかって?

この世の町は たいてい人間仕様なんだよ。

 俺の故郷のオーガ村とか、各地に点在するオーガステーション以外はな。


だから 最初から 気に入ったの町の家を買い取って、俺好みに改造するか

空き地を買ってオーガ仕様&本をいっぱい置ける俺用の家を建てるつもりだったわけ。

 だから 転居先選びにも時間がかかったのよ。

  オーガを受け入れても良いと住人が考えて

  なおかつ 俺にとって居心地の良い家を建てることを許してくれて

  本の取り寄せもできる町 etc

  と 俺なりの選定条件があったから。


◇


新居が決まって 真っ先にやったことと言えば、

実家や オーガステーションの近くの倉庫部屋に置いていた 俺の私物を全部運び込むこと。


そして 大きな本棚を特注したこと、だ。

もちろん 自分が注文した本棚は自分で運ぶつもりをしている。

私物を運び込んだ時同様に。


本当は たくさんの本も取り寄せようかと思ったんだけど、

レイスもメイジもロビン町長も読書好きで この町には 大量の本があった。


だから 俺は まずは この町の蔵書を読破することに決めた!


◇


「君 そんなに 本が好きなら 図書館長になりたまえよ」

町の仕事の当番日に、一緒に地下通路を通って出勤する途中、レインが言った。


「なんで 俺が図書館長に?」


「まず第一に 本が好き

 第二に力持ち。


 本の管理って、書籍を分類して、管理番号をつけて、

 図書台帳に記すだけでなく、

 書棚に並べることも仕事のうちなんだよね。


 メイジもロビンも 本を集めるばかりで、他人が読むことまで想定していないから、興味をなくした本は 空き部屋に放り込んでそのままなわけ。


 しかも なにしろ長生きだから蔵書の量も膨大で・・

『xxなら この部屋に入れた』と言われて

その部屋に行くと 本がぎっしりと積み重なって・・

全然取り出せないわけよ。


だから それを君が 1冊づつ整理して 書棚に並べてくれるだけで 僕たちは助かる。


僕も読書が嫌いなわけでもないし、片づけだって普通にやるけど、あの本がぎっしり詰まって積み重なっている山に手を出す気力はないなぁ」


◇


昼休みに、レインに連れられて行った 町の公会堂の地下にあるロビンの家の蔵書室、確かに 本が詰め込まれた巨大トランクみたいな部屋だった。それが 無数にある><


その本部屋が連なる廊下に立って 唖然としていたら

ロビンがやってきて、

「君が これらの本を 書棚に並べてくれるだけでも助かるなぁ。

 町の住民全員から感謝されることまちがいなし!」

とにこやかに言いやがった。


はぁ~ どうしよかっなぁ・・。


俺 読書三昧したいんであって、

本運びをするためにこの町に引っ越してきたわけじゃないのだが。


◇


とりあえず今日は 荷物引き取りの予定はないから

「ある町」の端っこに割り当てられた 表向きの俺の部屋で

ゆっくりと本を読みながら待機しようっと。


なんか 二拠点生活しているみたいで へんなの。


◇


一応、この町の住民の義務として、

表看板となる町(略して表の町)から離れたところに住んでいる住民も

交代で 表の町での 仕事をすることになっている。


オオカミ獣人のレインは その外見を活かして警備の役。

(出勤率は高い)

レインが休みの日は ほかのオオカミ村の住人が行く。


もっとも オオカミ村の住民たちの主な仕事は 村近辺での食料生産活動(農林畜産業)だ。


そして俺はと言えば、この町に引っ越したばかりだから

知り合いの記憶から 俺の存在が薄れるまでは

念のために、表の町の住居に住んでいる偽装を確かなものにするために、表の町の家で読書をしながら、

オーガステーションへ荷物(俺あての私物だけでなく この町全体への貨物も!)を取りに行くための待機が仕事。


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