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ある街  作者: 木苺
おまけ
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28/39

収納魔法と変身の練習

レイン夫婦は 早速 人間の姿からオオカミの姿へ、オオカミの姿から人間の姿へという二通りの変身を学ぶことに決めた。


やはり息子のダニーと一緒に思いっきり 庭を走り回りたいと、レインが思ったからだ。

 ダニーは 楽しそうに当たりを走り回っている。

 うらやましい。


また、そろそろいたずらを覚え始めたダニーが、叱られそうになると全速力で逃げ出す。

それを捕まえようとしても すばしっこくて 足もも速くて、人間形態のままでは 捕まえられない。

 必然的に 適切な注意をするタイミングを外す。

これは 子供の教育上よくない という親としての気持ちの強いミオ。


そこで 二人は改めてラッド家に行き、シェリーに変身の方法を習いたいと依頼した。


「いいわよ。

 まず 私が ミオに変身の方法を教える。

 そのあと、ミオがレインに変身を教える

 そういう順番で行きましょう」


「僕たち夫婦がそろって 君について習う訳にはいかないのかい?」


「あのね 人間が服をきたままオオカミに変身すると、着ている服が破れることがあるの。

 逆に 服を着ていないオオカミ姿から 人間の姿に戻ると、裸なの。

 だから 同性どうしで練習するのはありだけど、異性と一緒はねぇ。」


「たしかに」レインは 少し赤くなった。

しかし 少し考えてから言った。

「僕の場合 獣人姿が普通なので、別に服を着ていなくても 大丈夫なんだけど」


「そうなのか?」驚くラッド。


「だって オオカミは服を着ないだろ?

 本来なら獣人も服を着なくていいはずだぜ、少なくとも 僕のように2足歩行の獣タイプは」レイン


「ただ 今は、「獣耳としっぽがついただけの人間」みたいな獣人も増えているから、

 獣タイプの獣人も 服を着るのが一般的って 言われるようになっているわ、

 私たちが産まれた町では」 あわてて 補足というか修正意見を出すミオ


「でもさ、僕みたいに 全身ふさふさの毛が生えているのに服を着るのは暑苦しいし、抜け毛が増えるし

 服の洗濯も大変だろ。

 僕だって 全身ハゲになりそうで 嫌なんだ 本当は!」レイン


「あー この村では レインが裸であるいていても 誰も何も言わないかな?

 でも2足歩行するなら 半ズボンぐらいははいてほしいかな?」

ラッドは シェリーの顔を見ながらつぶやいた。


「その点については まず、ご夫婦で話し合って決めてね。

 それで 今日は オオカミ姿と人間姿に変身する件について、に話しを戻しましょ」シェリー


「そうね」ミオはシェリーの言葉に賛成した。

「ところで、オオカミ姿に変身中、服をどうやって持ち歩くの?」ミオ


「自分の部屋で変身すれば、服は 自分の部屋に置いたままでも大丈夫よ。

 持ち歩きたい人は、変身できるようになったら 今度は収納魔法を覚えるか、

 マジックバックを購入することになるわ。

 そのどちらについても メイジにお世話になることになるわね。

 私は 収納魔法が使えるけど 教えられるほどの力はないから。」シェリー


 「マジックバックっていくらくらいなのかな?」レイン


 「それは 時価というか、依頼したときにメイジが何を必要としているかによるわね」シェリー


(この村では 誰かに何かを教えてもらうのも、あるいは何かを手に入れるのも

 いわゆる『時価=その時双方が欲しいもの・してほしいこと」の交換なのである。)


ちなみに シェリーがミオに変身方法を教えることに対する対価は

レインがラッドの仕事を手伝うこと、に決まった。


◇ ◇


・シェリー先生による ミオへの変身教室は、レイン家の居間(=子供部屋)で行われた。


「じゃあ これから変身するから 五感六感を働かせて よく見ていてね」

シェリーは パッと変身した。オオカミ姿に。


それから また 人間の姿に戻った。(ちゃんと服を着ている)


「最初はまず 服の自動着脱こみの 変身を見せるから。

 ダニーは しっかりと見て できるところを真似をしてごらん」

そういって シェリーは何度か 人間姿とオオカミ姿を 行ったり来たりして見せた。


「じゃ 次は 服無しで練習するから、

 ダニーは見ないで 変身の雰囲気だけを感じ取ってね」


ダニーは 不服そうにうなった。


「人間姿の時は 親子以外のあいだがらでは 異性の前で裸をみせないものなの」

シェリーは説明し ミオも うんうんとうなづいた。

ダニーは不思議そうな顔をして うなづいた。(とりあえず了解したらしい)


そこでシェリーとミオは キッチンに行って 扉を半分だけ閉めて

ダニーからは 見えないように、でも気配は感じ取れるようにした。


◇


「最初は 服を全部脱いで いっしょに変身しましょうか」


二人は裸になって向き合い手を取り合った。


「はい!」

シェリーが 掛け声をかけると 二人一緒に変身した!


ミオは驚いた、

後足で立ったオオカミ姿で、前足を触れ合ったままの対面姿で 自分達がオオカミ姿でいることに。


思わず「ワオン!」と吠えてしまい、自分の声に驚くミオ


(手を放すわよ)シェリーからの念話を受け取ったミオは 尻尾を振ってOKのサインを出したときには すでに自分の4本足で立っていた!


驚きのあまり お座りをしてみたり 立ち上がったり。


「外を走りに行ってもいい?」思わずテレパシーで話しかけると

「僕も 一緒に行く!」ダニーがテレパシーを発しながら キッチンに駆け込んできた。


「シェリーおばさん?」テレパシーで話しかけるダニー

「なあに?」

「ママと一緒に 庭を走って来てもいい?」


「ママは まだ この姿で走るのに慣れていないから、少しだけね」シェリー


「はーい」「ママついてきて」ダニーは外に駆け出す。


「あ、待って そんなに早く走れない!」

シェリーは オオカミ姿で 床を踏みしめるように歩いて外に出た。


「変身すると 視界がかわるのね!」ミオ

ミオの傍らを歩くシェリーが答える

「目の位置が かなり下に下がるから ほんと目に入る世界もかわるわ」シェリー


ずいぶん離れたところまで走っていたダニーが 二人のテレパシー会話を聞いて戻ってきた。


「変身すると見える世界が変わるの?」ダニー

「そうよ」シェリー

「そうね」ミオ


「わー だったら 僕も見たい!」

ダニーは「ウォン!」と叫んで飛び上がり、人間の男の子の姿になって着地するとき 少しよろめいた。


「わーーーー!」「足が痛い!」泣き出すダニー

あわてて 人間姿に戻った シェリーとミオ


シェリーはちゃんと服を着ていたが

とっさに人間に戻ったミオは、すっぱだか。

もとから服を着たことのないダニーもはだかんぼ。


裸の母を始めて見たダニーは 驚きのあまり泣き止《や》んだ

「ママの臭いがするのに ママじゃないあなたはだれ?」念話で問いかける。


ダニーを抱き上げようとしていたミオは固まった。

「私は ミオ あなたのママよ!」


「うそだい! ママはそんなかっこしていない!」


「ダニーは 人間の裸を今まで見たことがないの?

 もしかして 服を着ているときの姿しか知らないの?」シェリー


ミオは ジタバタ暴れるダニーを抱き上げて家に入り

キッチンに連れて行って、そこに置き去りになっていた服を慌てて着てみせた。


服を着るミオを見ていたダニーは

「ママ」と不思議そうな顔で呟く。


一方のミオはと言えば

再びダニーをだきあげ、ベビーベットに寝かせて足の状態を確かめる。

「おかあさんが触ると 痛いところは?」と問いかけながら。


「さっきは痛かったけど 今はもう大丈夫」ダニー


「よかった あとで お医者さんに」といいかけて、シェリーに尋ねた、

「ここでは 体の具合が悪くなったら 誰に見てもらうの?」


「自分達で手に負えない時は メイジに見てもらうわ」シェリー


「念の為にメイジに見てもらえないかしら?」ミオ


「自分で呼びかけてみて」シェリー


というわけで ミオは メイジに意識を向けた。


なんとかメイジに念話が届いたようだ。

「どうした?」不機嫌そうなメイジの声(念話)


「実はダニーが」テレパシーで圧縮概念を送る


メイジは 遠方からさっと状況を読み取り

「心配ない。

 これが大人なら つまらぬことでわしを煩わすなというところだが

 子育て中の まして初子《ういご》の母親なら仕方がないな。

 落ち着いたら うまい酒とつまみをもって礼に来い」

そういってテレパシーがプツっと切れた。


(この町にも 医者が来たらいいのに)というメイジの残響《つぶやき》を残して。


◇


このあとしばらく、ミオとシェリーは ダニーの「なに? なに? なぜ?」

という質問の嵐に見舞われた。


さらに 仕事から帰ってきたレインは、

「パパは なぜ いつも毛皮を着ているの?

 毛皮を脱いだら ママみたいな裸になるの?」

とダニーから質問されて、大いに困った。

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