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ある街  作者: 木苺
オオカミ獣人の一家
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26/39

新居にて

玄関ポーチは広く、扉付きの棚と水場があった。

 外回りの仕事で汚れた手足を洗うためだそうだ。


玄関の戸は 引き違い戸で広い。


そして 中の土間も広かった。

壁際には作り付けの下駄箱と、帽子&コート掛け。


上がりかまちは高めで、そこに腰かけておしゃべりもできるようになっている。


上がりかまちの奥は半間《はんげん》ほどの奥行で戸と壁で仕切られていた。


「このあたりは 冬はけっこう冷えるので 二重扉も兼ねているのよ」シェリー

入口の左側にあるトイレの戸を指さしながら、シェリーは言った。

「せっかく二重扉で居室を温かくしても、トイレに行くときに この寒い場所を通るのは 問題よねぇ・・、

でも 臭いが気になる人もいるから一長一短なのよ」


「もしかして このあたりは 汲み取り式なんですか?」ミオ


「そうなの。一応 浄化槽式だから 人間の鼻だと臭わない。

 でも オオカミ形態に変身したときに 臭いが気になるという人もいて。


 生粋のオオカミだと そういうこと気にしないと思うのに

 人間の姿から狼に変身できるからって、変なこだわりを持つのも どうなのかと思うわ」

としかめっ面で言うシェリー


思わず吹き出してしまった。

「ごめん。どこにでも いろいろなこだわりを持つ人がいるんだなぁと思って」と言い訳をしたミオ。


「独自スタイルをとる私たちの村にも 巷《ちまた》の噂話に影響される人はいるのよ。

 それも しょーもないことで。」 シェリーは笑った。


◇


二重扉の向こうは客間、その奥は、階段を挟《はさ》んで風呂場とキッチンに分かれていた。

客間の隣は居間であり、その部屋はキッチンの手前でもあった。


客間部分に、現在は 荷ほどきをしていない箱が並べてあった。


居間には ベビーベッドと大人用の簡易ベッドが置いてあった。

 ダニーが一人で自分の部屋で眠れるようになるまでは、私たち夫婦が交代で、ダニーと同じ部屋に寝ることにしている。


 そして 妻が家事をしている間も ダニーが母親の存在を感じられるように

当面1階の居間が子供部屋だ。


◇


こういう部屋の配置は、ドラゴン便で配置しているときに決めた。


飛行中 メイジから渡されていた通信機が点滅と振動音で呼び出しコールを発した時には驚いた。


まさか 念話を増強する通信機があるとは、夢にも思わなかったし、実のところメイジから手渡されたときも半信半疑だった。 そんな 長距離通信ができるのか? しかも移動中に!と。


だけど そのまさかであった。

ちゃんと通信できたし、なんと 念話だけでなく 室内イメージが 通信機を通してテレパシーで送られてきたのだから!!


なので、送られてきたイメージ図を基に ドラゴンに背負われた箱というか移動用室内の中で ミオと二人で相談してとりあえずの家具の配置を決めたのだ。


そして そのイメージ通りに 新居の中に家具が置かれていた!


本当にありがたい!

と同時に 隣人に 家の中の間取りが筒抜け状態なのがいささか恥ずかしくもある。


生まれ育った町では 非テレパスの方が多かったので

テレパス同士でも プライバシーを尊重して、人の頭の中をのぞかない、どころかテレパシーでの会話そのものも ごく親しい間の者同士での限定使用であったから。


この町のように ほぼ全員?テレパスで、長距離通話として念話やテレパシーを使って交流すのもびっくりだが

共同体だからと 初対面の人間を受け入れるにあたっても、身内のように親身な世話をする人間関係にもびっくりだ。


でも これから それに慣れていかなくては!


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