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ある街  作者: 木苺
オオカミ獣人の一家
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23/39

町長ロビンの朝

僕はロビン、この町の町長。

この町の古株。


ずーっと町長をやっていると疲れるので、時々休眠する。

その間は 別の者が町長を務める。


最近、再び 町長に復帰。


◇


朝、9時。 お仕事開始。


席につく。


秘書のウルフ(オオカミ男)が コーヒーと郵便物を持ってくる。


彼が 初代ウルフ(秘書)から数えて何代目なのかは忘れた。


この男も 気が向くと 満月の夜に月に向かって吠えることがある。オオカミの姿に変身して。

普段は 人間形態だ。


オオカミ男の一族は、遠吠えしたり オオカミ姿で走り回ったりすることがあるので、人族の町では暮らしにくいと言って、この町の住民となった。


◇


オオカミ男の先祖も、大厄災の時に よその世界からこの世界に落ちてきた側だった。

この僕と同じように。


ちなみに オオカミ男属には、歴とした女性もいる。

だから 正確にはオオカミ男ではなく「人狼」と呼ぶべきなんだろうけど、

「人狼」というと より凶暴なイメージがするし、

一般的には 人狼女性たちは 同族外の者に オオカミ形態を見せないので 一般的には「人間女性」だと思われているから、この町では、オオカミ獣人と区別したいときには「オオカミ男」と呼ばれている。


このグループが、町で住むようになった話は省略。


◇


オオカミ男たちは、町の仕事を引き受けてくれる時は、すごく真面目に仕事をする。

時には 休眠中の僕にかわって 町長を務めてくれた者もいた。

 力も強く頭脳明晰でテレパシーも使えるのに、「ごく普通の たくましい男性」にしか見えないから

 外部の人からも一目置かれるから、外部の人には受けが良い町長となれるんだ。


でも そうじゃない時は、町の外縁部の居住区で、自分達だけで 気ままに暮らしていた。


しかし、たまによそへ出て行く冒険家気質な者が出てくる。


そのうちの一人が、遠方のオオカミ獣人と親交を結んだ。

その縁は 次世代へとつながった。


◇


ウルフが持ってきた郵便物の中に、オオカミ獣人が住む町に遊びに行っていたオオカミ男からの便りが入っていた。

 珍しい。


何があったのだろうか?


オオカミ男からの便りの中に含まれていた オオカミ獣人のリーダーからの便りには

『オオカミ獣人の夫婦の子が 先祖返りのモン族形態で産まれた。

 人間達や テレパシー能力のない一部のオオカミ獣人たちからは、奇異な目を向けられている、

 親子共にテレパシー持ちなので、このまま 心無い人々の好奇心や偏見にさらされて赤ん坊が育つことも、そうした我が子と共に傷つく親たちの苦労と心情を思うと、耐えがたい。


 しかも オオカミ形態で産まれた子は 人の姿で人としての生き方を学ぶことと

 オオカミ姿で 自由に森林や草原を走り回ることで発達することの両方が必要だ。

 しかし 今の環境では オオカミ姿で自由に走り回ることのできる場所がない。


 ゆえに そちらの町の住民として受け入れてもらえないだろうか?」

と、書かれていた。

なるほど、もっともな依頼であり希望である。


 そして ここには書いていないが、将来 完全な人間形態と完全なオオカミ形態しかとれない場合、二足歩行のオオカミっぽい外見のオオカミ獣人の中で 浮いた存在にることも視野に入れての依頼であると察した。


◇


さっそく、メイジを呼ぶ。

メイジはレイスを呼んだ。


最終的に メイジとレイスの二人で、転入希望夫婦の居る町へ行き、事前審査(隠密調査)を経て、夫婦と面談し、合格判定を出した。


◇


そこは かなり遠隔の地であり、魔法を使わず地上を移動していたのでは、1年以上かかる。

なので、うちのドラゴンに迎えに行かせることにした。


◇


実は、大厄災の時に この都市が この世界にぶち当たった時に生じた亀裂の一つが、 この近辺にあったドラゴンの営巣地(⇦地下の洞窟にある)につながったのである。


我が町に住み始めたオオカミ男たちは、ドラゴンと仲良くなった。

両者は 気があうだけでなく、テレパシーを使って意思疎通ができたのである。


  時は流れ・・


大厄災後のこの世界でも、人間達の人口が増えるにつれ、狩りの対象とされた各地のドラゴンに生存の危機が訪れた。


同じころ、テレパシー能力のあるオオカミ獣人たちのグループも

テレパシー能力を持たないオオカミ獣人や人間達から迫害されていた。

 げに、人間とは偏狭で暴力的なグループほどのさばるものよ><


たまたま そのころ 我が町から 「世界を見たい」と旅に出た一人のオオカミ男が、テレパシー持ちのオオカミ獣人の一家と親しくなり、しかも その一家の居住地の近くに、我が町近辺とは別のドラゴンの営巣地があった。


そこで、オオカミ男は、オオカミ獣人にテレパシーを使ってドラゴンとコミュニケートする方法を教え、両者に対して ドラゴン運送会社を立ち上げることを提案した。


つまり テレパシー能力持ちであることは部外秘にして、

しかし 実はその能力をこっそりと使って、運送会社を経営することにより、

ドラゴンにも テレパシー持ちのオオカミ獣人にも

居場所と仕事を確保する方法を教えたのである。


人間とは 自分とオツコツの者が 己よりも優れた才能がありそうだと感じるや 妬み、蹴落としにかかる。まるで そうしなければ 自分の取り分が減るかのように思い込んで。


理性的なものほど 公平さを重んじる。

愚かな者ほど 己の感情を中心に価値判断をするし、行動化する。

 他者を蹴落としたり、己の優位さを誇示することにより、自尊心を満たそうとする。


しかしまた 絶対的に優れた者、さらにその存在が己にとって利をもたらす者に対しては、一定の敬意と服従を示す。 (愚か者ほど むこうもまた己と同列の発想をすると思い込むから始末に悪い)


それゆえ テレパシー持ちのオオカミ獣人たちは、誰もが畏怖を抱くドラゴンを使役して(と卑しきものは思い込んでいる)運送業を営むことにより

人間社会に置いて有益な存在であり、なおかつ 賢く付き合って(つまりお金を払って)

その活動を利用したい存在=地位ある者とみなされることになったのであった。


(単に強いだけの存在であれば、卑しき人間達は 衆を頼んで攻撃して屈服させようとするのが、その性(さが)なのだ。まったくもって厄介な><

 弱者から奪い 強者にへつらう卑しきものめらが!)


◇


このような縁《えにし》ができたがゆえに、

今も 時々 我が町に住むオオカミ男のうちの誰かが、

テレパシー持ちのオオカミ獣人たちが住む町まで 遊びに行くようになった。


◇


そして 今回 その縁をたどって、 テレパシー能力持ちのオオカミ獣人の一家が 我が町に転入してくることになったのだ。


これは 我が町にとっても オオカミ男たちにとっても 画期的な出来事である!


なぜなら この世界においては、「オオカミ男」は 転移孔の向こうの物語の中の存在とされてきた。


そして テレパシー持ちオオカミ獣人たちも、自分たちにドラゴンとのコミュニケート方法を教えてくれたのは、「モン族オオカミオオカミ獣人の生き残り」だとしか思っていないのであるから。



一応は、メイジとレイスから、この夫婦は、

この町の秘密を守るための誓約魔法を受け入れたうえで、

この町には、昔話のオオカミ男のように 月に向かって吠えるのが好きな者たちが 隠れ住んでいるし、たまにオオカミ形態で産まれてくる子もいるから その子たちのための保育環境も整えてあるということは、説明を受け、それに対する忌避感のない親子だと確認した、

という報告は受けているのだが。

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