さらに年月が過ぎ・・
・メイジ視点
時とともに 「大荒廃」はゆっくりと過去のものとなり
町と町をつなぐ道は さらに拡がっていった。
その結果、「大荒廃」のきっかけとなった「世界変動」によってできたものの存在が少しづつ世に知られ始めた。
それは、「転移孔」と呼ばれるようになった。
この「転移孔」というのは、異次元との接点と言ってよいだろう。
我々が気づかぬうちに その転移孔から訪問者(異世界の生物)や「情報」が我らの世界に入ってきた。
これらのことについては またいつか別の機会に話すことにしよう。
◇
この町にとっての問題は、
この世界での復興が進み、人々の往来が盛んになってくれば、
必然的に この都市の存在も世に知られることになるのではないか? それをいかにして防ぐのか?
ということである!
この都市の外観は あからさまな異世界仕様であった。
つまりは 考古学者やらお宝ハンターに目をつけられたら 悲惨なことになる!
最初のうちは、都市の周囲に「惑わしの結界」を張って、他者を寄せ付けないようにしておった。
それでも 近づいてくるものはとらえて尋問し、xxして町の住人として働かせたり
あるいは 記憶を抜き取ったり書き換えて 遠くの荒野に放り出したりした。
何百年か経つうちに 巨大なビル群も崩れ始めた。
少しづつ 信頼できる仲間=住民も増えた。
そこで 今度は 街並みそのものを改編した。
住民たちが持つ、各々の特技を活用して。
今では 「この町」の外観も すっかり この世界になじんだものとなった。
◇ ◇
・レイス視点
世界が新しくなり、「この町」とよその町とをつなぐ道ができると、
「この町」もまた 新しい世界の一部として存在していくことになった。
変にバリアをはって、外界を拒絶しようとしても
外部からは、「あそこには なにかある」と認知されるだけだ。
町全体を透明化したとしても、「存在」そのものは隠すことができないから、ここを通りかかった人から不信感をもたれるだけ。
というわけで みかけだけは普通の町として存在し
よその人には さっさと通り過ぎてもらうのが一番! というわけ。
だから 「この町」には 宿屋はない。
ショッピングセンターもない。
道からみえる景色の一部としての町、それでいいんだ。
◇
あっ そうそう この町のことについては、僕とメイジとロビンの3人で話し合って決めた。
実際に 魔法を使って実行するのは、メイジ一人の肩にかかっているけど、
決定権は 僕たち3人が1票づつ持っていて、全員一致を原則としているんだ。
だから 当然 結果に対する責任も 3人が平等に背負うことになっている。
町の外観に関する 最終的な決定には、僕が集めてきた情報が多大な貢献をしたんだよ!
◇ ◇
・バンパイアであるロビンの視点
町全体を取り巻いていた「荒廃地帯」と呼ばれていた広い土地の所有権もしっかりと確保して、その地帯の「開発」そのものを私がコントロールした。
(この近辺のオーガ専用道もオーガステーションもすべて私が所有する土地を走り、その管理権も私が
握っているのだ!)
そうすることにより、むやみな者が 私たちの生活空間に侵入するリスクを減らしてきた。
このあたりの発想は、かつて 人間&バンパイアとして都市で生活してきた経験を活かしている。
◇
町の外縁部は 田畑や川や雑木林など非建造物で取り囲み、
その中心部に、家屋が立ち並ぶ、昔ながらの町であるように装った。
これらの家屋の多くは空き屋であるが、通りすがりの者には、空き家とは気づかれぬように手配しておいた。
そして 新たに住民として迎え入れた者たちには、その者達の役目と、それに応じた場所と家屋を指定して、与えた。
このようにして、町の中心部に よそ者の手が入るのを防いだ。
家が点在する村のように見えれば、よそ者が「開発」を看板に 土地や利権をあさりに来る、
それゆえ、昔から今現在も、安定した暮らしを営む町のように見せかけ、
よそ者に付け入る隙を見せないように気を配った。
◇
私たち3人は 共に力を合わせて 自分達の永住の地を作り上げ 守っている。
レイスの偵察力と情報収集力、
メイジのこの世界に関する知識と魔法
そこに私の都市運営に関する知識と経験を組み合わせて、
「この町」を 私たちにとって住みやすい終の棲家となるように作り上げた。
結果として 私が「町長」として、「この町」と「よそ」との折衝の際の代表者となった。
そして私の外見が 人間と同じなので
この町を ありふれた人間の町だと思っている者が多いのだと思っていた。
まさか 運送業のオーガ界隈では、この町が 「不思議な町」として噂になっているとは思っていなかった!




