新居
ロビンの居た巨大な町、ロビンが言うところの都市の中には 緑豊かな公園や植物園、そして森まであった。
鳥や動物たちは消えていた。
しかし 植物は残っていた。
土の中の生物の中には生き残ったもの達がいた。
幼虫や、中には卵の状態で 厄災をやり過ごし、やがて生まれてきたもの、地上に出てきたものもいた。セミのように。
◇
わしとレイスは 都市の真ん中の森の中の家屋の一つを 自分達の住処に定めた。
その建物の地下にはシェルターがあり、多くの人間のための10年分の食料や消耗品が隠されていた。
この「10年分」というのは、賞味期限・保障期間が10年と設定された製品であったという意味だ。
もちろん それらの保管庫には、時間停止魔法をかけて 中身を永久保存できるようにした。
◇
レイスは 植物が放つ「気」もまた エネルギー源として活用できるので、動物の居ない都市では、森で暮らすことが最も合理的選択であった。
都市には いくつかの地下シェルターがあった。備蓄付きの住居だ。
各シェルターには なんと「発電装置」なるものが付いていた。
わしは 太陽光発電の仕組みを学び、光熱に関しては、電気と魔法を併用する方法を編み出した。
早い話が 電気を使えるところでは電気を使い
電気のないところでは魔力を消費するわけだ。
しかし、レイスには 物理的な力がないので、電気のスイッチが押せない。
しかも レイスは、電流が流れることにより発生する磁界を、気持ち悪く感じるらしい。
そこで、わしの居宅や研究室、ロビンの住処と定点観測装置場所では電気を使い、
それ以外の場所では 電気を使わないことにした。
レイスは わしらが最初に選んだシェルター付きの建物から出ていき、
森の中の別の小屋で過ごすようになった。
◇
ロビンは 最初の頃は百貨店で寝起きしていたが、
やがて 地下シェルターの一つを模様替えして自分の居宅にした。
一口に模様替えと言っても、家具を入れ替えたり、彼好みの日用品を新居に運び込んだり、なかなかの重労働であった。
なにしろ ロビンは非力なので重量物を運べない。
だから わしの魔法で 運送やら 家具の移動やらを行うことになったのである。
まったく 年寄りをこき使いおって!
もっともロビンによると、彼も それなりの歳なんだそうだが・・
疑わしい!とわしは思っている。




