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ある街  作者: 木苺
  (1) 遥かなる昔
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メイジ

わしはメイジ。


同族と連絡を取り合うときには きちんとした名を呼びあうのじゃが

わしらの氏名を示すには、特殊文字と特殊な発音を必要とするので、他種族のものには通じぬ。


それゆえ 一人で他種族の者の前に立つときには「メイジ」と名乗ることにしておる。


ちなみに わしはもう長い間 同族と会ってはおらぬ。


◇


そうこうするうちに、気が付くと、世界が変わっていた。


同族に連絡を取ろうとしてとれぬので、遠見の魔法を使ってみたら

かつての町は廃墟となり、私の拠点(ねじろ)の周辺の地形も変っていた。


そこで たまたま 近くを通りかかったレイスを呼び止めて、何があったのかと問うた。


レイスにも 何事が起きたのかはわからぬようであったが、とにかく世界が一変していることだけはわかった。


レイスも いいかげん荒廃した世界をあてもなくさまようことにうんざりしていたらしく、

わしと拠点を共有しつつ、わしの目となり耳となり あちこち出かけてはどうかと誘ったら

その提案を受け入れてくれた。


◇


時は流れ、いつしか わしの拠点の周りに町ができてしまった!

 なんと わしの家が 新しい町の中心になっていたのだ!


わしもレイスも 人間との付き合いは苦手じゃ。

 「キャー」と叫ばれるのも、アレコレ詮索されるのも不愉快じゃ!


というわけで わしら二人は旅立つことにした。

 新たな拠点となりそうな所を求めて。


(もちろん 拠点にあったものはすべてマジックバックに収納して持っていく!)


◇


レイスが先行して できるだけ人里離れた、それでいて平地と湧き水のある土地を探した。

そして 夕暮れ時になると、レイスのいる場所に私が転移する。

夜間は 私が張った結界の中で2人は休息する。


翌日は 私が遠見の魔法で見当をつけた方向、もしくは行き当たりばったりの方向に向けて出発。

 なぜ レイスと一緒に私が移動しなかったかって?


 レイスの方が足が速いのだ、空を飛べるからw

 しかも 私は 体力自慢というほどではない。なにぶんにも高齢者なので。


そのような形で旅をつづけた。

 もちろん 離れていても 私たち二人の間で念話が通じるように、レイスに魔法をかけておいた。

 さらに 視覚・聴覚といった感覚の共有もできるように魔法をかけてある。


やがて、荒廃地区のど真ん中にある「街」を発見した!

街の周辺部分はがれきの山であったが、中心部分にはきれいな街並みが残っていた。

ただし これまで見たことがないような外見の。


◇


「この町」は、異次元?異世界?から 街ごと転移してきたものだった。

どうやら 私たちが経験した「世界変動・大荒廃」は 次元の衝突のようなものの、結果だったらしい。


「この町」の生存者は ただ一人だった。


種族はバンパイア=吸血鬼だ。



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