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【連載版】乙女ゲームの冷徹生徒会長に転生した元開発者、バグレベルに溺愛されてヒロインのフラグが1本も立ちません  作者: 高天原ヒロ
第三章 恋するエグゼクティブ2※続編として同内容を公開中!

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第五十七話 修学旅行・帰郷編〜想いの行方と、眠れる玲

帰りのバスで、玲はそれぞれの告白を思い返していた。



サクラ――。

『今度は私が玲会長を守ります! だから、もっと頼ってくださいっ!』 

『私が会長を幸せにしたいですっ!』

誰が見ても守りたくなる、可憐で心優しい少女。

初めは自信無げだった彼女は、個性的な生徒会メンバーの中で、ひたむきに自分ができることを探して、みんなを支えてきてくれた。

『恋エグ1』のシナリオでも、冷徹な玲が唯一心を許し、弱い自分をさらけ出し、涙を流した人。

彼女は恋エグの良心――。

彼女とだったら、玲は絶対に幸せになれる。



律――。

『もっと、俺を好きになって……。』

『俺のことだけ見て、俺のことだけ考えて――』

彼の愛情は、本当に純粋無垢だ。

世界にあまり興味を示さない彼が、こんなにもひたむきに愛情を向けてくれる。

それを、愛おしいと感じる気持ちは嘘じゃない。

時折感じる律の男の子としての顔に、ドキッとしている自分もいる。

彼は私の片翼――。

きっと彼となら、一緒に成長していける。



絢――。

『最後に隣にいるのが僕なら、それだけで十分です。』

『あなたの気持ちが育つまで、僕は待っていますから。』

美しい笑顔の仮面に隠された素顔は、怖いくらい献身的な愛情。

きっと彼なら、私の全てを肯定して全力で守ってくれるだろう。

そんな彼の危うい魅力に、目を奪われている自分に気付く。

彼は私の宝石(ルビー)――。

ずっと側にいて、自分だけでは見れない景色を彼なら見せてくれる。



豪――。

『お前に何かあったら――俺が嫌なんだよ。』

『お前には、どんな時でもずっと笑っててほしいんだ。』

彼とは本当に等身大の自分でいられる。

それはきっと、彼の言葉や行動に嘘や偽りがないから。

良い時は大いに褒め、間違っていたら全力で戒めてくれるだろう。

信頼できて頼もしい、私の太陽――。

彼となら、共に同じ歩調で歩いていける。


そして、ここにはいないメンバーにも想いを馳せる。


ソノ――。

『神!!』

自分と同じ境遇で、同じ悩みを持つ。秘密の共有者。

もし、違う状況で出会っていたら、彼女との恋愛もあるだろうか。

彼女とは、そんな話をもっともっとしたい。

ソノはこの世界で間違いなく、唯一の相棒(パートナー)――。



凌――。

『助けてくれなんて……言ってない。』

『今度は二人で出掛けようぜ? 俺が楽しい所に連れてってやるから!』

初めは野良猫のように、毛を逆立てていた彼。

それが、だんだんと心を許してくれる様子はとても愛おしく思えた。

『恋エグ2』のキャラクターで、唯一自分が手掛けていないこともあってか、母親目線というより純粋に推せる人。

私の可愛い子猫(kitten)――。

これから先、もっともっと彼の成長を見届けたいと思う。



桃色、クリーム色、真紅色、橙色、藤色、深緑色――

色とりどりのお守りを、玲は手のひらに乗せて一つ一つ愛しそうに眺めた。

私がずっと隣にいてほしい人――。

どれだけの時間が経っただろうか。

考え抜いた末、玲は一つの応えを出した。

六つのお守りのうち、五つを紙袋に丁寧に戻す。

そして一つだけを取り出すと、ぎゅっと握りしめ胸元に当てた。

(この人とだったら――未来を一緒に歩きたい。)

その想いを自覚した途端、ずっと蓋をしてきた気持ちが溢れ出した。

トクン、トクン、と甘い響きが胸を打つ。

(この旅行が終わったら、ちゃんと伝えよう!!)


その頃、昼下がりの生徒会室――。

ソノは一人、生徒会室で帰りを待ちながら片付けをしていた。

(みんな、沢山いい思い出が作れたかな?)

そんな想いで窓の外を眺めていると、どこからか電子音が聞こえてきた。

「ん? 何の音?」

ソノは、音のする方を探す。

どうやら発信源は、生徒会長机の引き出しの中のようだ。

「玲会長、すみません……開けますね?」

ソノはそっと引き出しを開けると、奥にある黒い端末を取り出した。

画面が赤黒く点滅している。

そこには――


『▶修正プログラム進行率 98%』

『▶存在修正まで 残り10分』

『▶対象コード:REI-KISARAGI』


「これは!? ……一体、何が起こってるの!?」

ソノは慌てて、端末のボタンを手当たり次第押してみた。

しかし、表示は変わらない。

『残り9分』

カウントダウンだけが、無情にも過ぎていく。

(どうすればいい!? ……神!! どうか無事に帰ってきてください!!)


それから一時間程経った頃、バスが学園に到着した。

「ねぇ、玲。着いたよ?」

律が声をかけるが、返事がない。

「玲? 玲?」

ゆさゆさと身体を揺さぶる。

けれど、固く閉ざされた瞳はピクリとも動かない。

「玲っ!? 玲っ!!」

次第に律の声が荒くなっていく。

その様子にただ事じゃないと感じ取った、絢、豪、サクラも近寄ってきた。

「どうした? 律?」

「玲が……起きないんだっ。」

律の瞳が大きく揺れ、今にも泣きそうな顔をしている。

「玲!? ……息は、ありますね。でも、呼吸がすごく浅い……。」

絢も事の深刻さを理解したようだ。

「如月!!」

「玲会長!!」

豪とサクラが大きな声で名前を呼ぶが、やはり返事はない。

「救急車だ! 誰か救急車を!」

教員や他の生徒も、みんなパニックに陥っていた。


校庭の慌ただしい様子に、生徒会室にいたソノと凌も飛び出した。

ぐったりと脱力した玲を見た瞬間、ソノは膝から崩れ落ちて取り乱した。

「玲先輩……! どうして!?」

その後ろで、凌が驚愕に目を見開きながらもソノの背中を支えていた。

ソノの手には、黒い端末が握られていた。

その画面には――


『▶修正プログラム完了』

『▶対象コード:REI-KISARAGI』

『▶バグデータ検出』

『▶隔離処理開始』

『▶隔離完了』


――その日。

玲が目覚めることは、ついになかった。

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