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乙女ゲームの冷徹生徒会長に転生した元開発者、バグレベルに溺愛されてヒロインのフラグが1本も立ちません  作者: 高天原ヒロ


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第十五話 夏合宿編〜ビーチバレーの賞品は両親公認!?

昼食を終えたあと――。

燦々(さんさん)と照りつける太陽。 きらきらと輝く青い海。 どこまでも続く白い砂浜。そして――

眩しいイケメンと美少女たちの水着姿。

(眼福っ!!)

如月玲の完璧な美貌からは想像もつかないほど、本人はだらしなく頬を緩めていた。


「……玲、なんて顔してるの」

呆れた声とともに律が隣へやってくる。

日に焼けるのが苦手な律は、短パンタイプの水着にオフホワイトのラッシュガード姿。

上半身は見えないけど、萌え袖が可愛い。


「やっぱり夏の紫外線は怖いですからね」

穏やかな笑みとともに現れたのは絢だった。

UV対策は完璧。 今日は普段下ろしている長めの髪を高い位置で結んでいる。

以前の私より、断然女子力が高い。


「ちゃんと日焼け止めは塗っとけよ?」

にやりと笑いながら烈が現れる。

大胆にはだけた上着の隙間から覗く褐色の肌は、健康的な色気に満ちていた。

「塗ってないなら、俺が隅から隅まで丁寧に――」


「おいっ!」

顔を真っ赤にした豪が割って入る。

「鬼塚先輩、言い方がいかがわしいんですよ!」

王道の短パン水着姿。

鍛えられた身体は、いかにもスポーツマンらしい。

「如月、大丈夫か? 手伝いが必要なら俺が――」


「神城、お前も大概だろう?」

冷静なツッコミを入れたのは冴だった。

ダークトーンの短パンに半袖シャツ。

一見地味だが、隠しきれない引き締まった身体つきが目を引く。

冴様は密かに鍛えているタイプのようだ。


そして最後に――。

「玲会長〜!」

ぱたぱたと駆け寄ってきたサクラに、私は思わず目を輝かせた。

「サクラちゃん! 可愛いっ!!」

ふんわりしたワンピースタイプの水着。 まとめた髪型も相まって、清楚さと愛らしさが際立っている。

「あ、ありがとうございます……!」

サクラは頬を赤らめた。

「玲会長も、そのスポーツタイプの水着……すごく似合ってます」

「本当?」

「はいっ! かっこいいです!」

(はぁぁぁ……。やっぱりサクラちゃんは可愛い! 天使かな?)


水着披露もひと段落――

いよいよ夏の定番イベントが始まる。

「それじゃあビーチバレー大会、始めるよ!」

チーム分けはバランスを考慮した結果――

玲・豪・律。

対。

冴・烈・絢。

となった。

なお、サクラは審判である。

「そして!」

私は胸を張った。

「この試合で一番得点を決めた人には――如月コーポレーション特別ボーナスを進呈します!」

全員の視線が集まる。

「ちゃんと両親にも許可は取ってるから大丈夫!」

びしっと親指を立てる。

「何でも言ってね!」

――沈黙。


「……何でも?」

律の目がきらりと光った。

「お、おい如月……またそんな軽々しく……」

豪が青ざめる。

「へぇ〜?」

烈が意味深に笑う。

「ご両親公認、ですか……」

絢は微笑みながら考え込んだ。

「……またお前は、そうやって私たちを翻弄するんだな」

冴が小さくため息を吐く。

(よーし! これでイベントも盛り上がるぞ〜!!)

当の本人だけは、賞品をゲームやお菓子の詰め合わせ程度だと疑っていなかった。


「それでは、ビーチバレー大会――スタートです!」

サクラの笛が鳴る。

試合は予想以上の激戦となった。

豪の安定した守備。律の器用なフォロー。玲の高い身体能力。

二年生チームは抜群の連携を見せる。

一方。

冴の鋭いレシーブ。烈の豪快なアタック。絢の冷静なサポート。

三年生チームも一歩も引かない。

白熱したラリーの末――。


「マッチポイントです!」

サクラの声が響いた。

「先輩たち、やるな」

豪が振り返る。真っ直ぐな眼差し。

「如月、力を貸してくれ」

「もちろん! 何をすればいい?」

「――俺を信じて飛べ」

夏空の下。その声はどこまでも力強く真っ直ぐだった。

「お前ならできる! 俺が繋ぐ! 最後は決めてくれ!」

「わかった!」


律のサーブで試合再開。

烈の重たいアタック。

「ぐっ……!」

豪が砂浜に足を取られながらも食らいつく。

「律!」

「オーケー!」

ふわり。律が繋ぐ。

「如月っ!!」

「了解!!」

砂浜を蹴る。

(見よ!! これが如月玲のハイスペック身体能力!!)

高く。もっと高く。青空へ――。

「いっけぇぇぇぇぇっ!!」

渾身のスパイク――白球は一直線にコートへ突き刺さった。

「っ……!」

冴の反応も。絢のフォローも。烈の伸ばした指先も。

あと一歩届かない。

ボールは砂浜へ叩きつけられた。

「試合終了〜っ!!」

サクラの笛が高らかに鳴り響く。

「勝者! 玲会長、神城くん、白砂くんチームです!」

「やったぁぁぁ!!」

「如月っ!」

豪が満面の笑みを浮かべる。

「最後、本当に決めるなんて……すごいぞ!」

その笑顔は、太陽みたいに眩しかった。


「……負けたか」

烈が悔しそうに髪をかき上げる。

「悔しいですけど……玲が楽しそうだったので良しとしましょう」

絢は小さく笑った。

「……次は負けない」

冴は静かに眼鏡を押し上げた。


「みなさん、お疲れ様です!」

サクラが駆け寄ってくる。

「それで……MVPなんですけど」

一同が注目する。

「今回、一番得点を決めたのは――神城くんです!」

「……え?」

豪が目を瞬かせた。

「おめでとう!」

私はにっこり笑う。

「約束通り、如月コーポレーション特別ボーナス!何でも言ってね!」


――再び、沈黙。

「如月……」

豪がゆっくり口を開いた。

「本当に、何でもいいのか?」

「もちろん! 両親公認だから大丈夫!」

「だからその言い方をやめろ!!」

烈のツッコミが炸裂する。


豪は大きく息を吐いた。

「……じゃあ、一つだけ」

少し照れくさそうに笑う。

「今日の肝試し、俺と組んでくれないか?」

夕陽を背に、豪は真っ直ぐ私を見つめた。

「怖いなら断っていい。でも……今度は、俺がお前の隣にいたいんだ」

「……!」

(あれ? そういえば肝試しイベントって……。)

(本来はサクラちゃんが攻略対象と距離を縮めるイベントだったような……?)

そんな考えが頭をよぎるけれど――。

「いいよ!」

私は迷わず笑った。断る理由なんてない。

「豪となら楽しそうだし、一緒に回ろう!」

「……っ!」

一瞬だけ目を見開いた豪は、すぐに嬉しそうに笑った。

「ああ、約束だ」


夏合宿。今日もまたヒロインの恋愛フラグは立たず――

またしても、如月玲というバグによって盛大に予定を狂わせていた。

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