犬耳の少女
「・・・遅くなりましたです!!」
僕はレッドランド王国に戻り、自室の部屋を慌しく開けたのですよ。
冒険者ギルドのゴタゴタの所為で、昼を過ぎてしまいました。話を聞くつもりであった犬耳の子供はすでに起きているかも知れませんね。
ちなみに、弟たちは初仕事と言う事で依頼を受けたようです。まぁ、薬草集めにでも言っているのでしょう、冒険者者のお約束ですからね。僕も行きたかったですが、犬耳の子供ために僕は一足先に帰って来たのですよ。
そして、部屋を見るとそこには犬耳の子供の姿が・・・。
「あれ?いないです?ど、どこに行ったのですか?」
ベッドはもぬけの殻でした。ぱっと見で犬耳の子供の姿は何処にもありません。僕はベッドの下にでも身を隠しているのかな?とベッドに近づいた・・・その時でした。
「ワォーーーン!!」
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?」
天井から突然に犬耳の子供が降って来たのですよ。突然の事態に僕はビックリして悲鳴を上げてしまいました。そして、犬耳の子供は僕の首を押さえたのでした・・・乱暴な子供ですね!!
「・・・あなたは誰?ここは何処?私は何故、此処にいるの?答えて!!」
犬耳の子供は僕の首根っこを手首を押さえながら密着します。僕を逃げれないようにしているのでしょう。自らの安全を確保してか、犬耳の子供は僕に聞いて来ました。
それとこの子は女の子だったようですね。密着して初めて気付いたのですが、胸の辺りに僅かな膨らみがありましたですよ。いわゆる青い果実ですね。まぁ、胸の辺りに食べ物でも隠し持っている可能性はほんの僅かありますが。
「僕の名前はモツ。ここは僕の自室ですよ。覚えて無いですか?君はあの成金貴族に拷問を受けていたのですよ?僕はそれを助け出したのです」
「え?成金貴族に捕まって痛めつけられていたのは覚えているよ?だけど、私を助けてくれたのは・・・魔物だったはず、人族じゃなかった」
ああ、あの時と姿が違うから分からなかったのですね。急いで来ましたので、認識阻害バッチを外し忘れていたのです。
「じゃあ、証拠・・・と言うか元の姿に戻りますから離して欲しいです」
「ダメだよ。離した途端に襲ってくるかも知れないし・・・」
「襲うって、僕はロリコンじゃないですよ?」
「そう言う意味じゃ無いよ!?」
「そうですか?じゃあ、胸に付けているバッチを外して下さいです。・・・変な所を触っちゃ嫌ですよ?」
「触らないよっ!!」
犬耳少女は僕の首を押さえつつ、バッチを外しました・・・結構、器用なんですね?すると僕は魔物の姿へと戻ったのでした。
ちなみに『ロリコン』について補足しますと。心理学において、対象13歳以下とされているとか。あと、13歳以下であっても、誰かれ構わずでは無く、対象の一人だけに好意を持つならば、その子個人の事が好きと言う事になり、ロリコンの対象にはならないのだとか。もっとも、社会的にはアウトかも知れませんけどね。
「その姿は・・・あの時の」
「・・・そう、あの姿は世を忍ぶ仮の姿です。本当の僕は誰にでも優しく紳士的であり、誰からも好かれるキュートな外見を持ち人々を癒す魔物で・・・」
「話が長い!!分かったよ、私を助けてくれたし・・・離してあげる」
犬耳の少女はやっとの事で僕を解放してくれました。
・・・ふう、やっと楽になったのですよ。もう少し拘束が続いていたら、アイテムを使って返り討ちにする所でした。実は危なかったのは、この犬耳少女だったのですよ。僕は紳士ですからね、荒事は基本的に避けるのです。
「それで?あなたは一体、誰なのですか?今度は僕が教えてもらう番ですよ」
「私?私の名前はパウ、レトリア族のパウよ。って、こうしている場合じゃない!早く、村に帰らないと!!」
「え?ちょっと、何処に行くですか!?」
「ごめん!私は急いでいるの!!魔物とは言え、助けてくれてありがとう!!レトリア族は恩義を忘れないよ!!また、いつか会おう!!」
「だから、ちょっと待って下さいですよ!!急ぐってこの国は・・・行っちゃいましたよ」
犬耳の少女・・・パウさんは僕の制止と言うか言葉も聞かず飛び出して行きました。待ったく、せっかちさんですね。この国はレッドランド王国でパープン共和国からかなり離れてると言おうとしたのに・・・。
まぁ、念には念を入れて服に発信機を付けて置いたので居場所はすぐに分かるでしょう。え?何で発信機を付けていたのかですって?だって、僕が帰る前に消えていたら不味いでしょう?念の為ですよ。
パウさんもこの国が他国と分かったら帰って来るかも知れませんし、ゆっくりお茶でも飲んで待ちましょうかね。よし、テーブルとお茶にお菓子を準備してと・・・。
まぁ、三時間くらい経っても戻らなければ探しに行きますか。きっと、疲れて帰って来るでしょうし。まったく、僕は実に紳士的なのですよ。
・・・そして、一時間後。
「ちょっと!ここは何処なのさ!!私の国じゃ無いの!?」
僕の思惑どおりに帰って来たパウさん。パウさんは乱暴に詰め寄って来ましたが、僕は『まぁ、落ち着けよ』とばかりにお茶を勧めます。僕は紳士ですからね、当然ですよ。
「おや?思ったより早かったですね。疲れたでしょう?お茶でもどうですか?最近は『午◯の紅茶』に凝っているのですよ。このロイヤルミルクティーなんて、甘くて美味しいですよ?」
「え?うん、ありがとう。わっ、これ甘くて美味しい・・・って、そうじゃないよ!!私を国に戻してよ!!早く帰らなきゃいけないんだ!!」
「・・・まぁ、落ち着けよです。君のいた国には、その気になれば、すぐに連れて行ってあげますよ。それに助けてあげたのですから、事情くらい話してくれてもいいでしょう?事と次第によっては力になってあげてもいいですよ?なんてったって、僕は紳士ですからね、ズズズ(紅茶を啜る音)・・・」
「ぐっ!何か、こっちが急いでる時にのんびりとお茶を啜られると凄く腹が立つんだけど・・・しかも、その『心に余裕を持てよ』・・・見たいな顔が余計に腹立つよ。分かったよ、事情を話せばいいんでしょ!!その気にさせればいいんでしょ!!だったらするわよ!!」
パウさんは乱暴に椅子に座ってお茶とお菓子を食べながら事情を話してくれました。ふむふむ、ほおぉぉぉぉ〜〜〜・・・。
「・・・なんと、そんな事があぁぁぁぁぁぁっ!?大変じゃないですか!!よく、そんなに落ち着いてお茶とお菓子を食べていられますね!!」
「君が勧めたんでしょ!?私が図太いみたいに言わないでよ!!」
僕の発言を聞いて、パウさんは心外だとばかりに怒っています。
何はともあれ、僕はパウさんの事情を聞いて助ける事にしたのでした・・・何より暇ですしね!!緊張感が無くてごめんなさいですよ。




