パウの事情
ーーーーガラガラガラガラーーーー
街道を馬車が猛スピードで突っ走ています。実に爽快なのですよ・・・こんな場合ではなかったらですけど。
「す、凄い早い。これなら、明日までには村に帰れそうだ」
「ふふん!これがロンギヌスの全力なのですよ!!」
鉄の馬へと変形をしたロンギヌス。そう、馬車で爆走しているのは当然僕たちです。
ロンギヌスにも変形能力があり、しかも三種類ほどですが変形パーツ無しで変形できるのです。今の変形こそ、その一つ変形体【馬】です。邪神様のネームセンスの無さは相変わらずですね。そのままでは無いですか、もっとカッコイイ名前にして欲しいのですよ。
現在、僕たちの馬車はパウの村に超特急で向かっている真っ最中です。しかも、なるべく早く着かねばならないのでした。
「早く、この古文書を村に届けないと・・・」
「大丈夫、間に合うだわさ」
「・・・大船になった気でいるなり」
「タイタニックにならないようにな!!」
「不吉な事を言うなですよ!?」
それとパウが村に急ぐ理由。それはパウさんが大事に抱いている古文書にあったのでした。
なんでも、一ヶ月ほど前から村近隣の森の奥にある封印の社から妙な瘴気が溢れ出て来たと言うのです。その封印の社には、かつて村に災厄をもたらした魔物が封印されているとの事です。村の大人たちは魔物の封印が解けつつあると危惧したそうな。
その封印されている魔物は毒を操る魔物だそうで、その瘴気に触れた村人たちは毒・・・もっとも毒ではありますが、病や呪いに近い性質があるそうですが、毒に倒れてしまったそうです。
そして、村のピンチにその村唯一の薬剤師であったパウの両親が解決策を見つけたのでした。パウの両親は魔物を再び封印し直すしかないと考えたのです。
しかし、ここでトラブルが起こりました。
その封印の仕方や毒に対する薬の処方法の書かれた古文書を先代の村長が他の村に貸し出していたそうなのです。その古文書には、ほとんどの毒に対する有効な治療法や薬の処方法が書かれていたそうな。随分前にその村で【レッドポイズンワーム】と呼ばれる虫の魔物が繁殖して貸し出したのでした。
それを返して貰うために、パウは父親と共にその村に向かったのでした。パウを連れて行ったのは毒を感染させたくなかったのでしょうね。
ですが、そこでもまたもやトラブルが起きましたのです。
その古文書を狙っている悪党がいたのでした。そう、あのカエルの成金貴族ですよ。ほとんどの毒に対する有効な薬が書かれていると言う事は、これを手に入れたのならば、簡単にお金を稼ぐ事が出来るのです。
無事に古文書を返して貰ったパウの父親とパウは急いで村に向かいました。しかし、道中にあったグスカの街でカエルに狙われ、カエルの陰湿な足取りを喰った二人は、賭けに出る事にしたのです。それは父親が囮になり、パウが村に古文書を届けると言うものでした。
しかし、カエルの方が一枚上手でした。パウの存在に気づいていたカエルは父親の囮には引っ掛からずにパウに追跡を放ったのです。そして、パウはカエルに捕まったのでした。
ですが、パウは古文書を街のある所に隠していたのです。もしも、パウが失敗した時には父親が見つけてくれると信じて。
そして、僕と出会ったのは古文書のありかを吐かせる為にカエルがパウを拷問にかけていた最中という訳だったのでした。まったく、運が良いですね。もう少し、遅かったら死んでましたよ。
・・・何はともあれ、無事に古文書を手に入れたパウは僕たちと共に村に向かったのでした。実にテンプレな展開ですね。
「「「ひっはあぁぁぁっ!!命が惜しくば・・・ぎゃああぁぁぁっ!!」」」
その道中に頻繁に盗賊が現れました。相手をするのが面倒なので、無視して轢いて行きます。全く、本当に邪魔な人たちですね。
「・・・それにしても、君たちは一体何者なんだ?」
パウは僕たちを驚きの目で見ています。青い◯型ロボットの映画でも、よく言われる質問ですね。『君たちは、一体?』とか『不思議な力を持っているんだね?』とか。そして、大体はこう言うのですよ。
「すべて、邪神様のおかげですよ」
「じゃ、邪神様?」
この邪神様の所に『◯◯のおかげ』と言うのがベタですよ。そんな訳で次の日にはパウの村に着いたのでした。




