獣人の村
「ここがパウの村ですか?やっと、着きましたね!!」
馬車を大急ぎで走らせ、やっとのことでパウの生まれ故郷である獣人の村に辿り着きました。
「ありがとう!モツに皆!!」
パウは村に着くと完全に馬車が止まる前に馬車を飛び出して、村の中へと入って行きました。僕たちも馬車を止めるとパウの後を追ったのでした。
「パウ!パウが帰ってきたぞ!!」
「よくぞ!帰ってきた!!古文書はあったのか!?」
「これで村は救われる!!」
村の中枢では、沢山の犬耳の獣人たちにパウは囲まれていました。しかし、パウはキョロキョロと何かを探している仕草をしています。
「父さんは?父さんは何処ですか!!」
パウが村人に聞くと村人たちは目を逸らしました。一体、どうしたのでしょうか?やがて、白い長髭を伸ばした犬耳獣人が村人を掻き分けてパウの前に立ちました。この人が村長でしょうか?
「パウ・・・バウワからある程度の事情は聞いている。貴族に狙われてよく無事に戻った。しかし、バウワは・・・」
「そ、そんな・・・」
パウの父親・・・バウワさんと言うらしいですね。バウワさんはカエル貴族の追ってから逃げる途中に大怪我を負ったらしいのです。村にたどり着いた時には息も絶え絶えだったとか、まだ生きてはいるようですが・・・ここは、僕たちの出番ですね。
「パウ!今すぐにこの薬をお前の親父さんに飲ませるのですよ!!」
「も、モツ?こ、これは・・・?」
「邪神様仕様のスペシャルポーションです!!これを飲むかぶっかけるかすれば、あっと言う間に怪我は完治するですよ!!」
取り出したるはいつかの【超ポーション】。これも改良を加えられ、さらに強力になりました。それを見たパウや村人たちは信じられないと言った顔をしています。
「・・・ほ、本当に?」
「邪神様を信じろです!!」
「うん!!」
僕たちはパウの後について行き一軒屋に入りました。ここが、パウの家らしいですね。
「パウ!!」
「母さん!!父さんは・・・」
家の中にはパウによく似た毛色の獣人女性がいました。この人がパウのお母さんのようですね。パウのお母さんの視線の先には、ベッドに力無く横たわる獣人男性がいました。身体中に包帯を巻いて実に痛々しい姿だったのですよ。
「パ・・・パウ・・・か・・・。よく、も、戻って来た・・・これで、村は・・・」
「父さん!!モツ!お願いだ!助けてくれっ!!」
「了解ですよ!!」
僕は【超ポーション】を取り出すとバウワさんの口の中に無理矢理流し込みました。すると・・・。瞬く間に、バウワさんの身体が光を帯びました。そして、バウワさんは『カッ』と目を開いたのでした。
「ホォアッチャーー!!」
「と、父さんっ!?」
「あ、あなたっ!?」
バウワさんはベッドから飛び起きて、筋肉を膨張させて包帯を引きちぎりました。薬のおかげで活力を取り戻し、筋肉がムキムキにとなったのです・・・調子に乗って強力にさせ過ぎですよ邪神様。
「・・・生きているって素晴らしい。しかし、一体、何が?あの傷だらけの身体があっと言う間に回復したぞ?それも前以上に頑丈になったようだ」
「父さん・・・何故マッチョポーズを取りながら言うのさ?」
「何故だろうな?生まれ変わったように爽快な気分だからか?この身体を皆に見て欲しい気分なんだ」
「どう言う気分さ!?モツ!これはどう言うことなのさ!!」
パウは僕を睨み付けてきました。怪我は治ったのだから、それくらい文句を言うなですよ。そんな内心の中、僕は誤魔化す為にパウから目を逸らしてバウワさんに話しかけました。
「怪我が治って何よりですよ、バウワさん」
「君は?」
「僕の名はモツと言いますです。ナイスなサイドチェストでしたよ」
『サイドチェスト』はマッチョポーズの一つで、胸筋の厚みをアピールするポーズです。ボディビルがよくやる奴ですよ。
「・・・そうか、俺は君に助けられたみたいだね。ありがとう、モツ君」
「いえいえ、感謝の言葉とお礼のご飯だけで十分なのですよ」
「・・・さりげなく、ご飯を要求してるし。って、それどころじゃないよ!!はい!古文書だよ!!これで村は救われるんだよね!!」
「・・・む、忘れていた。そうだ!俺には村を救うと言う使命があったのだ!!」
「そんな大事なことを忘れないでよ!?あと、完全に性格が変わっているよ父さん!?」
バウワさんはパウから古文書を預かりました。そして、パウはバウワさんに激しく突っ込みを入れまくります。きっと、嬉しくて照れているのですね。さあ、もっと全快した父親に甘えるがいいですよ。
「モツ!君は君で何を、『もっと甘えるがいい』みたいな顔をしてんだよ!?」
「ふっ、もっと甘えるがいいですよ」
「終いには口に出した!?」
パウはため息をついて疲れたと言う顔をしています。長旅の疲れが出たのでしょうかね?それはともかく、古文書を見ていたバウワさんに変化がありました。
「あった!これだ!!これが魔物の封印方法だ!!これで皆が助かるぞ!!」
その言葉を聞いてパウやパウのお母さんは笑顔になりました。しかし・・・。
「何々・・・これは?何だと!?こんな素材が必要なのか!?」
古文書に書かれていた封印を行うには、とある魔物の素材が必要なそうな。それも、結構な貴重素材みたいですね。ここは僕たちの出番ですね。
「ならば、僕たちがその素材を持って来るですよ。こう見えても、僕たちはグスカの街のギルマスが太鼓判を押すほど強いのですよ」
そう言うと、パウさん一家は僕を見たのでした。そして、パウは僕に聞いてきたのでした。
「モツ?なんでそこまで協力してくれるの?」
「・・・ふっ、困っている人たちを助けるのに理由が必要ですか?」
僕はビシッと親指を立てながら言ってやったのですよ。ああ、今の僕は最高にカッコイイですよ。こうして、今度は素材集めに出かける僕たちなのでした。




