冒険者ギルドへ
「・・・これで良しと!!」
「・・・安心也」
僕たちは成金貴族の屋敷から戻り、犬耳の子供を背負って宿屋まで戻って来ました。更に、宿屋の自室にロンギヌスを出すと転移陣を使い、アイアン寮に戻って来たのです。
そして、今は犬耳の子供を僕の部屋のベッドに寝かせたのでした。体力が全開になる超ポーションを飲ませたので、一晩寝てる間に怪我は治る筈です。
「じゃあ、僕たちも寝ますかね?おやすみです」
「・・・・我、安らぎを欲する」
もう夜も遅いので僕たちも寝る事にしました。スキヤキは自室に戻りましたが、僕のベッドは犬耳の子供に占領されていますからね。仕方なく、僕はソファーで寝る事にしたのですよ。
それでは、皆さんおやすみです。グーグー・・・こんな感じで戦いの夜は明けたのでした。
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「お兄ちゃん、お兄ちゃん!起きてだわさ!!」
「む〜、何ですかチャンコ?僕はまだ疲れているのですよ〜〜・・・」
そして、朝になったのかチャンコが僕を起こしに来たようです。チャンコに揺すられて、僕は目を覚ましたのでした。
「何言ってるだわさ!お兄ちゃんの疲労具合なんて知ったこっちゃ無いだわさ!!それよりも、今日は冒険者ギルドへ行く予定だったでしょ?忘れたの!?私、楽しみで殆ど眠れなかったんだわさよ!!」
「お〜、そう言えばそうだったですね。じゃあ、行くとします・・・あ!ちょっと、待って下さいです」
僕はベッドで寝ている犬耳の子供に目を向けました。ふむ、まだ寝ているようですね。昨晩と変わらずベッドで寝ています。傷も治っているのか、呼吸も昨日より安定していますね。
「お兄ちゃん?その子、誰だわさ?」
「・・・さあ?」
「『さあ?』って、知らないのに連れて来たの?」
「放って置ける状況じゃあ無かったのですよ。それはそれとして困りましたね。僕も冒険者登録はしたいのですよ。あ、そうです!!名案を思いつきました!!」
僕はアイテムボックスから睡眠ガスを取り出しました。そして、それを犬耳の子供に噴射したのでした。これで昼過ぎまでは起きないでしょう。
「・・・お兄ちゃんって悪魔だわさ?」
「何を言ってるのですか?この子には、まだ安静が必要と僕の勘が言っているのですよ。だから、もっと安静を取って貰うのですよ」
チャンコはジト目で僕を見ていますが気にしないです。僕は『絶対安静』の札をベッドと犬耳の子供の額に張ると、認識阻害バッチを付けて部屋を出ました。念のために鍵も閉めておきますか。これで準備は万端です。
「・・・じゃあ、行きましょうか」
「いいのかだわさ?怪我人を放ったらかして出かけても・・・」
「いいのですよ。怪我人と言っても、怪我は殆ど治ってますから」
「・・・冷酷無情」
「それって、人(魔物)としてどうなんだ・・・だぜ?」
弟たちは、怪我人を放っぽいて出かける僕の生き方に疑問を抱いているようです。弟たちよ、大いに悩み考えて生きるのです。それが成長すると言う事ですよ。僕はその為になら反面教師になるのです。
そんな訳で、弟たちの視線を背に宿屋の自室へと転移したのでした。さあ!冒険者ギルドへ行くのです!!
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ーーーーギイィィィィィィィィ・・・ーーーー
僕たちは冒険者ギルドの重いドアを開けて中に入りましたです。
ーーーー(ギロリッ!!)ーーーー
いつかの冒険者ギルドのように、このギルドでもお約束はあるのですね。恒例の新参者睨みが始まりました。
「お、お兄ちゃん?何なの、この人たち?私たちを睨んでるけど・・・」
「・・・これが『冒険者』と言う人種の習性なんですよ。冒険者たちは先達の力を誇示するために、外部から来た人や新参者を睨むのです。まあ、僕に任せるのですよ」
僕は兄弟たちより一歩前に出ました。そして、言い放ったのです。
「・・・一発ギャグ『変顔』。これから、ノーマル表情の仮面を付けて変な顔をします。その違いをご覧くださいです」
そう、前に冒険者ギルドへ来た時にやろうとした一発ギャグ・・・それを今ここで炸裂させるのです。さあ、冒険者ギルドよ!笑いに包まれるのです!!
僕は、ノーマル表情が印刷された仮面を取り出して顔の前に持って行きました。そして、仮面を何度も上げ下げして、仮面を下ろした時に変顔を炸裂させて見ました。さあ、冒険者さんたちの反応は・・・。
「「「「「・・・・・・・・・・(し〜ん)」」」」」
『クスリ』とも笑ってくれませんでした。全く、冒険者さんたちの笑いのツボは何処にあるのでしょうか。
「・・・行きましょうか」
思いっきりスベった僕は兄弟たちと共に受付に行きました。
「え〜と・・・本日はどのようなご用件でしょうか?」
先ほどの一発ギャグを見ていたのか、受付のお姉さんは苦笑いして僕たちに言いました。かなり若いお姉さんでまだ新人って雰囲気だったですよ。
「僕たち全員の冒険者登録をお願いするです!あと、パーティ申請も同時で!!」
「・・・は?」
まさか、冒険者志望とは思って無かったのでしょう。『冒険者登録』と聞くとお姉さんは固まってしまいました。ちなみに、ランク等の説明は前に聞いてますので不要ですよ。
「え〜と、僕たち?冒険者って言うのは遊びじゃないのよ?命がけの仕事なんだから。失敗したら死ぬ事もあるのよ?」
「知ってるですよ」
「知ってるだわさ」
「・・・もちのろん」
「当たり前の事を聞くなよ、姉ちゃん」
固まりから回復したお姉さんは、僕たちの心配をしてくれているようです。いい人ですね〜、でも心配は無用ですよ?お姉さんに僕たち揃って『知っている』と答えたのです。
「そ、そうですか・・・。あ、ちょ、ちょっと待っていて下さい」
そう言うとお姉さんは上司のもとに行き、話を始めました。どうしたら良いか相談しているようですね。
でも、ブランさんに聞いた話では冒険者になった最年少は5歳くらいの子供と言う前例があったそうな。もっとも、他国で大昔の話らしいですけど。
しばらくすると、お姉さんが戻って来ました。
「僕たち、冒険者になるには登録料って言ってお金がいるのよ?それも、金貨1枚(1万円相当)って大金がね。僕たち、全員で金貨4枚だけど払える?」
おや?前に聞いた話では登録料は銀貨3枚(3千円相当)の筈でしたが・・・。なるほど、そう言う事ですか。登録料が払えない事を理由に登録を諦めさせる気ですね。
されど、くくく・・・僕たちの経済力を甘く見ないで下さいです。
「勿論ですよ。はいです、金貨4枚」
「ええっ!?」
チャリンと財布から金貨を取り出して受付に出しました。
まさか、そんな大金を持っているは思って無かったのでしょう。あっさりと出した僕たちにお姉さんは驚いたようです。
「これで、問題は無いですよね?」
「えと、その・・・」
「ちなみに、他の冒険者さんたちに聞いてみて登録料の値段が違ってましたら役所にでも訴えますからね」
「えええぇぇぇぇぇぇぇっ!あ、す、すいません!!間違ってました。登録料は銀貨3枚です!!すいませんでした!!」
「はははです。謝って頂けたならうるさくは言いませんよ。で?登録は出来るのですよね?」
「ううう・・・は、はい・・・」
おやおや?何故か新人イジメみたいになってしまいました。まぁ、それはさて置き。これで冒険者登録が出来そうです。
お姉さんは引き出しから登録用紙を取り出すと、必要事項を記入するように言いました。僕たちは其々に記入したのです。
・・・名前や年齢は特に問題はありませんね。志望動機は『旅をする為』とでも書いておきましょう。称号(【戦士】や【魔法使い】などの名称)はどうしましょうか?【ゴーレム使い】とでも書いておきましょう。
「「「「出来ました〜!!」」」」
僕たちは書き終わるとお姉さんに手渡しました。お姉さんは書類を見てチェックしています。
「え〜と、ご、【ゴーレム使い】?【魔法☆少女】?【太陽の魔拳士】?【NINJA(忍者)】?・・・何ですか、これは?」
「「「「え?」」」」
そう言われると僕たちはお互いの顔を見渡したのです。
「魔法少女?しかも『☆』って何ですか?」
「・・・太陽?魔拳士?だわさ?」
「このNINJAって何だよ?」
「・・・意味不明」
僕たちはお互いの称号に疑問を持ちました。まぁ、僕のゴーレム使いはベタだったのでスルーされましたけど・・・何か、仲間外れ感がありますね。
しばらく無言になりましたが、争いは不毛と判断して僕たちは頷きました。
「「「「これでお願いします!!」」」」
「は、はい?わ、分かりました・・・」
そして、お姉さんは書類を受け取りましたです。これで、しばらく待てば冒険者カードが発行されるでしょう。
僕たちは待合席でカードを発行を待つ事にしたのですよ。そして、ついに待ちに待ったお約束が始まったのです。
「おいおい!こんなガキが冒険者だぁ?ふざけてんのかぁ!?」
そう、冒険者ギルドのお約束(その2)です。空気を読まないお馬鹿な下っ端ランカーが僕たちにいちゃもんを付けに来たのですよ。
よっ!待ってましたです!!僕たちはノリノリで対応する事にしましたです。




