旅立ち(笑)
〜〜異世界 チャンコ視点〜〜
『・・・そんな訳で、君たちには旅立って貰います』
「ちょっとぉっ!そんな訳でってどんな訳でですか!?いきなりの話について行けないですよ!?」
モツお兄ちゃんと邪神様が言い争っているだわさ。それもその筈・・・邪神様がいきなり旅に出ろ何て言い始めたのだわさ。
邪神様の世界?から帰って、大体一週間。私たちはモツお兄ちゃんのお部屋にお世話になっているだわさ。
お兄ちゃんは私たちも住めるように、新しく部屋を作り変えるマジックアイテムを邪神様から貰ったの。その結果、秘密基地風?みたいな内装の部屋に各個室のついたお部屋が出来たのだわさ。
「そうだわさ!私も嫌!!」
「・・・我も也」
「俺もだい!!」
そして、私たちもモツお兄ちゃんに加わったのだわさ。これが、私たちナベシキーズの結束の力だわよ。
『全ては、そこのお兄ちゃんの所為だ。恨むんだったら、モツを恨むんだな』
・・・え?それってどう言う事だわさ?
『俺とモツは元々世界を調べるのを目的としていた。しかし、そこの怠惰な毛玉はこの世界に来て随分経つと言うのに、モツはまるで旅に出ない。一番の遠出が王都から二、三村超えた辺りだ。流石にそろそろ次のアクションが欲しいんだよ』
「・・・ああ〜、そう言えばそんな設定でしたですね〜〜。久しぶり過ぎて忘れていたですよ」
『『設定』言うな』
何ですとだわさ!?そんな設定があったの!?ならば、私たちはモツお兄ちゃんの怠惰に巻き込まれたと言うことだわさ!?
「モツお兄ちゃん」
「・・・モツ兄上」
「モツ兄貴」
私たちはジト〜とした目でお兄ちゃんを見ましただわさ。今、強固と思われた兄弟の絆に小さな亀裂が入りましただわよ。
『まぁ、そんなにモツを責めてやるな。こう言ってはなんだが、全てはモツの個性だ。『モツだから』の一言で終わりにしようでは無いか』
「なんですか、それは!?なんか不愉快な台詞ですよ!!」
『気にするな。それでな・・・』
モツお兄ちゃんを放って置いて、邪神様は話を進めただわさ。モツお兄ちゃん?今は保留にして置いてあげるけど、いつか覚えているだわよ?
『別に、残りの人生・・・いや、魔物生か?それ全部を旅に費やせると言っている訳じゃ無い。俺は優しいからな。いつでも、この部屋に戻れるようにしてやるし、当然サポートもしてやる。目的地なども特に無い。ただ、旅に出て俺を楽しませろと言っているだけだ』
「「「「それって、ただの暇つぶし!?」」」」
邪神様を楽しませる?それって、邪神様の暇つぶし以外に無いと言う理由だわさ!?ふざけないでだわさ!!
『まぁ、もしかしたら旅先でご当地料理もあるかも知れんし。安全は確保してやるから、ちょっとした旅行だと思えばいい。以外と楽しいかもしれんぞ?』
むぅ?ご当地料理だわさ?それは少し興味あるだわさ。
『それに、人数が足りなければ全員で行ってもいいし、協力プレイと単独プレイで危険を乗り切るのだ。いわゆるキャラクターチェンジシステムと言う奴だな』
それって例えるなら『が◯ばれゴ◯モン』みたいなシステムってこと?冒険するのは一人じゃないなって訳ね。状況に合わせてケースバイケースで行くみたいだわさ。要約すると、ラノベによくある旅先ものだと考えればいいのねだわさ。
『・・・大体、分かったようだな?じゃあ、旅立って貰うぞ今すぐにな』
「え!?今すぐにですか!?幾ら何でも、早過ぎでは!?」
『思い立ったら吉日と言うだろう。さぁ!外に出ろ!!既に準備は出来てある!!』
私たちは邪神様に無理矢理に冒険用のアイテムボックスを貰い外に出ました。冒険用のアイテムボックスには食料や武器、状況に応じた服などと言った一セットが入っているらしいだわさ。
『さぁ!これに乗れ!!これに乗ればすぐさまに冒険の始まりだ!!』
外に出ると、邪神様の力により空中からアイテムが、出現しましただわさ。今回のアイテムは乗り物のようでズシィンと言う地響きがしただわさ。
「ちょっとおぉぉ〜〜っ!?何ですか、これはぁぁ〜〜っ!?」
モツお兄ちゃんが驚きの声を上げます。それも当然でしょう。何せ、その乗り物は・・・。
『何って?『ロケット』だが?』
そう、メタリックでヒョロリと伸びたボディ。側面についている機械翼・・・紛れも無くロケットでしただわさ。ロケットは子供が思い描くロケットのように丸い窓が一つと扉が一つだけしか付いていなかっただわよ。
「何、見てわからないの?・・・みたいな反応をしているですか!僕が聞きたいのは、何で旅立ちにロケットを使うのかですよ!?宇宙旅行じゃないんですから!!」
『せっかくの旅の始まりなんだ。派手に行こうと言うサプライズだ。これに乗れば、すぐに国を一つ二つ超える事が出来る』
「そんなサプライズはいらないですよ!?って、言うか何で国を超える必要があるのですか!?普通に馬車で王都から出発しましょうよ!?」
ああ、確かにこの国の王都から出るのもありだわさね。でも、それを聞いた邪神様は・・・。
『それじゃあ、つまらないだろ?・・・俺が。これに乗れば予めに俺が設定して置いた場所に送ってくれる。強制的にな・・・』
「だから、邪神様を面白がらせる為に旅立つんじゃないんですから!!それに横暴で・・・ん?皆、何をしているですか?」
「「「今だ〜〜っ!中に入れろ〜〜っ!!」」」
「なっ、何をするですか!?や、やめるです〜〜!!」
あは?バレちゃった。私はスキヤキとキムチと手を組んでモツお兄ちゃんをロケットに詰め込んだのだわさ。
「お兄ちゃんは怠惰の責任を取らないと」
「・・・ゆえに先駆者」
「まぁ、生け贄とも言うけどな!!」
「お、お前ら〜〜!?ここから出せですぅ〜〜!!」
可哀想なお兄ちゃん。でも、仕方ないね。元々はお兄ちゃんの責任だから・・・。モツお兄ちゃんは扉をバンバンと叩いているだわさ。無駄なのにね〜だわさ。
『さあ!これから君だけの物語が始まる。その旅には・・・』
「何をポ◯モンのオープニングみたいな事を言っているですか!?いいから、出すですよ!!」
『全く、様式美が分からない奴だな。じゃあ、スイッチ・・・オン!!」
ーーーーゴゴゴゴゴ・・・ーーーー
モツお兄ちゃんを無視して邪神様が発射スイッチを押したようだわさね。ロケットは火を噴いて緩やかに浮き上がり・・・そのまま、空に飛び上がりあっと言うに見えなくなっただわさ。
『青空に・・・キメッ!!』
邪神様の号令で私たちは横一列に並んで、モツお兄ちゃんに敬礼をしましただわさ。ああ、何処と無く笑顔のモツお兄ちゃんの姿が青空に浮かびますだわさ。
お兄ちゃん・・・どうか、無事に到着してだわさ。私たちには祈るくらいしか出来ないけど・・・モツお兄ちゃんなら大丈夫って信じてるからだわさ!!
・・・こうして、波瀾万丈の冒険の旅が始まったのだわよ。




