薄幸の少女?
「さあ、た〜んとお食べ。好きなだけ食べていいんだよ」
「い、いいの?本当にいいの?」
「もちろんさ」
「わ〜い!!」
場所は打って変わり、ここはファミレスの中。長い人生相談をしてスッキリした俺はお礼にと少女を連れてファミレスに入ったのだ。
それにしても、重い話は誰かに話すに限るね?意外とスッキリするものだよ。もっとも相手にもよるけど。下手なアドバイスされて泥沼に嵌る事もあるからそこは気をつけよう。
「でも、こんなにたくさん食べきれないよ?それに、お兄ちゃんお金大丈夫なの?」
「安心したまえ。お兄ちゃんは意外にお金持ちでね。金なら掃いて捨てるほどあるんだ。それにいざとなったら食い逃げを・・・」
「犯罪は駄目だよ!お兄ちゃん!!」
「もちろん冗談さ。HAHAHA!!」
「・・・何、その笑い声」
・・・などと軽いジョークを交えつつ、ファミレスで少し早めのランチを食べる。
それと、この少女の名は『エルちゃん』と言うらしい(本名は教えてくれなかった)。まぁ、所詮はただの気晴らしとお礼だ。そこまで、深く話すことは無いだろう。
ちなみに俺とエルちゃんの姿は他人からは兄弟のように見えている筈だ。俺とエルちゃんは認識阻害バッチを装備しているのだ。していなければ、間違い無く警察沙汰になるだろうからな。
「・・・ふ〜、食った食った」
「もう、お腹がいっぱいだよ〜・・・」
俺とエルちゃんは満足気にファミレスから出る。そして、お別れの時がやって来たのだった。
「じゃあ、エルちゃん。人生相談ありがとう、おかげで助かったよ」
「ううん、どう致しまして」
「気をつけて帰るんだよ?世の中には怪しい人が沢山いるからね?ほいほい、ついて行っちゃ駄目だよ」
「え?お兄ちゃんみたいな?」
「そうそう・・・って、俺は違うよ!?」
そんな会話をして別れようとしたのだった。しかし・・・。
「・・・手を離しなさい。良い子はお家に帰りましょう」
「・・・・・・やだ」
『やだ』って、もっと遊べと言うことだろうか?エルちゃんは俺の服の裾を掴んで離さない。これ以上見ず知らずの少女を連れ回すのは人としてどうかと思う。
ここは人としてのモラルが問われるか否かだと思うが・・・。
「じゃあ、お家に連絡しなさい。それで親御さんの許可が出たらいいよ」
「・・・本当?」
「ああ」
「・・・わかった」
そう言ってエルちゃんは懐から位牌を取り出し・・・って位牌!?
「・・・いいって」
「え?マジで・・・」
親御さん死んでんのっ!?と言うか親が死んでいても、普通位牌など持ち歩かんだろ!?どう言う神経をしているんだよ!?とは口には出さず、少し頭を抑える。
「・・・約束」
「・・・分かりました。何処に行きましょうか?」
「どっか、面白いところがいい」
「・・・それはまたアバウトな」
・・・約束していた手前仕方ないと諦めるか。
それにしても、親が死んでいるとはな・・・俺と同じか。よし!こうなったら、ヤケクソだ!鬱な気分が吹き飛ぶくらい遊んでやるぜ!!そんな訳で、俺たちは遊びに繰り出したのだった。
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「ねぇ?お兄ちゃん?ここはどこ?」
「この林にはね。昔、防空壕があったんだ。それでね・・・」
やって来たのは、この前にモツに話した怪談の場所である例の林だ。俺はその話をエルちゃんにも聞かせたのだった。
「誰が心霊スポットに案内しろって言ったの!?もっと普通の場所にしてよ!?」
「えー、充分に面白いと思うんだけどな・・・」
「心霊スポットに連れて来られて、喜ぶような女の子は色々と終わっていると思うよ?連れて来るお兄ちゃんもだけど。お兄ちゃん、女の子にモテないでしょ?」
「グサァァァァァァッ!?」
エルちゃんの辛辣のお言葉により、心にダメージを負う俺。仕方ない場所を変えようか。
「ここが駅前高所タワーだよ。ここからこの町を一望できるんだ」
「へえ〜、高いね〜〜。少しインパクトが弱い無難なチョイスだけど。この町じゃあ、こんなものか〜〜」
前にも言ったが、この町は殆ど田舎町だ。駅前辺りは多少は栄えているが、少し遠出すると山や林が大半だ。よって、基本的に見る物は無いのである。
そして、数少ない見所としての高所タワー。
駅から歩く事20分程度。多少年代のある鉄塔だ。エレベーターを使って上がる展望台には小腹を満たすくらいのカフェスペースと土産屋がある。そして、それしか無い。ちなみに入場料は無料だが、平日の今日は閑古鳥が鳴いているみたいに人がいない。まぁ、いたとしても爺さんと婆さんが来るくらいだろう。
「・・・いい景色だけど飽きるね」
「じゃあ、少しだけ面白くしてやろう」
「・・・え?何々?何なの?」
俺はエルちゃんの手を引いて従業員用のドアから、外に出たのだった・・・びゅうびゅうと風が吹いている。
「お兄ちゃん?ここで何をするの?」
「・・・こうするんだ。ていっ!!」
「ああっ!?も、勿体無い!?」
俺は御札の束の封を切り、札をばら撒いたのだった。ばら撒かれた札はタワー高所の風に吹かれ一瞬のうちに何処ぞへと飛んでいく。
「まだまだ!!」
俺はアイテムボックスから更に札束を取り出すと、次々にばら撒いたのだった。俺のその奇行にエルちゃんはドン引きしていた。
「超、気持ちいい!!一度やって見たかったんだよな!!金を高い所からばら撒くのを!!」
「お、お兄ちゃん・・・最低過ぎるよ。しかも、全部千円札だし、微妙にセコイよ!?」
「量を増やす為だ。それより、エルちゃんもやらないか?地上の人どもが金を掴み取りしているのを想像すると面白いぜ?」
「お兄ちゃん、絶対に心が病んでるでしょ!?人間の屑だよ!?」
「そんなに褒めるなよ」
「褒めてないよっ!?」
そんな感じで他にも適当に要所を周り、ジュースの買い占めなど金をドブに捨てるような成金的な事をしていった。そう、子供の頃に夢見た、一度はやって見たかった事を好き勝手にやってみた俺であった。ちなみに俺の子供頃は可愛く無かったと両親とご近所、学校で評判でした。




