◯年◯組ジョー先生
「ふあぁ〜・・・寝みぃ、だりぃ・・・」
あの猛禽のジョーとの戦いから二日が経過した。
モツの方も確認したが大変だったみたいだな。最近は録画機能を使いモツの行動を見ているのだ。面白いところは見れるので実に便利である。
それにしても偶然とは恐ろしい物だ。プロテイン(?)といい、猛禽のジョーといい、筋肉質の親父系ばかっり襲ってくるな。なんかの呪いかよ、チキショウ。
それと昨日、新城や双子に猛禽のジョーの情報を聞いてみた。
やはり、あの親父は異能力者の世界ではかなりの有名人だったらしい。接近戦にスペシャリストとしても、あの異様な格好に関しても噂の人物なのだとか。異能力者の情報が漏れるのは致命的と思われたが、それで良いのだろうか?
まぁ、それはそれとしてだ。猛禽のジョーを撃退し、俺は再び戻った日常生活を満喫していたのだった。もっとも、金が大量にある成金生活だけどもな。
「・・・さぁてと、今日は何を食うかな」
最近の俺はラーメン巡りに凝っている。学生と言う身分でありながら大金を手にした俺は好物のラーメンを食べ歩いては物欲と食欲を満たしていたのだった。ラーメン、いいよラーメン。
朝にコンビニで買ったラーメン情報誌に目を通して放課後の予定を決める。この前はさっぱり塩ラーメンだったから、今日は濃厚な魚介豚骨あたりにしておくか・・・などと考えていた。
ーーーーキーンコーンカーンコーンーーーー
学校の予鈴が鳴り響く。そして、朝のホームルームを始めようと担任の教師が・・・って、誰だよ!?見慣れない筋肉質でピチピチのスーツを着た男が入って来たのだった。しかも、何処と無く見覚えがある顔立ちと声をしていた。
「皆さん、初めまして。俺の名は『飛膝蹴 成就』だ。特技はプロレス、決め技は飛び膝蹴りだ。昨日、体調を崩して入院してしまったこのクラスの担任に変わり新しい担任となった。皆、よろしく頼む!!」
この無駄な暑苦しさ・・・間違い無く猛禽のジョーだろう。しかも、何だよ決め技に飛び膝蹴りって?俺らに飛び膝蹴りをするつもりか?おそらくはこいつの所属している組織の力とやらで教師の地位を手に入れたのだろう。
それにしても無理矢理感とドラマ感が半端無い。大丈夫なのか?こんな時代錯誤も甚だしい男を教師にして・・・。
「おはようございます!!さあ、みんなも一緒に!せーの・・・」
「「「「「おはようございます!!」」」」」
「良し!ナイスな挨拶だ!!元気を忘れるなよ!!挨拶から一日は始まるのだ!!」
「「「「「はい!先生!!」」」」」
・・・何という暑苦しさなのだろうか。朝の爽やかな空気が台無しである。この暑苦しさはあっと言う間に教室中に蔓延したのだった。まぁ、元からノリが良いクラスであった気はするが。
この親父の出現により、教室のノリが一気に体育会系へとなってしまった。一体、何故こんな事になってしまったのか・・・。
「さて、今日は一限目は英語の予定だったが、俺と君たちの親睦を深めるためにドッチボールを行います。皆!校庭で待っているぜ!!思いっきり楽しもうぜ!!それと、お前!コートを作るぞ!!俺と一緒に用具室にGOだ!!」
「え!?何で俺が!?」
突如、俺は指を指されて用具室まで強制連行されてしまったのだった。
元よりどう言うつもりか、話は聞くつもりだったがこんな変態親父と二人っきりになどなりたく無い。身の危険を感じせざるを得ない。いつでも逃げられる準備をして、さっさと話を終わらせようと決めた。
「どう言うつもりなんだ?猛禽のジョー・・・」
「ほう?やはり気付いたか。流石は俺を退けた男。素晴らしい眼力だな」
「眼力関係ねぇよ!?バレバレじゃねぇか!?」
この男はあれでバレて無いつもりだったようだ。ここまでだと逆に清々しい気がする・・・やばい、なんか日常感覚が麻痺してる。
「ふむ。しばらくは身分を隠して監視をするつもりであったがバレてしまっては仕方がない。君は実に興味深い存在なのだよ。もしかしたら、この街の異変を調べる重要な要素になるかも知れないと俺の感が告げたのさ。よって、しばらくは監視をさせてもらう事にした」
「監視?お前の言っていた学校とやらに連れては行かないのか?」
「もちろん連れて行く。この異変が解決したらな。それまでの猶予期間だと思いたまえ。先日は侮ったが、今度は本気で行くぞ」
「・・・それはどうも」
やはり、諦めてはくれないか。それに、此れ程までに社会を操作を行われる組織とは思わなかった。やばい組織に喧嘩を売ったものだと後悔せざる得ない。後悔後先に立たずである。
「・・・まあ、そんな訳だ。しかし、今だけは教師と生徒として接するようにな。ちなみに人生相談なども受け付けているぞ。いつでも来なさい。もっとも、君の進路先は組織のエージェント一択だがな」
「もう勝手に進路が決められてる!?」
「おっと、長話が過ぎたな。はやく、校庭に向かわねば・・・さあ、線引き機だ。これを持ちたまえ。むっ?ボールが無いな。俺はボールを持って来るぞ、先に校庭で準備をしていた前」
猛禽のジョーは俺に線引き機を渡してくる。これで校庭に線を引いて来いと言う事だろう。そして、猛禽のジョーはボールをとりに体育館の方に走って行ったのだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺は校庭の隅に線引き機を置くと校門を飛び越えて学校の外に出た。俺は今、猛烈に頭痛と恐ろしいほどの怠惰感に襲われていた。ああ、このまま何処かに消えてしまいたいと・・・。
取り敢えず、虚しさを埋めるために学校をサボる事にした俺であった。
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ーーーーキイ・・・キイ・・・ーーーー
俺は適当な公園のブランコに腰掛けて現実逃避をしていた。朝の公園は静かなものだ。そう、深く沈むにはもってこいだ。今の俺を見た人間はこう言うだろう・・・死んだ魚の目をしていると。
これから毎日、あいつに会わなければいけないのか?これから毎日あの暑苦しさが蔓延したクラスで過ごさなければいけないのか?・・・鬱でしか無い。
「・・・どうしたのお兄ちゃん?死臭が漂っているよ?」
・・・そんな時だった。誰もいなかった公園でいきなり声をかけられたのは。声の感じからして幼い少女のようだ。俺は俯いたままで言葉を溢すように返事をする。
「・・・ああ、ごめんね臭いよね?でも、これが生きてるって事なんだよ。人生、生きてれば色々あるんだ。逃げ出したり、消え去りたい感情に支配される事だってあるんだ」
「・・・訳が分からないけど疲れてるんだね?私で良かったら相談に乗ろうか?」
「え?」
そこで俺は始めて声の持ち主の姿を見た。その子は10歳前後だろうか、長い白い髪に白い服を着ており、いかにも薄幸という雰囲気の美少女であった。
そんな彼女の姿を見て俺はこう思ったのだった。
(こんな少女に優しくされる俺って一体・・・)
そんな自分に情けなさを感じながら、俺は少女に胸の奥の事を話始めたのだった。
・・・もういい、一度落ちるところまで落ちて這い上がる事にしよう。俺の人生はまだ途中なんだ。そんな事が頭に浮かんだ16歳の朝であった。




