闇の組織
僕は巣の中でバルムンクを変形させ、ドリル形態で脱出を計りました。地面をおそるべき速さで掘り進んでいくバルムンク。地上に出る迄さほど時間がかかりませんでした。
「プロテイス先生・・・何故?」
そして、地上に出るとブランさんがプロテイスに問いかけていました。はて?一体、何が起こったのでしょうか?事態がいまいち分かりますんです。
「ぐうぅっ!おのれぇ!!もう少しだったものをぉぉっ!!」
プロテイス先生は忌々しげな目でブランさんを睨んでいます。手には抜き身の剣を持っていて危ないです。
「あの〜・・・何が起こったのでしょうか?説明が欲しいのですけど?」
「「察しなさいよ!空気の読めない奴ね!!」」
シロネさんとクロネさんの声が重なりました。そして、ついさっき何が起こったのを教えてくれたのです。
「な、何ですって!?プロテイス先生が、ブランさんを襲った!?教師でありながら、生徒に淫行を行おうとしたのですかっ!?この変態教師めっ!!許さないですよ、この淫行教師!!」
「誰が変態淫行教師だっ!!」
「襲ったって、そう言う意味じゃ無いわよ!殺そうとしたって事よ!!変な勘違いをしないで!!」
ブランさんが顔を赤くして否定しました。何だ、襲ったってそう言う意味でしたか。まぁ、命も貞操も無事で何よりでしたね。
そして、そんな大事時にいなかったとは何たる不覚!これからは予防策を考えなければいけませんね。
でも、これで事情は分かりました。ブランさんを殺そうとした?一体、何故?僕は首を傾げながら、プロテイス先生を見ました。
「ふふふ・・・ハッハッハッ!!」
何故かいきなり笑い始めるプロテイス先生。何かヤバイです、怖いです。
「あの・・・プロテイス先生?笑いキノコの拾い食いか、危ない薬でもキメましたか?よろしければ、病院に連れて行きますけど?」
「馬鹿め!笑いキノコも薬もキメて無いわ!!貴様らが信じていた男に裏切られ、唖然としていた顔がおかしいのよ!!」
プロテイス先生は邪悪そうな顔をしてニヤニヤと笑いました。しかし・・・。
「いえ、そこまで信じていなかったですよ?今までずっと存在を忘れていましたし」
僕がそう言うと皆さんも揃って頷きました。哀れですね、プロテイス先生。
「ふん!強がりおって!!まぁいい!ここで貴様らは全員死ぬのだからな!!ビックアントどもに任せるつもりだったが、俺が直接手を下してやる!!」
「何ですと!?では、ビックアントたちの女王蟻を攫ったのはプロテイス先生だったのですか!?」
「ふははっ!その通りだ!!この事態も全て俺の仕業よ!!貴様ら学生を抹殺する為に仕込んだのだ!!」
何たる事でしょうか。まさか、プロテイス先生が黒幕だったとは。更に、学生を抹殺?何故、そんな事を!?
「が、学生を抹殺ってどういう事よ!?」
ブランさんがプロテイス先生に怖い顔で問いかけます。プロテイス先生はそんなブランさんを鼻で笑いました。あわわ、プロテイス先生・・・ブランさんの怖さを知らないのですか?殺されるですよ?
「ふっ。何、学園の名誉に傷をつけるためさ。学園にあまり権力と戦力を集めておきたくないのでね。貴様ら一年が全員死ねば学園は信用を失い地に墜ちると言う寸法だ。その為に貴様らには犠牲になって貰う事にしたのだよ」
「そ、そんな事の為に・・・許さない!!」
プロテイス先生はペラペラと目的を話します。多分、どうせ殺すから喋っても問題無いと考えているのでしょう。なるほど、では僕も便乗して聞きたい事を聞くですか。
「プロテイス先生!僕からも聞きたい事があるです!!どうやってビックアントたちを操ったのですか!?ビックアントの兵隊蟻が女王蟻を攫うなんて普通じゃあり得ないです!!」
僕は蟻の巣で知った情報をプロテイス先生に問いただしました。
「ほう?そこまで、分かったのか?そもそも、お前たちは勘違いをしていないか?俺がこの事態を利用しているとでも・・・」
「え?違うのですか?」
「残念ながら大間違いだ。この事態は我らの組織が一から作り出したものよ。この遠足に合わせてビックアントの管理を行い、数体の女王蟻を放ち大繁殖を画策。さらに兵隊蟻には魔法により強固な洗脳を行い、女王蟻の指令以上に俺の言う事を聞くように調教していたのだ!!」
おおお・・・何と言う計画的犯行なのでしょうか。全てはプロテイス先生の手のひらの上だったのです。
しかも、今聞き捨てならないキーワードがありましたよ。組織とか、数匹の女王蟻とか・・・なるほど、この大繁殖は一体の女王蟻のものでは無かったのですね。
「『組織』って何ですか!?」
「そう言えば、自己紹介がまだであったな。レッドランド学園教師、誰からも好かれるプロテイス先生とは仮の姿。我が名は『プロテイン』!暗黒魔法組織【深淵の使徒】の三幹部の一人【力のプロテイン】だ!!」
だ、誰からも好かれる?あ、暗黒魔法組織!?ち、力のプロテイン!?名前の方はあんまり変わって無いですよ!?
「ふん。下らない話をダラダラと・・・。力のプロテインだろうが、三幹部だろうが、この状況で勝てると思っているの?多勢に無勢。あんた一人で私たちに勝てるとでも思っているの?」
「「きゃー!お姉さま、素敵ーーーーっ!!」」
ルイさんが勇ましく刀を構えます。そして、ハイテンションの双子さん。そうです!この状況では僕たちが断然有利です!!
「その通りです!降参した方が身の為ですよ!!」
「「あんたは黙ってなさい!!」」
・・・何なんですかね?この扱いの差は。
それはそうとプロテイス先生・・・いえ、プロテインを見ると小刻みに震えていました。
「・・・ふはははははははははっ!!馬鹿め、多勢に無勢とはこう言う事を言うのだ!!」
ーーーーピイイイィィィィィィィッ!!ーーーー
プロテインは懐から笛を取り出して吹きました。すると・・・。
「「「「「グギャグギャグギャグギャグギャギャ!!」」」」」
ビックアントの大群が地面から飛び出して来たのです。
「ビックアントたちは我の支配下よ!!多勢に無勢?それはこちらの台詞だ!!」
ーーーーピイイィィィィィィィッ!!ーーーー
プロテインは再び笛を吹き鳴らしました。そして、ビックアントたちが次々と襲いかかって来たのでした。はてさて、僕たちの命運は如何にです!!




