ドラゴンのファー
「おおお・・・う、産まれる。産まれるですよ〜!!」
突然ですが、僕の目の前にある初代学園長に貰ったドラゴンの卵・・・それがついに産まれるのです。
学園ダンジョンから戻るとブランさんたちは学園に大忙しです。休みボケした身体を動かして学園へと向かいました。
そして、僕は自室にて卵の様子を見ていたのです。そしたら、グラグラと卵が揺れているではありませんか。毎日、一緒に寝たかいがありましたです。
前にも言いましたが、ドラゴンの卵は魔力を卵に注ぐ事で産まれます。
ただし、僕はまだ魔法に覚醒していないし、魔力の扱いとやらも知りません。しかし、ブランさんが言うには魔力とは生命力と切っても切れない関係にあるのだとか。つまり、生きているならば魔力を持っているはずとの事です。
そして、ブランさんに教えて貰った誰でも簡単に魔力を卵に注ぐ方法。それは肌身離さず持っている事だそうです。
そうする事で卵は近くにある魔力を吸収して孵るとの事です。よって、卵は夜に一緒に寝ていた僕の魔力を吸ってついに孵化する段階に入ったのです。
ーーーーピキピキッーーーー
お、おおお・・・。卵の殻が割れ始めましたです。卵の破片がポロポロとこぼれ落ちていきます。そして・・・。
「・・・く、くえぇぇぇ」
「産まれた・・・ついに産まれたのですよ!!万歳ですぅぅぅ!!」
ついに・・・ついに、僕のドラゴンが産まれました。
バレーボールほどの体長にピンク色の皮膚、少し丸っとしていますがトカゲの様な身体、パタパタと動く小さな羽。そんな仕草に愛嬌を感じせざる終えません。凄く可愛いですよ!僕は思わずその子を抱き上げたのでした。
「よ、よくぞ!孵ってくれたですぅ〜!!そうだ!名前、名前を付けなければ!!そうですね。僕の愛機がバルムンクですから・・・お前の名前はファーブニルからとって『ファー』と呼ぶです!!」
あのジークフリートの伝説では、敵役のドラゴンの名前ですがドラゴンの名前としてはこれ以上に無い相応しい名前です。
「くわぁぁ・・・」
「おお?よしよし、お腹が減ったですか?今、お肉をあげますよ。哺乳類の基本はミルクですが、爬虫類の基本はお肉でしょう。柔らかくしてあげますからね。ちょっと、待っているですよ」
僕は冷蔵庫から牛肉を取り出すと万能窯に入れました。万能窯は煮るだけでは無くて焼く事も可能なのです。不思議ですが、そう言うものであると納得して下さいです。
しばらくすると、柔らかく焼けたステーキが出てきたです。これにステーキソースをかけて・・・出来ましたです!!
「ファー。さあ、食べるですよ。これを食べて元気に育つです!!」
「くわぁ!!」
僕が声をかけると元気に返事をしてくれました。うんうん、可愛い奴ですね。ファーはステーキにかぶりついたのでした。
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「モツ・・・あんたが来てから、この寮がどんどん人外魔鏡になって来ているんだけど・・・」
「ブランさん、それはきっと『運命』って奴ですよ」
「そんな運命あってたまりますか!!」
あれから数日。寮の庭で僕とブランさんとファーで遊んでいるのです。
「ミーの事を忘れるんじゃないネ!って言うカ助けテェェーーッ!!」
庭ではチェケラさんとファーが仲良く追いかけっこをして遊んでいます。逃げるチェッケラさんをファーが元気に追っています。
すでにファーの大きさは僕が乗れるくらいにまで成長していました。本当に動物の成長って早いですね。
「本当に仲が良いですね〜」
「・・・どこがよ。あれは本気で逃げているわよ。まぁ、チェッケラだし。逃げ足が速いから大丈夫でしょ」
そう言うと、ブランさんは肉を取り出しました。どうやら、ファーにご飯あげるようですね。
「ほら、それくらいにしなさい。ファー、ご飯よ」
「クワァ!」
ファーはブランさんに駆け寄って行きます。そして、ブランさんの手から牛肉を貰い頬張ります。
「よしよし。でも、この子【レッドドラゴン】よね。基本的にドラゴンは人には懐かない筈なのに・・・」
ブランさんは食事をしているファーの頭を撫でました。ファーは気持ち良さそうにしているのですよ。
ブランさんが調べた結果、ファーは【レッドドラゴン】の可能性が高いとの事でした。もっとも、ファーの鱗はレッドと言うよりピンクですけど。
「まぁ、モツの魔力を吸って孵った訳だし。その為かもね。ドラゴンの卵の状態での魔力吸収は成長に影響すると本で読んだ事があるし・・・」
・・・なるほど。僕に似て穏やかで優しく理知的なのですね。やはり、子は親に似るものなのでしょう。
「モツの能天気さが遺伝したんでしょうね」
「ちょっと、ブランさん!もっと褒めるところがあるでしょうです!!」
「あら?ごめんなさい。ふふふ・・・」
そう言ってブランさんは笑いました。分かれば良いのです分かれば。
ちなみにファーは一応ブランさんを主人として従魔登録されました。これでファーも一緒に戦えるですよ。そして、ブランさんもファーも僕が守るです。
・・・そう、この穏やかな日常の中で決意したのでした。




