お妃様に会いました
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
レッドライン王国の王城。野太い悲鳴が城内に木霊しました。僕の目の前には逞しい肉体をしたおっさんたちが倒れ伏しています・・・ウ◯チを洩らしながら。
「くくく、お城でお漏らし恥ずかしいです〜」
『何と言う無惨な姿だ。ああは、なりたくないものだな』
・・・さて、どうしてこうなったのかと言うと。皆さんは初めて僕が邪神様の世界に行き、戻った時に僕のバルムンクを奪い取ろうとしたおっさんの事を覚えていますでしょうか。
宝物庫を出て、適当に歩いていたら偶々にあの時のおっさんが目に入ったのですよ。
このおっさんは意外と偉いらしく廊下を歩いているだけで、兵士さんたちやメイドさんたちから頭を下げられていました。
そして、たまに綺麗なメイドさんのお尻を撫でるなどのセクハラ行為していたのです。僕はあの時の仕返しとメイドさんたちの恨みを晴らすためにおっさんの後を追いました。
おっさんは立派な執務室(?)に入ると、その部屋にあった立派な机、椅子に腰掛けました。その部屋にはそのおっさん以外にも、またしても偉そうなおっさんたちが座ってましたですよ。
そして、仕事をするのかと思いきや、ワインを飲み始めました。さらに、なんと言う事でしょうか。奴隷の自慢話やエロい話(性奴隷に関する)をし始めたのです。
僕は顔を赤らせながら出て行こうとしましたが、そこで聞き捨てならない話を聞いたのです。
「あの女め!何が学園は権力には負けはしないだ!!全く、忌々しいっ!!」
その一言で誰の事を言っているのか、検討が付きました。この人たちが言っているのは学園長先生の事でしょうね。
そして、学園長先生の事を罵倒し続けて、更にはその内にヒーヒー言わせてやるなどとエロい話をし始めました。
このおっさんたち!学園長先生は学園の皆さんの為に頑張っているです!!それ以上は許さないですよ!!
僕は適当な本を手に取ると本をおっさんに投げ付けました。喰らうです!!
「ぐわあっ!な、何だ!?」
・・・本は囮です。おっさんたちの注意が本に行っている隙に、おっさんたちのワインに邪神様仕様の強力下剤を入れました。
これを飲むと下痢が止まらなくなるですよ!思い切り、苦しむと良いのです!!あっ、そうだ!ついでに僕の唾も入れておくです・・・ぺぺっ!!
おっさんたちは首を傾げながら再びワインを飲み始めました。時限爆弾セット完了です。これで、約10分後には腹痛に苦しむ事になるでしょう。
しかし、まだ終わりませんよ。僕は部屋を出て一番近いトイレを見つけました。下剤が効けば、このトイレにおっさんたちは殺到するでしょう。僕はトイレに入って鍵を閉めて、再び【異空間の大鍵】を使い密室を作り出しました。
そして、トイレから執務室までの通路に罠を仕掛けました。
「トイレ前にロープ。ここにバナナ皮、あっちに金タライ。うん、こんなものですかね」
『・・・コントか』
僕はロープの所でスタンバイして待ちました。ロープは適当な柱に結んであり、引っ張るとピンとなる定番トラップです。そして、罠を設置して数分後。ついに、その時が来ました。
ーーーーバタン!!ーーーー
執務室のドアが乱暴に開け放たれました。そして、顔に汗を滴らせたおっさんたちがトイレを目指して走って来ました。
ーーーーカーン(金タライが落ちる音)!ツルッ(おっさんがバナナで滑る音)!!ーーーー
執務室にいた四人のおっさんの内、二人が脱落しました。では、次はこいつです。
「やあああぁぁっ!!」
「ぬおっ!?」
僕はロープを引っ張りました。おっさんはすっ転びます。また一人おっさんが脱落をしましたです。
「はぁ、はぁ。い、一体、どうなっているのだ?いや、い、今はそれよりも・・・」
最後に残ったおっさんはあのバルムンクを盗もうとしたおっさんでした。おっさんはやっとの事でトイレに辿り着きました。しかし・・・。
ーーーーガチャ、ガチャ!ーーーー
「あ、開かないだとぉ!?何故だぁっ!!」
そう、トイレのドアは開かないようにしてありますからね。僕はドアに夢中になっているおっさんの背後に近づきました。
「・・・トドメですぅぅぅっ!!」
僕は執務室から拝借したペンをおっさんの尻にロックオンしました。そして、定めた目標に向かって一気に・・・。
「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ペンはおっさんの尻の◯に見事に刺さりました。おっさんは悲鳴をあげて床に倒れ伏しました。おっさんからは異臭が漂って来ます・・・くっさ!!そんな訳で冒頭に戻るですよ。
「・・・天誅です。では、ズラかるですよ!!」
僕はおっさんたちを振り返らずに走り出しました。中庭まで逃げると息を吐きました。
「ふ〜・・・スッキリしたです」
『あいつらも、違う意味でスッキリだな』
邪神様、上手い事を言うですね。さて、少し騒ぎが大きくなって来ましたし、そろそろ帰りますかね。
「邪神様、そろそろ帰りますか」
『そうだな。それなりに見れたしな』
そして、帰ろうとしたら偶々にお城の天辺の窓が目に入ったのでした。
「じゃあ、転移玉で帰る前に天辺に登ってから帰るです。王都を一望ですよ」
僕は一望するために、再びお城の中に入りました。そして、天辺を目指して上に上に・・・。やっとの事で辿り着きました。
「え〜と、あの窓は・・・」
僕はあの窓の部屋を見つけました。その部屋の前には兵士さんがいました。しかし、その兵士さんの鎧は下にいた兵士さんたちより立派でした。何なんですかね?
扉の前に行くと偶々にメイドさんが出て来たのですよ。これは・・・チャンスですね!!
僕はメイドさんと入れ違いに部屋に入りました。すると・・・。
「・・・あら?どなた?」
「え!?ぼ、僕が分かるのですか!?」
部屋の中には綺麗ですけど、痩せこけた女性がいたのです。歳は大体、学園長先生くらいでしょうか・・・三十代半ばくらいですかね?金髪の女性が真っ直ぐに僕を見ていたのですよ。
「気の所為じゃ無いわね。確かに何かがいるようね。ねぇ、誰?あなた?」
・・・どうやら、声は認識していないし完全には気づいて無いようです。僕はその人を無視して窓に近づきます。僕はただ窓から景色が観たいだけですからね。景色を観たら、すぐに帰るですよ。
「・・・ねぇ?ゴホッ、ゴホッ!!」
その人は急に咳き込みをし始めたのです。だ、大丈夫なんですかっ!?僕の所為ではないですよね!?
「ゴホッ!ゴホッ!がはっ!!」
咳き込みは段々と酷くなって行きます。これは・・・どうしたらいいんですか!?僕は思わずその人に駆け寄りました。
「・・・な〜んて、嘘よ。やっぱりいるじゃないの」
「はえっ!?」
いつの間にか、その人に腕を掴まれていました。しかし、その人の力は酷く弱々しかったです。
手を振りほどく事はやろうと思えば出来ましたが、僕には出来ませんでした。嘘だとその人は言いましたが、その細い存在感からは先程の咳が嘘だとは思えませんでした。
「・・・ふふ、これがお迎えかしら。ねぇ、天使さん?私をお迎えに来たの?もう、そろそろ逝くのかしら私。最近じゃあ、色んな物が見え始めているのよ・・・あなたも含めてね」
何を勘違いしているのでしょうか?僕は天使様じゃ無いですよ。でも、この人の言葉を信じるならば、この人はもうすぐ死んじゃうのですか?
「邪神様・・・どうしたらいいのでしょうか?」
『・・・俺に聞くなよ。そうだな、言える事は一つ『好きにしろ』だ』
答えになってないですよ!邪神様!?でも、好きにしろですか?それならば・・・!!
「これを飲むです!!【超エリクサー】!!これを飲めば、どんな病気も治るです!!」
「え?うぐっ!?」
僕はその人に無理矢理【超エリクサー】を飲ませました。しかし・・・。
「・・・何で元気にならないのですか!?」
先程よりも、顔色は良くなったものの・・・たちどころに元気になるはずのエリクサーを飲んでも全快していなかったのです。
『おい、モツ。ちょっと鑑定して見ろ。原因が判るかもしれん』
「は、はいです!!」
そして、邪神様の鑑定メガネでわかったのはとんでもない事でした。
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名前:テルシアナ・S・レッドライン
種族:ヒューマン
性別:女性
年齢:37
性格:優しい、大らか
戦闘力:現在はゼロ
属性:光
説明:レッドライン王国の王妃。優しさに溢れている女性の鏡。しかし、何者かから呪いを受けている。このままでは近いうちに死ぬだろう。
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・・・何と、王妃様!?いや、それよりも呪いですか!?一体、誰が・・・。
「・・・ね、ねぇ?どうしたの?私に何を飲ませたの?身体が少し楽になったけど?」
ええい!うるさいですね!!僕は今、どうするか考えているですよ!!
「【防音カーテン】!!これで声を出しても大丈夫です!!」
このカーテンは音を吸い込みます。よっていくら音を立ててもこのカーテンで仕切られた中の音は漏れないのです。
僕は入り口の扉にカーテンをかけて、認識阻害バッチを外しました。
「ちょっと聞いて欲しいです!おばさんには今呪いがかけられているですよ!!」
「お、おばさ・・・あ、あなたは?一体?それよりも呪いですって?」
僕の姿を、認識出来るようになった王妃さまは突然に現れた僕の姿に驚いています。
「僕の正体などどうでもいいですよ!今は、おばさんにかけられた呪いをどうにかするのですよ!!邪神様!お願いしますです!!」
『分かった、分かった。ほれ、今に送るぞ』
「・・・あなた。その、おばさんはやめてくれない?いえ、それよりも・・・この呪いを如何にか出来るの?」
どうやら、王妃さまは呪いに心当たりがあったようです。あっさりと受け入れましたです。
そして、空間が裂けて落ちてくるアイテム。それは金色のロザリオでした。
『これは【聖呪のロザリオ】。これを身につければ呪いを無効化出来るどころか、呪った相手に返す事が出来る。モツ、王妃に渡す際には反射の事は言うなよ。反射すると分かれば、その王妃は受け取らないかも知れないからな』
了解です!邪神様!!この呪いをした人物にはお仕置きが必要と言う事ですね!!反射のことは黙っているです。
「・・・一体、何が起こっているの?」
「おばさん!これを身につけるです!!これは【聖呪のロザリオ】、呪いを無効化する事が出来るです!!」
「だから、おばさんは・・・え?ほ、本当に?」
「後、この薬はもう一つ上げるです!これで、体力を戻すのですよ!!では・・・」
「ち、ちょっと待ってよ!!あなたは・・・」
「通りすがりのヒーローですよ!!」
僕は窓に向かって走り出しました。ヒーローは名乗ってはいけないものですからね。何て、今の僕はかっこいいのでしょうか!
やはり、良い事をすると気持ちがいいですね。
晴れ晴れとした気持ちで、窓の外の踊り場で転移玉を割ると僕は転移したのでした。




