タ◯ムワープですよ
『待たせたな。今、タイムマシンを送るぞ』
それから、約一時間後くらいでしたか。邪神様から連絡が入りました。僕はこれからタイムマシンに乗って過去に戻るのですよ。
「バッチコーイです!」
『やけに素直だな。タイムマシンに乗る不安はどうした?』
恐怖心が無くなった僕を見て邪神様が首を傾げています。僕は先程のルイさんと出会った時の推察を教えました。
『ああ、成る程な。もはや、実験が成功すると分かったのか。じゃあ、安心して乗れるな。ほい、転送』
そして、いつものように空間が裂けて道具が落ちてきました。こ、これが【タイムマシン】ですか!?
僕の目の前に落ちて来たのは、バルムンクの強化パーツのキューブでした。それがいつもの変形とは違いキューブが四つも落ちて来たのでした。
『【タイムマシン】はバルムンクの変形によって乗ることが出来る。さあ、バルムンクを出して変形させろ』
「でも、何で四つも変形キューブがあるのですか?」
『それはあくまで念の為だ。変形には二つのキューブを使用するが、使用してしまうとタイムマシン以外の機能しか使えなくなる上に、元の形態に戻るとパーツは消失するからな。万が一、実験が失敗した時の為に戻ってこれるように、の一セットだ』
成る程。以外と考えてくれていたのですね。流石は邪神様です。では、行きますよ!!僕はバルムンクに乗り込みました。
「よし!バルムンク!!変形で『あ、ちょっと待て』・・・何ですか邪神様!?良いところでしたのに!!」
急に『待った』とかやめて下さいよ。思わずコケるとこだったじゃないですか!?
『いや、【タイムマシン変形】はあくまで時間を超えるだけの装置だからな。ブランが王都にいるなら、お前はタイムマシンで遡った後に王都に向かうのか?その為の飛行パーツを渡しとこうと思ってな。まぁ、ブランが帰ってくるのを待っている事も出来るが、お前はそのリンダ?に仕返しするんだろ?ついでに罰ゲームの道具も送ってやるよ』
向こう世界で事情を説明した際に『絶対にお返ししてやるです!!』と言いましたからね。邪神様は覚えていたようです。
再び空間が裂けて、飛行パーツの変形キューブとお仕置き用の道具が落ちて来ました。くくく、実に楽しみですよ。僕は道具をアイテムボックスにしまうと今度こそ出発をします。
「バルムンク!変形です!!」
二つのキューブが光輝きバルムンクが変形します。その姿は丸い球体の様な形態でした。球体には時間示す様な『Ⅰ』から『Ⅻ』までの時間数字的な模様が描かれてあります・・・ちょっとかっこいいですね。
「タイムワープです!!」
タイムマシンで時間を遡る設定は一時間単位で行うようです。僕は王都に向かう時間も計算に入れて、猫喫茶にいたくらいの時間を戻る時間に設定して機能を起動しました。
するとマシンの周辺が歪みました。おおお・・・何やら気持ち悪い風景ですが、まさにSFと言う感じが出ています。
そして、僕とタイムマシンは時間の壁を乗り越えたのでした。これがこの世界初のタイムワープですよ!!
〜〜〜〜モツがいなくなった日の夕方。リンダ視点。冒険者ギルドにて〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・モツ何処に行っちゃったのよ」
冒険者ギルドのテーブル席の一つ。私の目の前で今日の依頼人の女の子がうつ伏している。
まぁ、自分の従魔が急にいなくなっちゃたからね。当たり前か・・・な〜んて、私が捕まえて売っちゃったんだけど、キャハハハッ!!
「ブランちゃん、大丈夫よ。きっとすぐに見つかるわ。いえ、私が言えた義理じゃないわね。私が目を離したのが悪いんだし・・・」
「いえ、リンダさんの所為では・・・」
そして、この子は従魔の捜索依頼を出す為に冒険者ギルドに来たの・・・まぁ、無駄なんだけどね。
ちなみに、あの魔物は意外と高値で売れたわ。馬鹿だったけど愛嬌があったし、奴隷商はペットとして買ってくれたみたいね。
私がこうして他人の従魔を売り出したのは、ちゃんとしたお小遣い稼ぎ。あんまり、やり過ぎるのは冒険者ギルドにバレるから駄目だけど、二、三回ならバレやしないわ。
それに依頼人とは違い、従魔なら護衛の対象にはならないし、人になれた魔物は気が緩んで捕まえやすいしね。
今回は楽だったわ。念の為に私の子分たちに捕まえるのを手伝って貰う予定だったけど、あんなお菓子に釣れられるんだもん。
「全く!帰って来たら、たっぷりと叱ってやるんだから!!」
あらあら、少しでも不安を消そうとしているのか自分を奮い立たせているのね。でも空元気がバレバレよ・・・あはは!馬鹿な子。でも、せっかく出し便乗しましょうか。
「・・・そうね。冒険者ギルドに捜索依頼も出したし、すぐに見つかるわよ」
「そうですよね!それにモツは規格外のふざけた魔物だから。例え、奴隷商人に売られても自力で戻って来ると思うわ!!」
ぎくり!?ど、奴隷商人って・・・バレてないわよね?この子、妙に感が鋭いわ。それに規格外?あの魔物が?
「き、規格外?」
「はい、モツは馬鹿だし弱いけど不思議マジックアイテムを沢山持っているんです。この前なんて、植物モンスターの群れを倒したんですよ」
「へ、へぇ〜・・・それは凄いわね〜」
あの魔物が?そんな凄い魔物には見えなかったけどね。まぁ、所詮は学生の世迷言で・・・。
「でへへ〜〜・・・そんなに褒めないで下さいです〜!!恥ずかしいですよぉ、ブランさん」
・・・・・・は?
「モツ!?やっと帰って来たの!?」
「ブランさん。ただいま、戻りましたですよ」
な、な、な・・・何ですってぇぇぇぇっ!?
いつの間にか、あの子の側にあの魔物が姿があった。間違い無い・・・私が売り払ったあの魔物だわ!?一体、どうやってここに!?ま、まさか、本当に奴隷商人から逃げて来たとでも言うの!?
「全く、今まで何処にいたのよ?心配したのよ」
うぐっ!?その質問は不味いわ!!
もし、奴隷商人に売り飛ばした事がバレたら・・・言葉を話せる魔物は価値が高いから、売ったら割り増しになったけど、今は厄介でしかないわ!!いえ、こんな魔物の言葉なんて誰も信じないわ!!
「・・・ごめんです。実は、あまりに暇だったのでまたマリーさんの所に行ったのですよ」
その魔物は私を目配せすると、本当の事を言わなかったのである。
ーーーーゾクリ・・・ーーーー
・・・本当の事を言われなかったのには助かったけど、形容の出来ない恐怖が私を襲った。な、何を考えているのよ。この魔物は・・・?
「そうだ、リンダさん!今日のお礼です!!はい、これをどうぞです!!」
「へ?な、何?」
つい咄嗟に受け取ってしまった。渡されたのは小石サイズの硬い何か。私は恐る恐るそれを見て、わたしは言葉が出なくなった。
「さあ!ブランさん!!帰るですよ!!早く、早く〜〜!!」
「ええっ!?ちょっと、待ちなさいよ!どうしたのよ!?あ、すいません!リンダさん!今日はありがとうございました!!」
唖然としている間に魔物と女の子は去っていった。そして、私は二人が去った後も佇んでいた。私は渡された物を、もう一度見たのだった。
「ダ・・・ダイヤ?」
手の平に置かれているのは間違いなくダイヤモンドだ。
それもかなり大きめで、妙に惹かれる魔力があった。それが冒険者ギルドの明かりに反射して不気味に光ったのだった。




