ファミレスで一息
本日は22時にも投稿する予定です。
〜〜現代世界〜〜
「さぁ、好きなだけ食べていいんだよ。た〜んとお食べ」
「おおお・・・こ、これはぁ〜〜〜!?ほ、本当にいいんですか邪神様ぁ〜〜!!」
モツの前に並べられたハンバーグ、ステーキ、グラタン、ピザ、アイスにケーキといったデザートまでもがテーブルの上に所狭しと置かれていた。
ここはファミレスだ。モツとの再会の後にちょっとした要件すませた後、プチパーティーと洒落込んだのだ。
「勿論だとも、好きなだけ食べるといい。足りなかったり、食いたい物があったら注文するといい。金は全て俺がもってやるさ」
「じゃ、邪神様〜〜!?あ、あなたは神様ですか〜〜!!い、戴くですよ・・・がぶり!はうぅぅ〜〜、お、美味しすぎるですぅ〜〜!!」
ふふふ、好きなだけ食べるがいいぞ。何せ、お前のおかげで俺の財布は潤いに潤いを重ねて激重だからな。
・・・そう、先ほどの要件とは『金稼ぎ』だ。
『実はもっと便利なアイテムがあるんだ』と言って、異世界に戻ったら送る事を条件に幾つかのモツの持つマジックアイテムを受け取ったのだ。
それは【アイテムボックス】や【錬金の万能窯】、【認識阻害バッチ】、その他諸々だ。
前の二つは前にも使って説明は不要だろう。後は今後のお楽しみである。それはともかく、今回の肝は【認識阻害バッチ】だ。これが今回、おおいに役立った。
【認識阻害バッチ】は擬態効果と催眠効果を持つマジックアイテムだ。これを身体に取り付けると対象の周囲に催眠効果のあるエネルギーを発生させるのだ。その結果、モツは普段の(魔物の)姿でも堂々と外を歩けるし、誰も疑問に思わ無いのだ。こいつはそういうものだと勝手に納得するのである。
俺はこれを使い、モツと少し別れている間に純金を【万能窯】によって作製。更には、【認識阻害バッチ】で学生と言う身分を偽り、換金屋で作製した純金を売ってきたのである。【認識阻害バッチ】は証明書ですら誤魔化せるのだ。
・・・おかげで、財布はウハウハ。
スマホなど幾ら壊しても問題無い。モツの飯代など端金もいい所だ。ちなみに、それで稼いだ癖にファミレスかよ・・・と思うかも知れないがそこは小市民の学生であると言う事で納得して欲しい。
それと多少の罪悪感はある。しかし、偽物を売った訳では無いし、誰も困っていないのだから問題無い・・・筈だ。クズは慣れてしまうと、何処まででもクズになれるのである。もはや、開き直ってしまった。
「よし!俺も食うか」
目の前に飯が並んでいるんだ食わない道理が無い。モツも食いたいならば頼めばいいんだしな。俺は好物の味噌ラーメンを掴むと思い切り麺を啜った。
「・・・邪神様。お行儀が悪いですよ。そんな風に啜って食べるなんて」
普通に啜って食っていただけなのに、モツに注意されてしまった。・・・そうか。そう言えば、モツは異世界にいたから知らないのか。
日本人の誰もが知っていて、好物であるラーメン。その麺を啜ると言う文化は日本独自である事を。
外国人・・・更にラーメンの発祥地の中国でも、基本的に音を立てて麺を啜るのはマナー違反とされているそうだ。
また、日本で文化となっている理由は主に『蕎麦』にある。落語などで蕎麦を『ズルリ』と啜って食べる事が粋であると浸透している為だと言われているのだ。
その辺りの事をモツに説明する。モツは『ううむ、これが異世界の常識ですか・・・』などと言っていた。そして、モツもラーメンを食べる。
「さらに、このラーメンにかける胡椒・・・多分、お前の世界だと、金と同価値だと思うぞ」
「ぶはっ!?ま、マジですか!?」
・・・汚ねぇな。こっちに向かって吹き出すな。モツは金と同価値の物を食べ物にかけて食べる経験に驚いていたのだった。
その後、ファミレスを出て次の店に行く。モツがお土産が欲しいと言うのでデパ地下辺りで高級ケーキを買うのだ。
「あ、ところで邪神様?」
「何だ、モツ?」
「どうして、僕はこの世界にまた来れたのでしょうか?」
モツが疑問を口にする。自分の身に何が起こっているのか分からないのだから、当然の疑問だろうな。
「・・・そうだな。前回と照らし合わせて一応の推論は出来る」
そう、前回と今回の重なった符合点。それは『雷』だと思われる。前回も今回も・・・電気を受けた事によりこの世界にやって来ているのだ。
さらに言えば、モツ誕生も俺の家に雷が落ちたのが始まりだった。『雷』と『モツ』、それに『モツを写し続けるPC』・・・謎は深まるばかりだ。
そのような話をモツにするが、モツは首(?)を傾げるばかりだ・・・理解して無いな、こいつ。
「じゃあ、もう一ついいですか?」
「何だ?」
「何で最近、会話が少なくなったのですか?今日だって、僕はかなりのピンチでしたよ!!」
・・・その一言で俺たちの歩は止まった。
「・・・こっちにも色々と事情があるんだよ」
「何ですか?その事情って?」
モツがジト目で俺の顔を睨んでいる。
・・・ううむ、どう答えたものか。まさか、この数日に新発売したゲームを、そっちのけでやり込んでいたとは言えん。まぁ、命が危なかった時に、のんびりとゲームをしていたと聞いたら、間違いなくキレるだろうな。
何と誤魔化すべきか、言葉を濁す俺。しかし、何と言う偶然なのだろうか。前を見るとデパ地下の通路・・・その向こうから彼女たちがやって来たのだった。
彼女たちの目は間違いなく俺たちを見ていた。この認識阻害をどのような方法かは分からないが無効化しているのだろう。
「・・・そう、こいつらの所為だ」
「「「え?」」」
俺は少女たちに指を刺した。・・・何と言う偶然だ。全く、ベストタイミングで来やがったな。
いきなり、指を刺された少女たちは困惑している。
昨日や今朝の逃げ続けるだけの状況だといつかは捕まりと考えていた。だが、今は状況が違うのだ。そう。今この場には異世界で戦ってきたモツがいる。そして、俺の装備も充実している。逃げる理由が無い。
「・・・場所を変えようぜ。ここじゃあ、周りに迷惑がかかるからな」
俺は大胆不適に笑い・・・言い放った。
これでこいつらを排除出来る上に、モツの話も誤魔化せる・・・まさに一石二鳥だった。




