王都と護衛
〜〜異世界サイド〜〜
・・・時間は少し遡りますです。
僕とブランさんは馬車に乗りやっとの事で王都へと着きました。王都の北側に位置する馬車乗り場に足を降ろしたのでした。
「うう、お尻が痛いです〜」
馬車の乗り心地は、とてもじゃないですが良いものではありませんでした。席は硬い木の板だし、ガタガタと揺れまくりお尻に振動は来るしで痛かったですよ。これだったら、まだバルムンク車形態の方が良いですよ。
邪神様がいれば、現代の車じゃ無いんだしスプリングなどが使われて無いから当たり前だと言うでしょうね。
「ほら、早く行くわよ。まずは冒険者ギルドに行きましょうか。今回の護衛さんに会わないと・・・」
学園では、生徒が王都を歩く際には冒険者ギルドに頼んで護衛を付けて貰う事を推奨しているらしいです。
そう、生徒には貴族の子たちが居ますからね。何かあった困るからの処置でしょう。ちなみにこの護衛を頼むのは殆どが貴族の学生のようです。平民の子はあまり頼まないようですね。
節約をモットーにしているブランさんには痛い出費の様ですが、安全第一にと依頼をした様ですね。僕は外見的に弱そうですからね。威圧的な意味にはならないのですよ・・・決して要らない存在ではないのです!!
それはともかく、学園ギルドを通じて王都の冒険者ギルドに護衛を通達している様です。つまり、後は冒険者ギルドに行くだけで護衛の人を紹介してくれるそうです。
「冒険者ギルドは北区だから、すぐそばね。でも、迷子にならないように気をつけなさいよ」
「僕は子供じゃないですよ!?」
この王都は5つの区があるようです。なんでも機能的にする為に用途などに応じて区を別けているようです。
まず、王城や王族が開放している観光用庭園が大部分を占めている中央区。
商業を目的とした人々が多く集まる南区。主に扱うのは生活品や家具、薬で生活を支える道具を売っている店、飲食店が多いようですね。また、季節の食べ物も早めに手に入る様なので、是非に行ってみたいです。
貴族ややり手商人たちが家や貴族専用の店がある東区。ブランさんいわく、ここに住む人は総じて面倒な人が多いから絶対に行ってはいけないそうです。ここだけ、検問所があるから入れないだろうとは言われましたが。
平均的な収入や稼ぎで生活している人々が多く住む西区。ここは王都で最大の大きさの区である様ですが、家があるだけでこれと言って見るものは無いと言ってました。でも、王都を知る為には人々の日々の生活を知るのが良いのですよ。特に貴族にはね、ブランさん。まぁ、僕は魔物なので知らなくても良いですけどね。
そして、最後に冒険者ギルドや、戦う人たちの為の店を多く出している北区。ここには戦闘用の武器屋や道具屋、魔法屋に酒場と闘技場があります。
また、馬車乗り場は中央区以外に全てありますが、学園と繋がっているのは北区だけみたいです。学園は冒険者養成学園と銘を打っているので直送の馬車が出ているのですよ。
ブランさんについて歩いていると程なく『レッドランド王国王都冒険者ギルド本部』と書かれた建物がありましたです。長すぎですよ名前が・・・。
僕とブランさんは丈夫そうでいて上物の木で作られていそうなドアを押してギルドの中に入りました。
冒険者ギルド本部の外見は木造建築の二階建ての立派な外装をした建物でした。そして、中は広いロビーと備え付けられた酒場風の席に沢山の冒険者さんたちが居ましたです。
・・・今は昼前くらいですよ。この人たちは冒険には行かないのでしょうか?違う意味で彼らが心配になりましたですよ。
入ると僕とブランさんはギロリと近くにいた冒険者さんたちから睨まれましたですよ。
「・・・ブランさん。何か、視線が集まっていますよ。ここは秘蔵の一発ギャグでもした方が良いのでしょうか?」
「しなくていいわよ!?・・・はぁ、放って起きなさいよ。冒険者たちは見慣れない人を睨む習性があるの。新米や外部から来た冒険者だと特にね。それに私は依頼人よ。依頼人に危害を加えたら冒険者としてやって行けなくなるわ。依頼人だと分かれば視線は無くなるわよ」
「おお〜!成る程です〜〜!!」
そう言うとブランさんは、依頼人用の受付に並びましたです。すると、先ほどまでの視線が微塵も無くなりましたですよ。
冒険者って変な習性を持っているのですね?邪神様が見ていたら『テンプレ来た〜!!』と騒ぎそうです。
依頼人の受付に並び、しばらく待つと僕たちの番になりました。ブランさんはあらかじめ学園で貰った依頼書を出すと受付に渡しました。
何か冒険者ギルドの受付は美人かイケメンしかやっていけない決まりでもあるのでしょうか?窓口の人は全員が外見が良い男女だけでしたよ!?これが格差社会と言う奴ですか!?
「・・・お待たせしました。すでに護衛にあたる冒険者が待機しています。すぐに来ますので、もう少々お待ち下さい」
「はい」
そして、待つ事数分。1人の女性が僕たちの前にやって来ました。
緑の髪をポニーテールにしている、綺麗なお姉さんだったですよ。皮の鎧に剣を携えているので、リックさんやルイさんのような剣士タイプでしょうか?彼女が僕たちの護衛のようです。
「私はリンダ。ランクは『ブロンズ』よ。今日の護衛はよろしくね」
ちなみに女性冒険者は数が少ないですよ。
学園は大手ですからね。学園からの依頼ではある程度の希望は呑んでくれるらしいです。
女生徒の護衛に女性を付けるのは良くあることのようです。気兼ねなく接する事が出来るようにする配慮ですね。また、上級者はイケメンの男冒険者を雇ってプチデート気分を味わうそうですね。それは、ブランさんには早いですよ。
「よろしくお願いします。私はブラン。こっちは従魔のモツです」
「よろしくです!」
「喋る魔物?珍しいわね。じゃあ、行きましょうか?予定はあらかじめ聞いているけど、変更とかはある?」
「いえ、大丈夫です。行きましょうか、モツ」
「はいです〜!」
こうして、僕たちは王都へと繰り出したのです。
ちなみに依頼料ですが、学園が依頼料の半分を負担してくれる上に、街中を歩く程度の仕事ですから結構安いようですね。貧乏なブランさんでも払える金額みたいですよ。
でも、僕は知らなかったのです。後ろからついて来るリンダさんの目が怪しい目で僕を見ていることに・・・。




