決戦準備とラブさん
『ブランさん!必ず助けに来ますから、待っていて下さいです!!』
学園の会議室にて流される事の顛末。邪神様が編集した映像機によって、洞窟での事が会議室に集まった有志たちの目に触れました。
『さあ、果たしてモツはブランを助け出し、あの【イビル・フェアリー】(仮名)を倒すことが出来るのか!?待て、次回!・・・君に大切な人はいるか』
そして、終わりに流れた謎のテロップとメッセージ。邪神様・・・ノリノリですね。
『短時間で作ったにしてはいい出来だろ?』
「ええい!こっちはそれどころじゃないですよ!!早くブランさんを助けに行かなきゃ!!」
『君に大切な人はいるか・・・』
「だから、ブランさんがそうですよ!?」
邪神様のどうでもいいコメントはともかく。今もブランさんは身を危険に晒しているです。こんどこそあのクソ妖精を倒して、ブランさんを助けなければ!!待っていて下さいです!!
「・・・お待ちなさい、モツくん」
会議室を出ようとした僕を学園長先生が止めましたです。なんですか?急いでいるんですよ、今は!?
「先ほど、新たな報告が届きました。植物モンスターの頭・・・【イビル・フェアリー】でしたか?アレがいた洞窟から、更に謎の巨人植物モンスターが現れたそうです。その大きさはかなりのもので30mはあると。そして、奴らは此方に向かって来ていると言う情報が入りました」
何と!向こうから来ているですか!?望むところ!!飛んで火に入る夏の虫です!!返り討ちにしてやるです!!
ちなみに植物巨人ですが、ガ◯ダムの大きさは大体が18mくらいでガ◯ダムよりもでかいようです。
「情報提供ありがとうです!では・・・」
「違います!私は戦いに行くのを待てと言いたいのです!!」
再度、呼び止められる僕。『待て』ですと?どうしてですか!!
「敵はあまりにも巨大。ここは協力するべきです。後もう少しで・・・半日もすれば奴らの弱点である火属性の武器が揃います。それを待ち、学園全体で仕留めるのです!!」
「は、半日も待てないですよ!!ん?では、もう既に戦闘員の数は揃っているのですか?」
「え?ええ。何とか確保しましたが・・・」
「邪神様!!お願いです!!」
僕は見ているであろう邪神様に向かって、叫びました。邪神様なら、この事態を打開するアイテムをくれるはずです。
『はいはい。ほれ、火属性の武器とマジックアイテムを増やす道具だ』
そして、空間が裂けて一本の槍と謎の液体の入ったスポイトセットが出て来ました。
『液体とスポイトセットは物質にかけるとかけたものを増やしてくれる。ただし、効き目は24時間な。それを過ぎると本体を残して消えるから。後、ちゃんと本体が分かるようにしとけよ。混ざると本体が分からなくなるからな。そっちの武器の名前は魔槍【タナカ・スピアー】。タナカの『カ』は『火』と言う意味で、当然火属性だ。類似品に雷属性・・・『ヤマ』ダ、『山』田、『サン』ダ・・・と言うふうに『山』をもじった魔弓【ヤマダ・アロー】もあるが・・・」
「ありがとうです!邪神様!!」
話が長いですよ邪神様!邪神様の話を無理矢理遮り、効果を説明するです。さあ、これで準備は万端でしょう!!行きますよ!!
「じゃあ、僕は先に行くです!!うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
「あっ!こらっ!!廊下は走らないのっ!!」
「え?そこですか!?」
学園長先生と会議に参加していた別の先生の声を背に会議室を出ました。これから向かう目的の場所はアイアン寮。僕も戦う準備をしますから。
僕の部屋の鍵付き倉庫に保存してあるアイテムを取りに行くですよ。アイテムボックスの倉庫版で持ち運びは出来ませんが、かなりのアイテムが収納出来ます。
その際に、裏庭を通ってショートカットをしようとした時でした。誰かとぶつかってしまいました。体重の無い僕ですから、相手は尻餅だけで済みましたですよ。
「きゃあっ!?」
「えっ!?ぶ、ブランさん!?」
・・・あ、違います。一瞬、ブランさんと間違えましたが声の持ち主は双子の姉であるラブさんでした。声や顔が似てるから間違えましたよ。
「・・・何だ。ラブさんでしたか」
「何だって、何よっ!!」
「パンツ丸見えですよ」
「っ!?この変態モンスター!!」
『敢えて言おう。ナイスであると・・・』
邪神様は黙ってて下さいです。ラブさんはすぐに立ち上がり、スカートを抑えました。そして、僕を睨んでます。
「・・・じゃあ、僕はこれで。決戦の準備があるので」
「・・・待ちなさい」
そそくさと退散しようとした僕の尻尾をラブさんが掴みました。エッチ!デリケートな場所何ですよ!!
「・・・そう言えば、洞窟ではやってくれたわね」
「はて?何かしましたか?」
「知らばっくれるんじゃないわよ!変な薬を飲ませたでしょうが!!」
うう・・・何もこんな時に文句を言わなくても。時間が無いですのに・・・。そう言えば、薬の効果は既に切れているようです。
「そのおかげで・・・ブランが捕まっちゃったじゃないの!!」
んん?何か違和感がありました。まるでブランさんを心配するような言い方。以前のラブさんからは考えられない言葉でしたよ。
「ラブさん?ブランさんが心配なんですね」
「っ!?な、な、何をっ!!わ、わ、私は、あの子の事なんてっ!?」
面白いくらいに、動揺してますね。好機と見た僕はさらに追い討ちをかけるですよ。
「・・・くくく、そうだったんですか。口では、何やかんやと言いつつ、ブランさんの事が気になっていたんですね。このツンデレさんがっ!!」
「なあっ!?つ、ツンデレって何よ!!」
「自分に正直に慣れない、恥ずかしがり屋さんの事ですよっ!あなたのような・・・ニタニタ」
「口で『ニタニタ』って言うなっ!このモンスターの分際でっ!!」
僕の言葉に慌てるラブさん。さて、揶揄うのはこれくらいにしておきますか。ここからはシリアスに行くですよ。
僕は真面目な顔でラブさんに言いました。
「・・・やっぱり、ブランさんが心配なんですよね」
「・・・そうよ。双子の姉妹だもの当たり前でしょ?」
「だったら、何で今までブランさんに辛く当たって来たんですか?」
「あなた、ズケズケと心に踏み込んで来るわね・・・図々しい。そうね、一言で言うなら『双子』だからかな」
ラブさんは優しい顔で語りました。今までのブランさんとの幼い頃の思い出を、家での出来事、貴族の事情を・・・。まぁ、ここまでは基本的にただの愚痴でしたけどね。
「・・・そんな具合に、貴族の家って色々あるのよ。実はお父様もお母様もちゃんとあの子の事を心配してるわ。でも、世間体と言うものがあるからね。厳しくせざる負えなかったのよ。それに、あの子は弱かったわ。だから、貴族と言う地位を諦めて、本当の意味で幸せになって欲しかったのよ。この学園に入学させたのも、1人で生きていけるだけの力を手に入れて欲しかったからだし。ねぇ?聞いてんの?」
「・・・zzz」
「寝てやがる。全く、こいつは・・・」
・・・実は起きているですよ。これも、本音を聞き出す為のテクニックです。さあ、誰も聞いてはいないですよ。さっさと全てをゲロるです。
「・・・まぁ、あんたのおかげで全て台無しになっちゃったけど。全く、ふざけた魔物ねあなた。でも、あの子が笑っているのが見れてよかったわ。出来る事なら、仲直りしたいけど・・・もう、これだけ拗れた関係だしね」
ラブさんは魔法使いが着るローブを脱いで僕にかけると行ってしまいました。
「・・・ぷくくく」
『何だ?気持ちの悪い顔をして。ふははは』
「邪神様も笑っているですよ。人の事言えないです」
そして、僕と邪神様はしばらく笑い合いました。
『勝たないとな。お前・・・』
「勿論、勝つですよ。邪神様もお願いするです」
『まぁ、サポートはしてやるよ。だが、気の毒にな、イビル・フェアリーだったか?』
「名付けのは邪神様ですよ。でも、そうですね。実に気の毒です」
イビル・フェアリーには同情するです。何せ、お前の相手をするのは僕たち、最強にして最悪の邪神様と魔物のコンビ何ですから・・・。
「『さあ!どのように、蹂躙してやろうかっ!!』」
・・・僕と邪神様の思いと声は一つになりました。




