裏山の異変
・・・アイアン寮の玄関フロアにて2匹の魔物が対峙していました。
「・・・チェケラッさん。どうして、僕を裏切ったのですか?」
その内の1匹は当然僕です。僕は相対するもう1匹の魔物・・・友人のラッパーゴブリン、チェケラッさんに語りかけました。おっと、『元』ですか?
「ハッハ〜!モツ君、君は人(魔物)が良すぎるネ。誰かれ構わずにマジックアイテムを与えるベキでは無かったネ。ミーは君を利用シテいたに過ぎなインダヨ。ハッハ〜!!」
「そんな・・・僕を騙していたと言うんですかっ!?あの共にダンスをして、笑い合った日々は全て嘘だったと言うのですかっ!?」
「・・・嘘じゃナカタヨ。ミーも楽しかったヨ?騙さレテ、ミーを友と思い込んでいる君を見ているノハ、実に滑稽で楽しかったヨ」
「なっ!?」
チェケラッさんはニタニタと嫌な笑いを浮かべながら、僕との思い出を語りました・・・うう、もう聞きたくないですよ!!
「動くんじゃ無いネッ!!」
「っ!?」
僕はチェケラッさんを取押えようと動こうとしましたが、見抜かれていたようです。チェケラッさんは大声を出して、強制的に僕の歩みを遮ったのでした。
「フッフ〜〜ン。人質がどうなってもイイですか?アレを見るネッ!!」
「ああ、ブ、ブランさん!皆っ!!」
チェケラッさんの指した場所、天井のシャンデリアの上にはブランさんやリックさん・・・アイアン寮の皆が吊るされていたのです。何と卑怯な!!
「さあ、コイツラの命が惜しくば君の持つアイテムを全て渡すネ」
「ぐっ!そ、それは・・・」
「君のアイテムを手に入れて、ミーはこの国・・・いや、世界一のダンサーになるネッ!!さあ、早く渡すのダンサー!!」
どうやら、チェケラッさんの目的は始めから僕のアイテムだったようです。
「・・・分かりました。アイテムを渡すです。でも、1ついいですか?」
「ハッハ〜!?何ネ?遺言でも、残す気デスカ?」
「こんなやり方で世界一になっても・・・虚しいだけですよ」
「・・・フン、負け犬の遠吠えネ」
「ぐっ!もう・・・僕の言葉は、チェケラッさんには届かないと言うのですか・・・」
そして、アイテムを投げ渡そうとした次の瞬間でした。
「・・・何をやっているのよ。あんた達」
そこには学園の講義から帰って来たブランさん達がいました。皆は呆れた顔で僕たちを見ているです。
「あっ?ブランさん。お帰りなさいです。ちょっと今は良いところなので、空気を読んで欲しかったですが・・・」
「オー、バットタイミングね・・・『魔王ゴッコ』がシラけたよ」
僕とチェケラッさんは魔王ゴッコを一時中断しました。意外と緊迫感があって面白いのですよ。皆も是非、暇だったらやって見るです。
「『魔王ゴッコ』〜?相変わらず、馬鹿をやっているのね」
「いえいえ。台本も作って本格的にやっているですよ。ついでに、邪神様が記録にしてくれて映画(?)のように編集してくれるそうです。今のは魔王の城に僕が乗り込んでいったシーンですよ。皆さんが、人質に取られてなす術が無くなったピンチの演出でした」
「・・・私たちが人質役なのね。で?あれが人質?」
僕の御丁寧な解説を聞いたブランさんたちは、人質・・・即ち、シャンデリアに吊るされた自分たち役を見て眉を寄せました。
何せ、自分たちそっくりに作られた実寸大のチョコレートですからね。あまりの出来の良さに驚いているようです。もちろん、邪神様からの送り物です。
「ちなみに、この後は粉々になってスタッフ(僕たち2匹)のオヤツになる予定でしたが?よかったら、皆さんも食べますか?」
「やめいっ!自分の姿をした菓子なんて食えるかっ!!しかも、どんなストーリーを考えてやがった!!」
「チョコレートって・・・超高級品じゃない。それで、人形劇なんてどうかしてるわ」
ちなみにチョコレートはこの世界ではかなり高価なようですね。貴族でも、たまにしか食べれないとか。そんな食べ物で人形劇とか、最高の贅沢ですよ。
「・・・残念ですね。しょうが無いです。じゃあ、これは僕たち2匹で美味しく食べるですか」
「ハッハ〜!ミーはこれ大好きよ。口の中でとろ〜り溶けるね」
「「「誰も食べないとは言ってないわ。一度、溶かしてから、また固めましょう」」」
この世界の女子は甘い物に飢えているようですね、すごい食意地です。
後、この世界には冷蔵庫は無く僕の部屋に設置されている異世界製造の冷蔵庫を使います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それから、チョコレートが固まるまで寮の食堂で時間潰すことにしたです。
「ふ〜。・・・にしても、あいつら腹立つな〜」
「え!?僕たちの事ですか?」
「違うわよ。【ゴールド】の連中の事よ」
「今度は、どうしたんですか?」
おやおや、またですか?相変わらずのランク主義によるイジメですね。
以前、ブランさんの姉であるラブさんと決闘し勝利してから絡んでくる事は少なくなりましたが、今でも多少の小競り合いがあるそうですね。また、ス◯夫くんに何か言われたのでしょうか、の◯太君。
「ああ、あいつら。明日から学園の指名クエストで、裏山の奥に調査に行くみたい何だよ。何でも、謎の植物モンスターが増殖しているらしくてな」
「はて?謎の植物モンスター?どっかで聞いたような・・・」
「オー、ミーとの出会いを忘れたデスカ?ミーを追いかけていた、あの植物どもの事デス」
・・・ああ、そう言えばそんなのいましたね。あのワラワラとした気持ちの悪い植物モンスターですか。
「あれは嫌な思い出だったので、忘れてました」
「それはどういう意味デ?」
「もちろん、全てですよ」
「オー!ミーとの出会いをもう一度やり直したかったのカ?この恥ずかしガリヤめっ」
「・・・チェケラッさん、ポジティブですね〜」
何か、勘違いされていますが、突っ込むのも面倒なのでもうそれでいいですよ。
「ん?知っているのか?」
「はいです」
「オー、モツがアイツラを倒す為に山火事にしかけたネ」
「そ、それは秘密って言ったじゃないですかっ!?裏切りましたね!!」
「ハッハ〜ン!ミーは魔物が良すぎるネ」
「こんな時に台本の台詞はいいですよ!?」
「・・・山火事って何をやったのよ、あなたたち。聞くのが怖いんだけど」
「「ハッハッハッハッ〜〜!!」」
その後、何とか笑って誤魔化しましたです。
ですけど、植物モンスターですか〜。嫌な予感しかしないですよ。何事も無ければいいんですけどね〜。
そして、僕のこの祈りは天に届く事は無かったのです。嫌な予感が現実になったのですよ。【ゴールド】クラスの行方不明と言う事態が起こったのでした。




