学園ダンジョン(2回目)
「じゃあ、中に入ろうか」
準備期間はあっと言う間に過ぎ、ついに我がアイアン寮がダンジョンに挑戦する日となったです。
「でも、本当に僕がリーダーでいいの?ただ、学年が一番上ってだけで、かなり弱いけど・・・」
そして、今回はアテルさんがリーダーです。実はアイアン寮の中では最高学年であったのですよ。
ちなみに整理しますと、この学園は三年制で、ブランさんとリックさん、ルイさんは一年、ライナさんは二年、アテルさんは三年となっていたです。
更に言うなら、学年によって授業でダンジョンに潜られる階層は決まってはいます。しかし、パーティーを組んだ中に上級生がいた場合はその学生の学年までは潜る事が出来るですよ。つまり、今回は最高学年のアテルさんがいるので10層まで潜られるです。ただし、行くことが出来ればですけど。
「では、僕がリーダーに・・・」
「あんたなんかにリーダーを任せられるものですか。あっと言う間に全滅するのがオチよ」
「酷いです、ルイさん!!」
「・・・ふん」
ルイさんは棘のある言葉を放ち、そっぽを向いたです。
『嫌われたものだな・・・』
「嫌われているのは、邪神様ですよ。僕はそのとばっちりです」
『お前の通訳ミスの所為だろ?全く、何時までも根に持ち続けやがって。この世界に落ちたのは、お前の責任だろうが』
そう、ルイさんと出会った日から、邪神様とルイさんの中は最悪でした。
あの日の晩に異世界出身者たち・・・僕(邪神様)、ヒグラ先生、ルイさんが集まって話合いました。その時に、僕は邪神様がポツリと口にしたルイさんの悪口まで通訳してしまったです・・・『ブラコン腹黒女』などと。そして、ルイさんはそれにキレましたですよ。
「ほら、そんな事よりさっさと入りましょう。時間は限られてるんだし」
今回、僕たちがダンジョンに潜る期間は約2日。学園の休みを利用してのダンジョン攻略なのですよ。この世界にもゆとり休日があるとは驚きでしたです。
それはともかく、僕らはダンジョンの中に入りました。そして、僕も【バルムンク】に乗り込んだのですよ。
「さて、打ち合わせ通りに1層目から攻略して行くって事でいいね。じゃあ、ボーナスルームに向かおう。僕とライナさんとブランさん、ルイさんはまだ行ってないからね」
各階層のミッションを行うには、まずはボーナスルームに行かなければいけないのです。
そこでミッションの内容を聞き、ミッションクリア後にクリアの証を貰って、次の層のボーナスルームで次のミッションを受けられるようになるですよ。
また、一人でもミッションを受けていれば証は貰えますが、一度ボーナスルームを訪れた人だけです。ですから、不公平を無くす為に全員で一度ボーナスルームに行くのです。
「ちなみに1層のミッション内容は分かるよね?」
「はいです。確か、ミッションは2つ。1つ目は薬草を10個ダンジョン内で採取して持っていくのと、2つ目は1層の色違いスライムを指定された順番、数を倒すのがミッションです」
・・・とこれが前に聞いたミッションの内容でしたです。
「なるほど。1層目だけあって、難しくはないね。すぐにクリア出来るかな。頼りにしているよ、モツ君」
「任せてです!バルムンクがあれば楽勝ですよ!!」
「・・・結局は機械だよりなのね」
「がふっ!?」
ルイさんの辛辣な言葉に精神的ダメージを受けつつ僕たちは奥に進みましたです。
1層のボーナスルームまでは、寄り道をしなければ二時間ほど歩けばたどり着きます。よって、1層の旨味のない宝箱や魔物は無視して一気にボーナスルームを目指しました。
途中で何回かモンスターにも遭遇しましたが難なく進んで行きました。
「・・・本当に異世界に来たのね」
そんな時、ルイさんは小さな声でポツリと言いましたです。たまたま、一番近くにいた僕にしか聞き取れなかったでしょう。僕も小声で話しますです・・・ひそひそ。
「今まで実感が無かったですか?」
「・・・そうね。魔物と戦うのは慣れてたつもりだったけど、あっちのとは勝手が違うと言うか戸惑っているわ。あっちの魔物は自我すらない感じだったけど、この世界の魔物は意思がある。生きようとする意思がね。侮ると痛い目に遭いそうだわ」
「へ~、向こうはそんな感じ何ですね」
ルイさんいわく、向こうの魔物は自分の意思などなく、人を見れば見境なく襲う機械見たいな感じなようです。良かったです、こっちの魔物でお菓子を食べて甘さを感じられないなんて、つまらないですよ。
「まだ向こうに帰りたいですか?」
「そうね。兄さんも見つけたし、すぐにでも帰りたい気持ちはあるわ。でも、兄さんはこの世界に残る気みたいだし。何が兄さんをそこまで意固地にしたのか見極めたいわね。まあ、幸いにも時間はあるし、唯一の手がかりはあんただけだしね」
「本当に知らないですって」
あの日にも言いましたが、僕は邪神様の世界にいく方法など知らないです。たまたまですよ、向こうに行けたのは・・・邪神様も知らないみたいですしね。
それはそうと、ルイさんはお兄さんがとても大好きなようですね。・・・ならば、是非お手伝いするですよ。
「ルイさん、ルイさん」
「・・・何よ。気持ちの悪い顔をして」
「気持ち悪くなんて無いですよ!?それよりも・・・はい」
「・・・何これ?」
僕はアイテムボックスから、とあるアイテムを取り出してルイさんに渡したです。
「何って、『惚れ薬』ですよ。これさえあれば、ヒグラ先生の身も心も思うがままですよ」
「あ、あんた・・・私たちは兄妹よ」
「ですから、『禁断の愛』をお求めなんですよね?任して下さいです。僕に任せてくれれば、結婚からお葬式まで持って行っていくですよ」
「お葬式って、死んでじゃ・・・って、そこじゃないわ!!私と兄さんは一般的な家族愛の話を・・・」
「どうせ、血が繋がって無いとかの裏設定とかがあるですよね?」
「なんで知ってんのよっ!?って、また違う!私は・・・」
「おや?本当だったですか?ヒューヒューです!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!死ねっ!!」
「嫌〜〜〜っ!お助けです〜〜〜〜っ!!」
ルイさん、すぐに刀を振り回すのはどうかと思いますよ?それでは嫁の貰い手が・・・ってヒグラ先生が居ましたね。
『リア充は死ね』
まぁ、邪神様の声は無視しますです。お望みとあれば、いつでも僕は恋のキューピッドになりますです。
「皆、ついたよ」
などと馬鹿な話をして進みました。そして、やっと1層のボーナスルームへとたどり着いたのですよ。




