ラァプと朝練
「ハイッ!そこでソウルを込める・・・ダメダメダメヨォッ!!ラァプは頭で創るんじゃ無いわ!!ソウルで創るノネッ!!」
「はいですっ!」
え〜・・・こちらはモツです。只今、【ラァプ】とやらを習得する為にラァプーゴブリンのチェケラッさんのダンス(?)訓練の真っ最中です。
・・・全く、何でこうなったんでしょうか?学園中を周って人助けしていた筈なのに。
あの後、チェケラッさんを一度は振り切りました。しかし、次の日の早朝に妙な物音がして、寮の外に出ると何故かチェケラッさんが躍り狂っていたです。
・・・一体、どうやって僕の居場所を見つけたのでしょうか?
「ミーは鼻と逃げ足には自信があるネ」
「あの・・・人の思考を読まないで欲しいですよ」
そんな訳で、逃げられないと悟りましたです。何でもあの植物モンスターに襲われたのは隣の山からで山越えして、なお、逃げ続けていたそうです。恐ろしいほどの逃げ足の速さですね。
もうしょうがないので、さっさと【ラァプ】とやらを習得してお帰り願うですよ。
「では、もう一回。アレを題材にラァプを歌ってミルネ」
「・・・はいです」
・・・などと、アイアン寮を題材にしてラァプを歌ってみる事になったのです。行くです・・・ヨォッ!!
「ここは、僕のマイハウス!
オンボロですけど、マイハウス!!
オンボロの屋敷の名前はアイアン!!
ここは気の良い仲間の巣窟っ!
だけど、皆さん落ちこぼれっ!!
だけど、成績だけが全てじゃ無い!!
オー、イエー!!」
はぁ、はぁ・・・どうですか?僕はアイアン寮の事をソウルを込めて歌いました。
「ん、ん〜!まだまだ荒削りネ?毎日、歌い続けるのがいいよ。毎日見てやるから安心するネ」
「毎日って、居座る気ですかっ!?」
「オウ!そのつもりヨォッ?モッくんが一人前のラァパーになるまで、面倒みてあげるネ」
「そ、そんなぁ〜〜」
さっさと集落に帰るか旅に出て欲しいのが本音ですよ。そんな訳でこの変なゴブリンは僕のマイルームの横に変なテントを建てていますです。
「・・・お前?一体、何をしてんだ?朝練の邪魔だ」
「あ、リックさん。おはようです」
「おう。って何だありゃ?・・・あれ、ゴブリンか?」
「はい、実は・・・」
・・・と僕はチェケラッさんの事を、リックさんに説明したです。
「・・・何だそのゴブリン?そんなゴブリンの話は初めて聞いたぞ」
「はあ、ゴブリンと言えば真っ先に討伐の対象になるモンスターですからね。誰も話そうとはしないでしょうし、仕方ないでしょうね」
ちなみに会話が出来るのは僕が翻訳玉を持っているからです。
「まぁ、危険が無いならそれでいいや。さて、朝練だ」
「あれ、リックさん。毎日、朝練をしていたんですか?勤勉ですね」
どうやら、リックさんは毎朝朝練をしていたようです。今日初めて知りましたですよ。
「まぁな。サボるとドンドン剣の腕が落ちるからな。これだけは毎日やる事にしてんだ。それに、来週から忙しくなるしな」
「何かあるんですか?・・・ん?この展開、前にもあったような?」
何でしょうか、このデジャビュは?そう、あの時は・・・。
「おう、学園ダンジョンに行くぜ。今度はこのアイアン寮の面々でだ。やっと、ダンジョンの人盛りが収まってきたからな。もちろん、お前も参加だぜ?」
「何ですと!?」
まさか、再びダンジョンに潜る事になろうとは。何で僕には何も言わないですか。僕にも準備くらいさせてですよ。
「それに、あの女・・・ルイもいるからな負けらんねぇんだ」
どうやら、リックさんはルイさんに対抗心を燃やしているみたいです。確かに剣士ポジが丸かぶりですからね。
「ですけど、ルイさんはリックさんより比べ物にならない程強いと思いますよ。なんと言うかオーラ(?)が違います。張り合うだけ無駄なのでは?」
「うるせぇよ!ハッキリと言うなっ!!」
「だけど、安心して下さい。その努力は、きっとリックさんを裏切らないと思いますですよ」
「何、優しく悟そうとしてんだよ・・・ちっ、朝練だ!朝練!!」
僕の優しい言葉に悲しくなったのか、リックさんは僕を無視して剣の素振りを始めたです。しかし、なんと言うか・・・地味と言うか普通ですね。
「・・・いっその事、これ使いますか?魔剣【スズキブレード】。そこらの剣よりも遥かに凄い斬れ味に、スズキ・・・魚による水属性の魔法効果付きですよ」
僕はアイテムボックスから、一本の大剣を取り出しました・・・魚の模様が付いた。『スズキ』とは魚のスズキですよ。
「おい、こら。人が努力して勝とうって頑張っているのに、剣を頼りにしろと言うのか?あと何だよ、そのネーミングセンスの無さは・・・」
「ネーミングセンスに関してはノーコメントですよ。じゃあ、いらないですか?」
「・・・・・・いる。そうだな、まずは形から入るべきだよな。それから、少しずつ強くなって行けばいいよな」
「それでこそのリックさんです」
「どう言う意味だよ!!」
さて、こうして始まる二回目のダンジョンアタック。リックさんの活躍は?そして、僕たちの運命はいかに!?・・・何てねです。




