双子の姉
本日は22時にもう一話投稿予定です。
「ちょっと、何するのよ!!」
「大きな声を出さないでくれる?ここは図書館よ、静かにしなさいよ」
「あなたが仕掛けて来たんでしょう!!」
私はブラン。今、私は最悪に気分が悪い。その理由は目の前にいるコイツの所為だ。
目の前には長い銀髪で鋭い目をしたの美少女が立っていた。その少女からは私に対する侮蔑の視線と態度が分かりやすい程に見て取れる。
「・・・ふぅ、人にお礼も言えないのあなた?」
「お礼ですって?何をよ?」
そいつは会った矢先に嫌味全開で絡んできたの。本当にこいつは私を苛立たせる天才ね。しかも、お礼?何よそれ、お礼参りだったらしてもいいけどね。
「お猿さんに魔法書が分かるわけないでしょう?だから、さっさと出て行って時間を無駄にしないように忠告してあげたんじゃない。感謝して欲しいわね。妹思いの私にね」
「誰が感謝なんてっ!!」
そう、腹立たしい事にコイツは私の『姉』・・・もっと言えば『双子の姉』なのだ。
コイツの名は『ラブライン・B・モンブラント』・・・以前に話した私を家族として扱わずに冷遇して来た奴らの一人。いえ、その中でも最たる女よ。
思い返せば、同じ家に生まれて同じ様に育って来た筈なのに、何時からか大きな差が生じた。あの魔力選別儀式の日から。
魔力選別は貴族の子供が7歳になると受ける儀式だ(ちなみに一般の市民は12歳くらいに教会で受けられるらしい)。
その選別によって、子供の能力・・・魔力の量や質、属性などが判別するのだ。だが、貴族の子には別の意味合いもある。いわば、それで跡取りを決める最初の選定なるのだ。
その日から、何もが変わった。親の見る目、親族たちの私に対する扱い、使用人だった者達からの嘲笑。当然、コイツとの関係も・・・。
昔はよく笑い合った記憶がある。あの選別の日までは決して悪い関係では無かった。だけど、親の意向で離されてしまった。やがて、家の考えに染まっていったのか、私を侮蔑するようになっていった。
うちの家は、ご先祖様が魔法によって貴族の名を掴んだ。だからか、魔法を一番の判断基準にしている。冒険者大国であるこの国の貴族には当たり前の事で、逆に身体能力で決める家もある。
それはさて置き、私とコイツとの魔法に対する才能の差。
・・・方や『天才』とまで言われた少女。
・・・方や『我が家、始まって以来の落ちこぼれ』と言われた私。
その差は、この学園の成績に置いても変わらなかった。だって彼女は・・・。
「お〜い、ラブ!そんなのに、構ってないで早く行こうぜ!!」
「くすくす。そうね、行きましょうか?私は忙しいのよ、あなたと違って。なんて言っても【ゴールド】だしね」
「・・・っ!!」
そう、彼女は学園で最高のランクである【ゴールド】なのだ。入学より、最高の環境で実力を伸ばし続けているのだ。
「まぁ、精々恥を晒さないようにね。我が家の温情・・・最後の貴族生活にして、学園生活を味わえばいいわ。あっ、そう言えば・・・」
「・・・何よ」
「妙な話を聞いたのよね。あなたの従魔が学園ダンジョンのボーナスルームを見つけたって・・・あれ、本当なの?」
「本当よ」
「ふ〜ん・・・」
ラブはニヤニヤと笑っている。実に不気味な笑みであった。
「実は私も従魔を得たのよ。本職は魔法師だけどね。ねぇ、せっかくだから勝負してみない?」
「な、何ですって!?」
この女は私の真似をして、従魔を得ていた様だ。私の従魔の指輪とは輝きの違う明らかに高価そうな指輪を嵌めている。くっ、こいつ・・・お父様にでも買って貰ったのね。私なんて、私物を売って指輪代を手に入れたのに。
「・・・で?やるの?やらないの?」
「そ、それは・・・」
・・・私は即答など出来なかった。どうせ、勝てるわけが無いと考えてしまった。せっかく得た従魔まで、こんな下らない事で危険に晒したくない。しかし・・・。
「やるです!!」
「「・・・え?」」
ーーーーパンパカパ〜〜ンーーーー
・・・と妙な盛大な登場音と共に、私の従魔・・・モツが現れたのだった。前から思っていたけど、何なのよ、この音。
「図書館では、お静かにっ!!」
「「音を出したのは、この人ですっ!!」」
「わ、私っ!?」
派手な登場音に怒鳴る司書さん。私とモツは慌てて、ラブを指差したのだった。
・・・もう、後戻りは出来ないようね。いいわ!やってやるわよ!!こうして、私とモツの従魔バトルが始まったのだった。




