公開発表会
『錬金術』・・・それは元なる性質を作り変え新たなる可能性を作り出す魔法的で化学的な謎の力。有名な物で言えば、石ころを金に変えたりとか不思議な薬を作り出すとかが有名ですね。
ちなみにこの異世界における『錬金術』とは魔法薬を作ったり、魔法の道具を作ったりする人たちの事をそう呼ぶみたいです。ようは魔法で何かを作る人たちの総称なのですよ。
それはともかく、ヒグラ先生の助手として僕は学園にある大講堂までやって来ました。そこで指定された部屋に実験器材を運んだのでした。
「ありがとう、モツ君!これで君の役目は終わったよ!!」
「え!?助手って荷物運びだけの事ですか!?そりゃあ無いですよ!?」
「ははは、冗談さ。君の役目はまだ残っているよ」
・・・おのれです。一瞬、本気で僕が荷物運びの為だけに助手されたのだと思ってしまいました。それにしてもこの部屋は色々ありますね。大なり小なり奇妙な形をした道具が布をかけられて置いてあります何なのでしょうか?
「あ、それは他の先生たちの作品だから触らないようにね」
「・・・え?」
・・・言うのが遅いですよ、ヒグラ先生。
布の中に手を入れて中身を確認しようとしていた僕はヒグラ先生に声をかけられた拍子にボキリと棒状の突起物を折ってしまったです。ど、どうしましょうか、これ・・・。
「「・・・・・・・・・」」
重い沈黙が場を支配します。そして、僕たちは・・・。
「「み、見なかった事にしよう・・・」」
棒を布に隠すようにして、そそくさと部屋を退室しました。ぼ、僕たちは何も知らないですよ。
「と、ところでヒグラ先生。他の先生たちの作品ってどういう事ですか?」
「え、あ、ああ。この学園の校風と言うのかな。この学園は実力主義的な校風なのを覚えているかい?それによって、僕たち教師も定期的に発表なり、何なり教師としての成長と言うか成果を発表しないといけないんだよ。これによって、僕たちの給料が決まるんだ。だから、絶対に成功させなくちゃならないのさ」
「なるほどです!そして、前回のヒグラ先生の評価は最悪と・・・だからアイアン寮にいるのでしね!!」
この発表会で優秀な功績を残しているのならば、吐きだための巣窟であるアイアン寮にいるわけが無いのです。よって、僕が来る前の発表会でのヒグラ先生の評価は最悪であると推理したのですよ。
「うるさいよ!!それに、評価が最悪だった訳じゃないよ!!ただ・・・忘れ去られていただけさ!!」
・・・ああ、なるほどです。ヒグラ先生は影が薄いですからね。前回の発表会で参加しているのを忘れ去られた訳ですか。ヒグラ先生・・・実に哀れです。
「・・・すいませんです、ヒグラ先生。これを食べますか?」
「いらないよ!?食べかけのパンを渡さないでくれる!?」
僕はおやつに食べかけていた菓子パンをヒグラ先生に上げました。しかし、ヒグラ先生はいらないみたいですね。お腹が一杯だったのでしょうか?もぐもぐ・・・。
そして、僕とヒグラ先生は大講堂に入りました。
大講堂は普段生徒たちが発表や朝礼などを行う目的で使われます。今回は教師の発表会と言う事で発表会に出る教師たちや、教師たちの研究室に所属し助手役となった生徒、審査員に選ばれた生徒たちが椅子に座ってました。
その中には何人か見知った顔があります。確か、トコロテン(正確には『トップ10』)でしたか?以前、学園ダンジョンで会った人たちが何人かいたのです。
椅子に座り、待つ事十数分。大講堂の扉が開き学園長先生が弟たちと共に入って来ました・・・何をやっているのですか、あいつらは?手には沢山のお菓子を持っています。う、羨ましくなんて無いですよ!!
「・・・ではこれより今年前期の教師発表会を始めます」
学園長先生は講台に上がると教師たちの発表会の開会を宣言しました。ちなみに発表会は一年に二回、前期と後期としているようですね。
そんな訳で、教師たち主催の発表会が始まりました。
この結果でヒグラ先生の給料が決まるのですね。割とどうでもいい事ですがね。はてさて、ヒグラ先生の明日は如何に、給料明細の金額は如何にですよ。




