再びグスカの街
「・・・ガオ〜」
「やめて!これ以上、私をみじめにしないで!!」
結局、お兄さんたちとグスカの街まで同行することになりました。その時折、聖水を飲んで『ガオ〜』とか言ってみます。僕に聖水を盛ったミランダさんは馬車の片隅で座り込んでいましたが、ふざけると良い反応をしてくれました。
ちなみに、いくら飲んでも聖水で僕の身体に変調はありませんでした。魔物ならば、多少なりとも苦手な反応をするそうなのですがね、僕にはこれと言ってありませんでした。うーむ、僕たちは出生から言って変ですからね。聖水では効果が無いのでしょうか?
まぁ、それはいいです。そんなこんなでお兄さんたちをお供にグスカの街に帰ってきました。馬車を門の前に出来た行列に並ばせて僕たちの番を待ったのですよ。
・・・そして、ついに僕たちの番になったのです。
「はい、次の人・・・あ、あなた方はっ!?」
門番のおじさんはお兄さんたちを見ると驚きました。そして、ビシッと敬礼をしたのです。やっぱり、立場のある人でしたか。何と無く予想は付きますけどね。
「そんなに畏まらないで下さい。それよりも・・・」
敬礼をかました門番さんに苦笑いをしつつ、お兄さんは引き馬の刑から解放されて、馬車に転がされていたカエル貴族たちに目を向けました。
「はっ!了解しました!!むむっ!こ、こいつらは!!元この街の貴族ゲイロー男爵では無いですか!!こいつらは脱税や違法密売の容疑で領主様が指名手配をされていましたが、夜逃げしたとばかり・・・それを捕まえるとは流石は『勇者様御一行』です!感服いたしました!!」
長い説明台詞にお兄さんたちの正体まで、ばっちり教えてくれた門番さん。
まぁ、強力な魔槍とか持っていた時点で予想通りではありましたが・・・せっかくですから、ワザとらしく驚いてみますか。
あと、腹立たしいですがカエル貴族たちを捕まえたのはお兄さんたちになっていますね。ううう、面向かって捕まえたのは僕たちだと言いたいですが、無用の混乱を避ける為に黙って置きますか・・・僕は大人なのですよ。
「ええ〜〜!?お兄さんたちは勇者様御一行だったのですか〜〜っ!?し、知らなかったのですぅぅ〜〜〜!?サイン、サインを下さいですぅぅ〜〜〜〜!!」
「そんなに驚かなくてもいいよ。って、このサイン用紙は制約書じゃないか!それも『この街の飲み食いの代金を僕たちが支払います』って、いつ用意したのさっ!?」
「・・・・・・ちょっとしたお茶目じゃないですか」
ちっ!どうやら気付いたようですね。ちょっとした嫌がらせのつもりでしたが、魔族を横取りした事はまだ忘れて無いのですよ、このハイエナがっ!!
それはさて置き、カエル貴族たちは門番さんたちによってしょっ引かれて行きました。豚箱で臭い飯でも食べて反省をするのですよ!!
「ささっ!勇者様たち、此方へどうぞ!!フリーパス、最優先でお通しいたしますので・・・」
「うむ、苦しゅう無いですよ」
「何であんたが威張るのよ!!」
ミランダさんからのツッコミは無視します。
その後は、畏る門番さんたちから丁重な扱いを受けてアッサリと門を通る事が出来ました・・・と言うかこんなにアッサリと入れるならば、身分を教えれば並ぶ必要が無かったでは無いでしょうか?
「身分って言うのは悪用しちゃいけないんだよ。よっぽどの事態じゃなきゃ、勇者の身分を使ったりはしないさ」
「「「流石です!勇者様っ!!」」」
何たる事でしょう!流石は勇者様ですよ!!そんな、超上から目線の言葉にミランダさんたちお供はメロメロです。これがハーレム勇者様の力なんですね!!ああ、僕もなってみたいですよ。
「君たちはこれからどうするんだい?僕たちは領主様に面会に行くけど・・・」
お兄さん、もとい勇者ツルギさんが僕たちに予定を聞いてきます。まぁ、これと言って予定はないですが、どうしましょうか。とりあえず、ゆっくりはしたいですね。
「僕たちは適当な宿屋でも借りて休んだら、冒険者ギルドの依頼でもしようかと思っていますよ。これでバイバイですね」
「そうなんだ。また、会えることを願っているよ。じゃあまた!!」
最後までイケメンスマイルで去って行く勇者ツルギ。これから、勇者ツルギは大冒険が待っているのです。やがてはドラゴンや魔王と言った強敵と戦い、伝説へとなっていくのですね。僕たちは勇者ツルギさんに会えた事を誇りに思うのです。
「・・・さて、それはさて置きご飯でも食べに行きましょうか」
グスカの街には『パルンダ』と呼ばれる名産品があるのです。それは調味料の類ですが、中々に癖になるお味なのですよ。初めて食べた際には、変な味と思ったのですが、食べていくうちに癖になるのです。
既にアイアン寮にも持ち帰りましたが、やっぱり本場で味合うのが旅の醍醐味ですね。僕の頭の中は既にご飯でいっぱいだったのですよ。




